4年振りに本来の京都芝2200mで行われるエリザベス女王杯。昨年まで行われた阪神芝2200mの重賞は通常、宝塚記念の一戦だけですがそこで特に強さを発揮するのが海外騎手でした。昨年のエリザベス女王杯でも、過去の宝塚記念同様に海外騎手が強さを発揮してワンツー決着となりました。
ただし、京都芝2200mで行われる今年は騎手の勢力図がガラリ一変すると考えられます。 実際に過去10年、京都で行われた7年間では、海外騎手による19年ラッキーライラック(スミヨン騎手)と18年リスグラシュー(モレイラ騎手)という印象的な勝利こそあったものの、実は海外騎手が馬券内に入ったのはその2度だけで、トータルでは[2-0-0-10](複勝率16.7%)で人気を裏切ることも多々ありました。
それらの背景としては、海外騎手と日本騎手のどちらが優れているかではなく、どちらが向いているかという適性の部分で、日本競馬特有のディープ産駒に代表されるような瞬発力で勝負するタイプの馬や瞬発戦が繰り広げられるコースでは日本騎手に軍配が上がるのに対して、海外競馬チックなハーツ産駒に代表されるような持続力で勝負するタイプの馬や消耗戦が繰り広げられるコースでは海外騎手に軍配が上がるということが考えられます。
騎手分類 | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
美浦 | 4- 8- 4- 23/ 39 | 41.00% |
栗東 | 107-106- 99-382/694 | 45.00% |
外国 | 12- 2- 7- 26/ 47 | 44.70% |
騎手分類 | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
美浦 | 6- 4- 2- 46/ 58 | 20.70% |
栗東 | 98- 91- 87-336/612 | 45.10% |
外国 | 10- 6- 7- 16/ 39 | 59.00% |
元来タフな急坂の非根幹距離の内回りの阪神芝2200mは豪腕に物を言わせる海外騎手が日本騎手を圧倒しましたが、同じ距離設定でも平坦で外回りの京都芝2200mでは“柔よく剛を制す”でキレを引き出すことに長けている日本騎手にもアドバンテージが見出せます。
3歳牝馬と古馬牝馬が初めてぶつかり合うG1レースがこのエリザベス女王杯ですが、そこで重要になってくるのが各世代間のレベル差です。この秋競馬の3歳上重賞オープン競走では、先週みやこSを勝利したセラフィックコールなど3歳馬の活躍も目立っていますが、実はそれらのほとんどは牡馬によるものであるという点で注意が必要です。
実際に3歳牝馬は今年これまでの3歳上重賞オープン競走で[1-1-0-17](複勝率10.5%)と低調な成績で、なおかつ人気を上回る着順に走ったのはわずか3頭だけで、全体的に人気に応えられないというシーンがかなり目立っています。
年齢 | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
3歳 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.00% |
4歳 | 2- 4- 4- 39/ 49 | 20.40% |
5歳 | 6- 4- 1- 32/ 43 | 25.60% |
6歳 | 0- 1- 3- 26/ 30 | 13.30% |
7歳 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 33.30% |
それに対して、今年これまでの世代限定戦を除く牝馬限定の重賞レースで活躍が目立っているのが5歳牝馬で、勝利数でも複勝率でも下の世代をおさえてトップの成績をマークしています。
結論としては、「ハイレベルな5歳牝馬、成長曲線的に今がピークの時期の4歳牝馬、過信禁物の3歳牝馬、衰えが否めない6歳牝馬」の順で評価をします。
先月の京都大賞典の回でデータを交えて取り上げた新・京都芝コースにおける「ディープ系有利」と「非大型馬有利」の傾向についても、今回も同じ京都の芝中長距離のレースですので引き続き重視したいところです。実際にそこではディープ産駒の非大型馬にドンピシャで当てはまるプラダリアが5番人気ながら1着という結果でした。
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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