今年から『騎手の健康と福祉および将来にわたる騎手の優秀な人材確保の観点から、平地競走における馬齢重量(3歳9月まで)および3(4)歳以上馬競走の別定重量における基礎重量ならびに最低負担重量を引き上げ(JRA発表から引用)』との斤量ルール変更がなされました。
それに伴って古馬G1レースの負担重量も58キロ(牝馬は56キロ)に統一されました。昨年までも天皇賞春と安田記念と宝塚記念と天皇賞春の4レースだけは負担重量が58キロと規定されていましたので、それらのレースについては現状維持となり、この大阪杯も含めたそれ以外の大多数のレースでは負担重量が1キロ引き上げられたという格好です。
この斤量ルール変更がどのような変化を生み出すのかについては、元々から負担重量が58キロと規定されていた上記4レースにおいて、『斤量経験(斤量実績)』が鍵を握っていたという点に注目します。それらでは例外なく、前走でも斤量58キロ以上(牝馬は56キロ以上)を背負っており今走では同斤量または斤量減での出走となる馬が好成績を上げており、前走で斤量57.5キロ以下(牝馬は55.5キロ以下)を背負っており今走では斤量増での出走となる馬は成績が振るわない傾向が認められます。
■データ1 安田記念の前走斤量別成績(過去10年)前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
増減無し | 2- 1- 2- 7/ 12 | 16.70% | 25.00% | 41.70% | 704 | 178 |
今回増 | 8- 9- 7-119/143 | 5.60% | 11.90% | 16.80% | 53 | 63 |
今回減 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.00% | 0.00% | 20.00% | 0 | 48 |
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
増減無し | 3- 1- 0- 5/ 9 | 33.30% | 44.40% | 44.40% | 228 | 152 |
今回増 | 7- 9- 10-130/156 | 4.50% | 10.30% | 16.70% | 18 | 69 |
今回減 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.00% | 0.00% | 0.00% | 0 | 0 |
参考として大阪杯と同じく春競馬に行われる天皇賞春と安田記念の前走斤量別成績データを載せましたが、出走母数が多いこともあり今回斤量増の馬の複勝率は10%台にとどまっているのに対して、今回斤量減または同斤量の馬の複勝率は約3倍もあるという高水準の数値をマークしています。
となると、前走でも格上のレースに出走していた実績馬にとって有利な変更になる様に見えるかも知れませんが、実はこの大阪杯は春競馬シーズンの初っ端に設定されているG1レースの立ち位置的に、必ずしも大目標として据えられるレースではないということもあって、G1常連馬にとっては分が良くないレースとなっています。
■データ3 前走出走レース別成績(G1昇格後17年以降)前走レース名 | 着別度数 |
---|---|
金鯱賞G2 | 3- 2- 1-18/24 |
中山記念G2 | 1- 1- 1- 6/ 9 |
有馬記念G1 | 1- 1- 0- 4/ 6 |
チャレンG3 | 1- 0- 0- 0/ 1 |
京都記念G2 | 0- 2- 1-12/15 |
小倉大賞HG3 | 0- 0- 1- 8/ 9 |
JCG1 | 0- 0- 1- 2/ 3 |
神戸新聞G2 | 0- 0- 1- 0/ 1 |
マイルチG1 | 0- 0- 0- 2/ 2 |
香港CG1 | 0- 0- 0- 3/ 3 |
前走出走レース別成績を見ると、大阪杯を休み明け初戦で迎える形になる前走G1レース出走馬は意外な程に振るわない傾向で、実際に22年1人気9着エフフォーリア(前走有馬記念)・21年2人気4着グランアレグリア(前走マイルCS)・21年3人気5着サリオス(前走マイルCS)・19年1人気6着ブラストワンピース(前走有馬記念)など人気を背負ってコケるケースが多々見られます。
その中でも4歳馬の名前が目に付くのは、前走までは古馬との斤量差が2キロ程ある中での戦いだったのに対して、今回から斤量差が一気に0キロに縮まるという中で戦わなければならないということで、4歳馬にとっては小さくないハードルがあるタイミングのレースということも言えます。
それらこの先のG1戦線への続戦も睨んでブッツケのローテで挑んできた馬よりも、キチンと前哨戦を使ったローテでここに照準を合わせて使ってきたという馬の方が本気度が窺え、安心して買うことができるレースと言えます。
レース自信度(5段階評価):3
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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