キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年キーンランドC

近3年中2年でほんの一握りの距離短縮組が激走

キーンランドCが行われる札幌芝1200m(開催前半除く)は、数あるスプリントコースの中でも中京芝1200mに次いで、当該距離よりも長い距離の適性に基づくスタミナと末脚性能が問われる舞台設定となっています。

中京芝1200mは主に直線の長さによるものと見られますが、札幌芝1200mは直線こそ短いものの、そこに向かうまでのコーナー部分が緩やかな造りになっており、中団以降に位置する馬が存分に脚を伸ばしやすいというコース形態によるものと見られます。

また、開催終盤に設定されているキーンランドCは、馬場のダメージが蓄積されやすい洋芝ということもあり、基本的に時計が掛かる馬場と内目が荒れた馬場でレースが行われることになります。そこでは通常にも増してスピード一辺倒で押し切るのは困難となり、1200mを超える距離実績を持つ末脚に秀でた馬が俄然有利になり得るというわけです。


■データ1  札幌芝1200mの重賞レースの前走距離別成績(2000年以降)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 12- 16- 14-178/220 5.50% 12.70% 19.10% 118 60
延長 3-  1-  1- 29/ 34 8.80% 11.80% 14.70% 75 53
短縮 4-  2-  4- 31/ 41 9.80% 14.60% 24.40% 65 94

実際に過去の札幌芝1200mの重賞レースでは、距離延長・同距離ローテの馬よりも、距離短縮ローテの馬がほぼ全ての項目で上回る好成績を残しています。

昨年は歴代の中でも最も緩い流れとなり、全馬密集した一団の隊列のなか、距離短縮ローテで挑んだトウシンマカオは大外枠から極端に外を回される競馬を強いられた分の4着止まりでした。一方、馬場の最内を立ち回ったヴァトレニと、内を立ち回ったヴェントヴォーチェ、ウインマーベルの3頭によるワンツースリーでしたが、特殊なペースと隊列が生み出したイレギュラーな決着だったと見るべきです。

2年前は前走京王杯SC(1400m)を経て挑んだセイウンコウセイが9番人気3着で、3年前は前走中京記念(1600m)を経て挑んだディメンシオンが9番人気3着と、2年連続で距離短縮ローテ組が波乱を演出しています。

先週の北九州記念でも斤量不利の3歳馬が揃って撃沈

先週の北九州記念では「斤量ルール変更により例年よりも古馬有利⇔3歳馬不利」・「距離が短くなればなるほどに3歳馬が古馬に対して劣勢」と取り上げて、実際に該当馬のモズメイメイ・ロンドンプランは共に人気を裏切る凡走を喫しました。それら先週の結果も含めて、今年の3歳以上の短距離オープンクラス戦では、3歳馬7頭全てが人気以下の凡走を喫しています。


■データ2 今年の3歳以上の芝3勝クラス以上のレースにおける3歳馬成績(距離別)

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1000m〜1300m 0- 0- 0- 8/ 8 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
1400m〜1600m 0- 1- 2- 5/ 8 0.00% 12.50% 37.50% 0 95
1700m〜2000m 1- 1- 0- 5/ 7 14.30% 28.60% 28.60% 64 144
2100m〜2400m 1- 0- 0- 3/ 4 25.00% 25.00% 25.00% 52 32

その要因としては「全体の斤量1キロ増」と「夏場の短距離レースの大半で3歳馬と古馬との斤量差が1キロ縮小」という今年からの斤量ルール変更の影響と考えられます。

逆に言えば昨年までの3歳馬は斤量に恵まれていたという見方もできますが、そのウインマーベルは昨年のキーンランドCではG3競走勝利実績分で1キロ加算されて古馬との斤量差は概ね2キロという実質的に今年の3歳馬と同じ斤量差で好走しており、ナムラクレアについては昨年の北九州記念で斤量53キロという実質的に今年のモズメイメイと同じ斤量で好走しています。

斤量ルール変更にこれだけ苦しんでいる現3歳世代の短距離馬の現状を思えば、ウインマーベルとナムラクレアが昨年に残した好走結果の価値の高さが改めて浮き彫りとなります。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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