ダートレースは基本的に先行有利が定説となっています。実際に2018年から2021年10月までの古馬による中央ダート中距離重賞競走では、27レース中21レースで4角4番手以内の逃げ先行馬が勝利するなど、前目の位置取りから押し切る形というのが最も勝ちやすい戦法となっていました。
しかし、2021年11月以降の「京都ダート以外」で行われた同重賞競走では、主に差しが利く馬場状態を背景にして、13レース中9レースで4角6番手以下の差し追い込み馬が勝利を収めています。
つまり、2021年秋を境に地殻変動が起こり、トップクラスのレースにおいては従来有利だった逃げ・先行馬が急激に残りづらくなり、一転して従来不利だった差し・追い込み馬の末脚が嵌まりやすいというのが最新トレンドとなっているというわけです。
ただし、その中でも以前と変わらずに先行有利の競馬になっているのが、今春にリニューアルオープンされた「京都ダート」です。4コーナーのカーブを緩やかにするコース改修工事も行われた京都芝に対して、京都ダートではコース形態自体は従来から変更されていませんが、休止期間中に路盤を数十センチ掘り起こして一から敷きなおすという馬場改修が行われたこともあってか、以前よりも明らかに時計が掛かる馬場となっており、脚質的には差しづらく先行有利の傾向が出ています。
リニューアルオープン後に京都ダートで行われた古馬によるオープン競走は7レースありましたが、内6レースで4角3番手以内の好位に付けていた馬が勝利を収めました。
脚質上り | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
平地・逃げ | 1- 0- 2- 4/ 7 | 42.90% |
平地・先行 | 5- 5- 1- 15/ 26 | 42.30% |
平地・中団 | 0- 2- 2- 36/ 40 | 10.00% |
平地・後方 | 1- 0- 2- 28/ 31 | 9.70% |
脚質上り | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
平地・逃げ | 10- 4- 2- 32/ 48 | 33.30% |
平地・先行 | 15- 20- 18-116/169 | 31.40% |
平地・中団 | 17- 14- 20-206/257 | 19.80% |
平地・後方 | 4- 7- 6-178/195 | 8.70% |
それらを併せて考えると、ここ最近は差し有利になりやすい他コースで逃げ・先行競馬をしていた馬を、唯一先行有利になりやすい今の京都ダートで狙い撃つという手法が有効となりそうです。
ダートのトップクラスのレースにおいては、若駒よりも体力面で上回る歴戦の古馬の方が絶対的に有利という下地がありますので、3歳ダート馬が古馬相手の重賞競走で好結果を残すことは至難の業でありレアケースとなっている現実があります。
実際に現5歳世代が3歳馬だった当時、3歳上のダート重賞オープン競走では半数以上が上位人気馬だったにもかかわらず[1-0-0-20](複勝率4.8%)という散々な成績を残していましたし、大なり小なり3歳馬の成績が振るわないのは毎年恒例のこととなっています。
それに対して現3歳世代は、ここまでの3歳上のダート重賞オープン競走において[2-2-1-3](複勝率62.5%)という例年以上の優秀な成績を残しています。
年齢 | 着別度数 | 複勝率 |
---|---|---|
3歳 | 2- 2- 1- 3/ 8 | 62.50% |
4歳 | 9- 12- 9- 60/ 90 | 33.30% |
5歳 | 7- 5- 6- 78/ 96 | 18.80% |
6歳 | 4- 3- 5- 77/ 89 | 13.50% |
7歳 | 2- 2- 3- 33/ 40 | 17.50% |
8歳 | 0- 0- 0- 13/ 13 | 0.00% |
過去10年のみやこステークスでも3歳馬は[0-3-0-15](複勝率16.7%)というやや苦戦傾向となっていますが、例年よりもレベルが高いと見られる今年の3歳馬ならば侮れないという見方をすべきです。
キムラヨウヘイの
推奨馬は
アプリで紹介!
ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
記事に紹介されているような分析が自分でできる! |
あらゆる切り口で競馬データを分析可能! |