キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年ダービー

先行馬よりも差し馬


■データ1  2020年秋開催以降の東京芝G1レースの脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  1-  0- 18/ 19 0.00% 5.30% 5.30% 0 24
平地・先行 3-  3-  6- 57/ 69 4.30% 8.70% 17.40% 13 41
平地・中団 14- 10-  8-109/141 9.90% 17.00% 22.70% 82 73
平地・後方 2-  5-  5- 76/ 88 2.30% 8.00% 13.60% 30 94
平地・マクリ 0-  0-  0-  1/  1 0.00% 0.00% 0.00% 0 0

■データ2 近年のダービーで最も人気薄で馬券内好走を果たした馬(※16年と17年は1~3番人気決着なので除外)

馬名 4角位置取り/枠順 前走レース
22 アスクビクターモア 2番手(2枠) 皐月賞
21 ステラヴェローチェ 12番手(6枠) 皐月賞
20 ヴェルトライゼンデ 7番手(3枠) 皐月賞
19 ロジャーバローズ 2番手(1枠) 京都新聞杯
18 コズミックフォース 2番手(4枠) プリンシパルS
15 サトノラーゼン 7番手(1枠) 京都新聞杯
14 マイネルフロスト 6番手(2枠) 青葉賞
13 アポロソニック 1番手(2枠) 青葉賞
12 トーセンホマレボシ 2番手(7枠) 京都新聞杯

ダービーには「ダービーポジション(第1コーナーを前方で回らなければ勝てない)」という古くからの格言があります。それは今よりもフルゲート頭数が遥かに多い設定(最大28頭立て)だった時代に言われた話ですが、それが18頭までに縮小された近年においても同様のことが言えました。

実際に12年から19年までの間で、最も人気薄で馬券に絡んだ穴好走馬は4角1~2番手で追走していた馬ばかりで、それ以外でも極端な内枠からある程度好位での競馬をしていた馬となっていました。

しかし、これまでも何度かピックアップしている通り、東京芝コース自体の内有利バイアスの消滅により何よりも末脚が物を言う馬場への変化で、20~21年にかけて潮目は変わったという見方をすべきです。実際に20年以降のダービーで穴をあけた3頭中2頭は外目から差す競馬で激走を果たしていました。

ダービー以外でも最近の東京芝のG1レースで、二桁人気の人気薄ながらも大穴をあけた馬は、「21年ヴィクトリアマイル10番人気2着ランブリングアレー」・「21年オークス16番人気3着ハギノピリナ」・「21年NHKマイルC18番人気3着カワキタレブリー」・「22年オークス10番人気2着スタニングローズ」・「23年オークス15番人気3着ドゥーラ」の5頭で、内4頭は道中二桁通過順位の追い込み競馬をした馬でした。

前ではなく後ろが恵まれる可能性が高いのが今の東京芝G1レースであり、それはダービーも例外ではないということが言えるはずです。

前哨戦組よりも皐月賞組

また、19年以前の穴好走馬の大半はダービーのトライアルレース組から輩出されていましたが、20年以降の3頭は全て皐月賞組から輩出されていました。

早期育成が主流となっている今となっては、強い馬というのは皐月賞に間に合うように早い段階から実績を積んでいるものなので、皐月賞とそれに間に合わなかった馬同士のレースになるダービーの前哨戦(青葉賞・京都新聞杯・プリンシパルS)を比較すると、以前よりも更にレベルの格差が大きくなっているということが言えるはずです。

非ノーザンファーム勢よりもノーザンファーム勢


■データ3 ダービーの生産者別成績(過去10年)

生産者 着別度数
ノーザンファーム 6- 7- 6-60/79
ノースヒルズ 3- 0- 0- 1/ 4
飛野牧場 1- 0- 0- 0/ 1
社台コーポレーション白老ファーム 0- 1- 0- 5/ 6
三嶋牧場 0- 1- 0- 2/ 3
田上徹 0- 1- 0- 0/ 1
社台ファーム 0- 0- 1-16/17
服部牧場 0- 0- 1- 0/ 1
競優牧場 0- 0- 1- 0/ 1
IEAH Stables & Andrew Cohen 0- 0- 1- 0/ 1

今年の3歳世代牡馬戦線について、2年前はノーザンファーム勢(生産馬)が11レース中9レースで勝利を収めていた2歳重賞競走(牡馬牝馬混合戦)では、ノーザンファーム勢がわずか2勝(内1勝は牝馬)にとどまりました。年が明けた3歳重賞競走(牡馬牝馬混合戦)においても、ダービー週の前週時点で2年前はノーザンファーム勢が14レース中12レースで勝利を収めていたのに対して、今年はノーザンファーム勢が5勝止まりで負け越しというイマイチ波に乗れない結果が続いています。

ただし、現状のノーザンファーム勢の活躍が目立たない理由としては、これまでに行われた一連の3歳世代牡馬戦線が、ノーザンファーム勢向きのレースに中々なっていなかったという外的要因も見逃せません。

ノーザンファーム勢向きのレースというのは、最もシンプルに言えば時計勝負の高速決着戦です。これまでの一連の3歳世代牡馬戦線が天候に恵まれないことが多く、ノーザンファーム勢に不向きなレース(非時計勝負の低速決着戦)ばかりとなっていたせいで、運悪く本来出せるべき結果を出せていなかったという可能性が考えられます。

一冠目の皐月賞も悪天候に見舞われて重馬場での施行となりノーザンファーム勢が力を出しづらいレースとなり、勝ち馬を含めて上位4頭中3頭を非ノーザンファーム勢が占めるという決着となりました。

ただ、二冠目ダービーは季節的にも好天と高速馬場でレースが施行される可能性が高いレースで、例年もノーザンファーム勢が無類の強さを発揮する傾向があるレースとなっています。今年のダービーでは、これまで散々悪天に苦しめられてきて力を出せていなかったノーザンファーム勢が巻き返しを見せる局面となる可能性が見込まれます。

実際に皐月賞が低速決着でダービーが高速決着という構図となっていた18年と20年は、皐月賞で凡走したノーザンファーム勢からワグネリアン(皐月賞7着→ダービー1着)やヴェルトライゼンデ(皐月賞8着→ダービー3着)というダービーで一変する馬が出現していました。

レース自信度(5段階評価):3

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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