キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年NHKマイルC

差し有利傾向が顕著な春&秋開催の東京芝レース


2020年秋を境にして東京芝コースでは内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚こそがモノを言う馬場、端的に言えば差し有利傾向へと化しているのが最新トレンドという現状です。一部の冬開催ではその限りではありませんが、春開催と秋開催においては確度高くそうなっています。

実際に東京芝コースで内有利の馬場バイアスが発生した日は、18年の春&秋開催では計6日間、19年の春&秋開催には計8日間で、20年の春開催では計7日間ありましたが、20年の秋開催と21年の春&秋開催と22年の春&秋開催においては僅か3日間のみと急激に減少しています。

また、下級条件戦よりも上級条件戦の方が、レースにおける末脚の比重が高まるので差しが決まり易いというのが基本的な傾向としてありますので、その上級条件戦の最高峰に位置するG1レースではことさら顕著な差し有利傾向が生まれているのが実状です。

■データ1 2020年秋開催以降の東京芝G1レースの脚質別成績

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
平地・逃げ 0-  1-  0- 15/ 16 0.00% 6.30% 6.30% 0 29
平地・先行 3-  2-  5- 48/ 58 5.20% 8.60% 17.20% 16 44
平地・中団 12-  9-  8- 90/119 10.10% 17.60% 24.40% 90 82
平地・後方 1-  4-  3- 65/ 73 1.40% 6.80% 11.00% 5 83

実際に20年の秋開催以降の東京芝のG1レースにおいて、二桁人気の人気薄ながらも大穴をあけた馬は「21年ヴィクトリアマイル10人気2着ランブリングアレー」・「21年オークス16人気3着ハギノピリナ」・「21年NHKマイルC18人気3着カワキタレブリー」・「22年オークス10番人気2着のスタニングローズ」の4頭で、4頭中3頭は道中二桁通過順位の追い込み競馬をした馬だったことからも、やはり前よりも後ろが恵まれる可能性が高いということが読み取れます。

このNHKマイルCにおいても、昨年は道中二桁通過順位のマテンロウオリオンが2着でカワキタレブリーが3着、一昨年は惜しくも馬券内までは届かなかったものの超人気薄であわやの激走を果たした11番人気4着馬と15番人気5着馬は共に道中二桁通過順位馬だったことからも、やはり一発があるとしたら中団よりも後ろから追い込んでくる脚質の馬の方だと言うことができます。

牝馬が強い現3歳世代


■データ2 2020年世代(現3歳世代)の芝/牡馬牝馬混合/世代限定オープン競走の性別別成績

  着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
牡馬騙馬 33- 35- 35-295/398 8.30% 17.10% 25.90% 92 83
牝馬 11-  9-  9- 85/114 9.60% 17.50% 25.40% 110 75
■データ3 2019年世代(現4歳世代)の同成績(3歳4月末時点まで)

  着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
牡馬騙馬 37- 35- 35-267/374 9.90% 19.30% 28.60% 58 71
牝馬 7-  9-  9- 82/107 6.50% 15.00% 23.40% 38 55

牝馬の2歳G1レースである阪神ジュベナイルFの勝ち馬リバティアイランドは3歳G1レースの桜花賞も制したのに対して、牡馬が出走できる2歳G1レースである朝日杯フューチュリティSの勝ち馬ドルチェモアは3歳初戦のニュージーランドTで惨敗を喫した他、同レースの上位勢は今年に入ってから軒並み人気を裏切っていることからも、両性の2歳G1レースの価値も「阪神ジュベナイルF>朝日杯フューチュリティS」だったと見ることができます。

また、一つ上の現4歳世代では、牡馬牝馬混合の3歳限定芝重賞レースは20レースありましたが、全てのレースで牡馬が勝利しており、牝馬は1勝もできず連対も僅か1回で、牝馬の時代と呼ばれる近年に於いては最低の対牡馬成績となっていました。また2歳時にも重要度の低い早期スプリント重賞の函館2歳Sと小倉2歳S以外は全て牡馬が勝利していました。

それに対して現3歳世代は、函館2歳Sを皮切りに、重要度の高い新潟2歳Sと札幌2歳Sでも牝馬が勝利して重賞3連勝。オープン特別も含めれば牝馬が8連勝スタートという快進撃を見せていました。

その結果としてデータ2とデータ3を見比べると、現3歳世代ではトータルでも牡馬に対して牝馬の活躍が認められます。2歳12月の2歳G1レース(阪神ジュベナイルF&朝日杯フューチュリティ―S)以降は牡馬と牝馬で歩む路線が分離されている分で力関係が分かりづらくなっていますが、いざ牡馬と牝馬とガチンコで戦うという局面では案外牝馬が上回るシーンが見られる可能性も大いに考えられます。

レース自信度(5段階評価):4

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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