キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年フローラS

牝馬の中長距離重賞はステイゴールド系種牡馬の庭


GIレースを除けば中央の牝馬限定レースでは最長距離設定(距離2000m)で施行されるのがこのフローラステークスです。牡馬のレースでは距離2000mはごく一般的な主流の範疇の距離設定と言えますが、基本的に牡馬よりも距離適性(スタミナ耐性)が短めに出る牝馬にとって距離2000mはイレギュラーで非主流に属する距離設定になります。

実際に今回の出走メンバーでも、距離2000mの重賞レースというのは全ての馬にとって初めての条件となり、また距離2000mのレース自体も半分近くの馬にとって初めての条件となりますので、過去走に見せたパフォーマンスや実績が必ずしも直結しないことは容易に想像がつきます。

まず考えるべきは、このイレギュラーで非主流の最長距離設定でも力を出せるのかという点になりますが、そこで大きな手掛かりとなるのは「血統」と「距離実績」です。


■データ1 距離2000m以上の牝馬限定重賞の種牡馬別成績(2017年以降/最少機会数5/複勝率順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率
ステイゴールド 1-  5-  1- 11/ 18 5.60% 33.30% 38.90%
ドリームジャーニー 0-  2-  0-  4/  6 0.00% 33.30% 33.30%
Blame 0-  0-  2-  4/  6 0.00% 0.00% 33.30%
クロフネ 0-  2-  1-  7/ 10 0.00% 20.00% 30.00%
キングカメハメハ 7-  2-  3- 29/ 41 17.10% 22.00% 29.30%
スクリーンヒーロー 4-  2-  0- 15/ 21 19.00% 28.60% 28.60%
ハービンジャー 6-  5-  5- 42/ 58 10.30% 19.00% 27.60%
ドゥラメンテ 1-  2-  1- 12/ 16 6.30% 18.80% 25.00%
オルフェーヴル 3-  3-  2- 26/ 34 8.80% 17.60% 23.50%
キズナ 4-  2-  3- 30/ 39 10.30% 15.40% 23.10%
エピファネイア 2-  2-  2- 22/ 28 7.10% 14.30% 21.40%
ゴールドシップ 2-  0-  2- 15/ 19 10.50% 10.50% 21.10%
マンハッタンカフェ 0-  1-  2- 12/ 15 0.00% 6.70% 20.00%
ディープインパクト 6- 12- 11-123/152 3.90% 11.80% 19.10%

同条件で強い「血統」としては、最近の距離2000m以上の牝馬限定重賞の種牡馬別成績を見ての通り、まず一番手にはステイゴールド系種牡馬の産駒(ステイゴールド産駒・オルフェーヴル産駒・ゴールドシップ産駒・ドリームジャーニー産駒)が挙げられます。

現代のトップ種牡馬であるディープインパクト産駒が14位止まり、ハーツクライとロードカナロアが圏外の成績になっている辺りからも非主流性がうかがい知れますが、その中で1位&2位&9位&12位と多くが上位に鎮座するステイゴールド系種牡馬の健闘ぶりが際立っています。

このフローラSでも20年2着ホウオウピースフル(オルフェーヴル産駒)、21年2着スライリー(オルフェーヴル産駒)、21年3着ユーバーレーベン(ゴールドシップ産駒)と激走馬を多く輩出しているだけに要注目です。次点には出走母数が多い中でも高い複勝率をマークしているキングカメハメハ産駒とハービンジャー産駒にも注目すべきです。

フローラSと直結度合いが高い前走阪神芝1800mコース組に注目


■データ2 前走コース別成績(過去10年/複勝率順)

前走コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率
阪神・芝2400外 1- 0- 0- 0/ 1 100.00% 100.00% 100.00%
京都・芝2000 1- 0- 0- 0/ 1 100.00% 100.00% 100.00%
東京・芝2000 0- 0- 1- 2/ 3 0.00% 0.00% 33.30%
阪神・芝1800外 1- 2- 4-16/23 4.30% 13.00% 30.40%
中山・芝1800 3- 3- 4-29/39 7.70% 15.40% 25.60%
中山・芝1600 2- 0- 0- 8/10 20.00% 20.00% 20.00%
阪神・芝2000 1- 0- 0- 4/ 5 20.00% 20.00% 20.00%
東京・芝1600 0- 2- 1-12/15 0.00% 13.30% 20.00%
中山・芝2000 1- 2- 0-27/30 3.30% 10.00% 10.00%
阪神・芝1600外 0- 1- 0-13/14 0.00% 7.10% 7.10%

そして「距離実績」については、フローラSの前走コース別の成績を見ての通り、やはり前走でも長い距離を使っていた馬の一発が目立つのと、母数が大きい中でも高い好走率を誇る前走阪神芝1800mコース組の健闘振りも目を引きます。逆に総じて前走でも短い距離(マイル)を走っていた馬と、同じ距離2000mでもコース設計が大きく異なる中山芝2000mコース組の不振も目につきます。

阪神芝1800mコースはJRAの中でも屈指の好コース(能力を判定する上で最適なコース)で、最低限ペースが流れる展開になった場合には紛れがなく高いレベルで持続力と地力が問われるレースになるので、そこで好走を果たした馬は“本物”である可能性が高いと見なせるコースになっています。

また、前走阪神芝1800mコース組でフローラSを好走した7頭は全て前走時も好走していた馬で、逆に前走他コース組の場合には前走凡走馬の巻き返し(他のコースで凡走後にフローラSで一転好走)というパターンがかなり多く混じっていることからも、阪神芝1800mコースのレースとフローラSの直結度合いの高さも読み取れます。昨年9人気3着と穴をあけたシンシアウィッシュも前走阪神芝1800m組(君子蘭賞組)でした。

レース自信度(5段階評価):3

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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