京都芝3200mで行われるG1天皇賞春と、その最重要前哨戦の阪神芝3000mで行われるG2阪神大賞典とでは、同様に格式の高い長距離レースだとしてもレースの中身は大きく食い違うという点がポイントとなります。
■データ1 天皇賞春の脚質別成績(京都開催の2011~2020年の10年間)脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
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平地・逃げ | 2- 0- 0- 10/ 12 | 16.70% | 16.70% | 16.70% | 1367 | 324 |
平地・先行 | 3- 6- 5- 20/ 34 | 8.80% | 26.50% | 41.20% | 32 | 211 |
平地・中団 | 4- 4- 5- 66/ 79 | 5.10% | 10.10% | 16.50% | 46 | 70 |
平地・後方 | 0- 0- 0- 40/ 40 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
平地・マクリ | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.30% | 33.30% | 33.30% | 153 | 86 |
近10回の“京都”天皇賞春で二桁人気ながらも好走したのは「20年2着スティッフェリオ(4角通過順3番手)・16年2着カレンミロティック(同3番手)・15年3着カレンミロティック(同1番手)・14年3着ホッコーブレーヴ(同10番手)・12年1着ビートブラック(同1番手)」の延べ5頭ですが、内4頭は“前残り”のパターンでした。それは開催2週目の高速馬場・内有利馬場で施行される為に、総じて内目の進路取り&前目の位置取りで上手く立ち回った馬が恵まれるという背景からです。
それに対して阪神大賞典では、道中で前目に付けていた馬よりも、中団以降からレースを進めていた馬が波乱を演出することが多いです。それはスタミナ要素が極めて強く要求されるレースになる為に、一般的にはメリットになる位置取りの高さがスタミナを削ぐデメリットとして作用する側面の方が大きくなるという背景からです。そして、京都競馬場の改修工事に伴って、同じ阪神芝3000mで行われた近2年の菊花賞でも同様に後方に位置した馬の方が有利という決着となっていました。
つまり、天皇賞春に向けて重要な役割を担う2つの大レース(阪神大賞典・菊花賞)が、共に“京都”天皇賞春とは相反する脚質傾向あるコース条件で行われたというのが、今回レースを検討する上での一大トピックとして考えるべきです。
実際に過去10年ほどさかのぼって振り返ってみても、基本的に差し有利になる阪神大賞典を4角5番手以下から差す形で好走した馬は、逆に基本的に先行有利になる天皇賞春ではほぼ全てが馬券外に沈んでいるという極端な結果も生まれていますので、両レースの“出し入れ”がポイントとなるはずです。
今の日本競馬の芝長距離路線において、四大勢力を形成するのはディープインパクト産駒とハーツクライ産駒とステイゴールド系とキングカメハメハ系という構図となっていますが、それらは阪神芝長距離戦向きのタイプと京都芝長距離戦向きのタイプで二分することができます。
■データ2 京都芝2400m以上の特別レースの種牡馬別成績(2019年以降/最少機会数11)種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
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ディープインパクト | 12- 7- 5-35/59 | 20.30% | 32.20% | 40.70% |
オルフェーヴル | 3- 2- 2-12/19 | 15.80% | 26.30% | 36.80% |
ステイゴールド | 2- 3- 4-15/24 | 8.30% | 20.80% | 37.50% |
ハービンジャー | 2- 3- 2- 7/14 | 14.30% | 35.70% | 50.00% |
ハーツクライ | 2- 1- 2-23/28 | 7.10% | 10.70% | 17.90% |
ルーラーシップ | 0- 4- 1-14/19 | 0.00% | 21.10% | 26.30% |
キングカメハメハ | 0- 1- 2-14/17 | 0.00% | 5.90% | 17.60% |
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
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ディープインパクト | 13-11-12-58/94 | 13.80% | 25.50% | 38.30% |
キズナ | 6- 5- 2-14/27 | 22.20% | 40.70% | 48.10% |
ハーツクライ | 5- 4- 7-52/68 | 7.40% | 13.20% | 23.50% |
オルフェーヴル | 5- 3- 4-32/44 | 11.40% | 18.20% | 27.30% |
ルーラーシップ | 4- 5- 6-45/60 | 6.70% | 15.00% | 25.00% |
キングカメハメハ | 3- 6- 3-40/52 | 5.80% | 17.30% | 23.10% |
ゴールドシップ | 2- 2- 3-17/24 | 8.30% | 16.70% | 29.20% |
ステイゴールド | 1- 1- 1-22/25 | 4.00% | 8.00% | 12.00% |
ハービンジャー | 0- 2- 5-23/30 | 0.00% | 6.70% | 23.30% |
両コースの種牡馬別成績を見ての通り、明確に好走血統がガラリと入れ替わるということが起きており、総じて下り坂での走りが苦手なハーツクライ産駒は阪神向き、下り坂での走りが得意なステイゴールド系は京都向き、急坂が得意なキングカメハメハ系は阪神向き、平坦が得意なディープインパクト産駒はやや京都向きという分類ができます。
それらを裏付ける結果となったのが昨年の“阪神”天皇賞春で、阪神向きのキングカメハメハ系の馬ばかりが上位入線を果たして、逆に京都向きのステイゴールド系は軒並み下位入線となりました。
再び“京都”天皇賞春となる今年は、昨年とは真逆の構図が描けますので、阪神でばかり長距離の大レースが行われていたこの2年間で不遇を耐えていたディープインパクト産駒とステイゴールド系の反発が狙い目と見ます。
レース自信度(5段階評価):4
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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