秋の国内芝スプリント路線の頂上決戦の位置付けであり、中山芝1200mの舞台で行われるスプリンターズS。このレースの好走馬を見抜く上で重要なポイントは大きく2点あり、1点目は内枠有利傾向が顕著という点です。2点目はペースが速くなった場合には生粋のスプリンターの馬(距離適性の上限が1200mの馬)が優位になり、逆にペースが遅くなった場合にはマイラー寄りの馬(距離適性の下限が1200mの馬)が優位になるという点です。
まず1点目の内枠有利傾向について。馬場改修後の2015年以降、唯一単複回収率が100%を超えているのは[1枠]です。好走率が高い枠順を並べると[1枠→4枠→2枠→3枠]の順で、1〜4枠の内目の枠順と5〜8枠の外目の枠順で成績が綺麗に二分されています。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 2- 1- 3-10/16 | 12.50% | 18.80% | 37.50% | 154 | 202 |
2枠 | 1- 2- 1-12/16 | 6.30% | 18.80% | 25.00% | 33 | 108 |
3枠 | 0- 0- 3-13/16 | 0.00% | 0.00% | 18.80% | 0 | 87 |
4枠 | 3- 2- 0-11/16 | 18.80% | 31.30% | 31.30% | 55 | 69 |
5枠 | 1- 1- 0-13/15 | 6.70% | 13.30% | 13.30% | 14 | 43 |
6枠 | 0- 1- 0-15/16 | 0.00% | 6.30% | 6.30% | 0 | 10 |
7枠 | 1- 0- 0-15/16 | 6.30% | 6.30% | 6.30% | 57 | 23 |
8枠 | 0- 1- 1-14/16 | 0.00% | 6.30% | 12.50% | 0 | 60 |
5番人気以下で3着以内を果たした穴好走馬の面々を振り返って見ても、15年2着サクラゴスペル(2枠)・同3着ウキヨノカゼ(3枠)、16年3着ソルヴェイグ(2枠)、17年2着レッツゴードンキ(1枠)・同3着ワンスインナムーン(3枠)、18年2着ラブカンプー(5枠)・同3着ラインスピリット(1枠)、20年3着アウィルアウェイ(8枠)、21年3着シヴァージ(1枠)、22年1着ジャンダルム(1枠)・同2着ウインマーベル(4枠)・同3着ナランフレグ(3枠)となっており、イレギュラーな外有利馬場で行われた20年を除けば毎年の様に内枠に入った馬が穴をあけているということが分かります。
2点目のレースのペースと好走馬の距離適性の関連戦について。09年以降で前半3Fタイムが後半3Fタイムよりも1.0秒以上速いハイペースだったのは09年・11年・12年・13年・18年・19年・20年・22年の計8年ありましたが、当該年度の3着以内好走馬24頭中16頭は、距離1600m以上のレース(地方除く)で好走歴を有していない馬でした。
逆にそれ以外の非ハイペースだったのは10年・15年・16年・17年・21年の計5年ありましたが、当該年度の3着以内好走馬15頭中13頭は、距離1600m以上のレースでの好走歴を有している馬でした。
それはつまり、前半から速い流れになるとスピードに勝る距離1200mのスペシャリストに軍配が挙がり、逆に後半が速い流れになるレースになると末脚に勝る距離1400m以上も守備範囲としているマイラー寄りの馬に軍配が挙がるということを示します。
年間平均 | スプリンターズS | |
---|---|---|
13年 | 33.6 | 32.9(1.4前傾) |
15年 | 34.0 | 34.1(0.1後傾) |
16年 | 34.0 | 33.4(0.8後傾) |
17年 | 34.0 | 33.9(0.2後傾) |
18年 | 33.7 | 33(2.3前傾) |
19年 | 33.7 | 32.8(1.5前傾) |
20年 | 33.7 | 32.8(2.7前傾) |
21年 | 33.9 | 33.9(0.5前傾) |
22年 | 33.4 | 32.7(2.4前傾) |
23年 | 33.9 | ???(後傾?) |
(※スプリンターズSの前週までに行われた「良馬場」「1勝クラス以上」に該当する全レースの平均)
今年どちらのペースになるかについては、今年これまでに行われた中山芝1200mのレースのラップ傾向が大いに参考になります。簡単に言えば騎手の間で前半から飛ばすハイペースの競馬が流行っている年にはスプリンターズSもハイペースになりやすく、逆に騎手の間で前半は脚を溜める競馬が流行っている年にはスプリンターズSも非ハイペースになりやすいということが言えます。データ2の通り後者のパターンに当てはまる今年の場合には非ハイペース競馬が想定されるのでマイラー寄りの馬を狙うべきとなります。
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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