昨年の金鯱賞は内枠3枠3番を引いて単騎逃げに持ち込んだジャックドールがそのまま最後まで逃げ切るという決着でしたが、その金鯱賞に限らず昨年以降の中京競馬場の芝コースの重賞レースは内有利(内枠有利)の傾向が高頻度で出現しているというのが最新トレンドとなっています。
特に昨秋からそれが顕著となっており、昨年9月の神戸新聞杯の1枠2番ボルドグフーシュ3着から今年2月のきさらぎ賞の2枠2番フリームファクシ1着まで、実に8レース続けて1〜2番枠の極端な内枠を引き当てた馬が馬券に絡み続けている程です。それに対してその期間内に大外枠の8枠を引いた馬は中日新聞杯のマテンロウレオ1頭しか馬券に絡めていません。
それは限られた重賞レースだけに偶然の連続という可能性もありますが、平場も含めた全レースについても全体の傾向としては同様のことが言えることからも、ある程度必然的に起こっているという考え方もできるはずです。
実際に平場も含めた昨年以降の中京競馬場の芝コースの全レースの枠順別成績で、好走率など各種成績データの数値が高いのは内枠の3枠と2枠で、逆に最も数値が低いのは外枠の8枠と7枠で、大よそ内目の枠順に入れば入るほど好成績(逆に言えば外目の枠順に入れば入るほど不成績)という傾向が顕著に読み取れる結果となっています。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 39- 29- 22-277/367 | 10.60% | 18.50% | 24.50% | 76 | 65 |
2枠 | 43- 43- 33-271/390 | 11.00% | 22.10% | 30.50% | 124 | 100 |
3枠 | 44- 47- 22-298/411 | 10.70% | 22.10% | 27.50% | 78 | 76 |
4枠 | 37- 26- 47-317/427 | 8.70% | 14.80% | 25.80% | 68 | 83 |
5枠 | 32- 37- 45-332/446 | 7.20% | 15.50% | 25.60% | 59 | 87 |
6枠 | 30- 32- 42-375/479 | 6.30% | 12.90% | 21.70% | 82 | 64 |
7枠 | 35- 31- 39-433/538 | 6.50% | 12.30% | 19.50% | 81 | 61 |
8枠 | 26- 42- 35-460/563 | 4.60% | 12.10% | 18.30% | 26 | 44 |
その背景としては、改修工事中の京都競馬場の代替開催がこの中京競馬場で多く行われることになり、芝の張替えを実施するタイミング(回数)を増やすなど、通常時よりも馬場を綺麗に保つ馬場造園課の積極的な取り組みが効力を発揮しているものと考えられます。昨年の同開催前と同じく、冬開催後に通常は行わない芝の張替え作業を行ったという今年の春開催においても、内有利(内枠有利)の傾向が継続して出現する可能性が極めて高いと見られます。
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|
逃げ | 4- 2- 3- 8/ 17 | 23.50% | 35.30% | 52.90% | 1585 | 321 |
先行 | 4- 6- 2- 44/ 56 | 7.10% | 17.90% | 21.40% | 19 | 137 |
中団 | 7- 7- 9- 64/ 87 | 8.00% | 16.10% | 26.40% | 31 | 80 |
後方 | 2- 2- 3- 61/ 68 | 2.90% | 5.90% | 10.30% | 31 | 22 |
また、この中京芝2000mコースについては、そもそも“逃げ残り”傾向が顕著な舞台条件となっています。近年の中京芝2000mで行われた牝馬限定戦を除く重賞レースでは、軒並み逃げ馬がそのまま残る形の前残り決着ばかり起こっており、特に21年金鯱賞では逃げたギベオンが10番人気1着、21年鳴尾記念では逃げたユニコーンライオンが8番人気1着、21年中日新聞杯では逃げたショウナンバルディが8番人気1着、22年きさらぎ賞では逃げたメイショウゲキリンが8番人気3着、22年金鯱賞では逃げたジャックドールが1番人気1着で、機会5連続で逃げた馬が激走を果たすという顕著な逃げ有利傾向が出現していたこともありました。
それらを含めて、17年以降の牝馬限定戦を除く重賞レースで逃げた馬は[4-2-3-8](複勝率52.9%)というハイアベレージで、その中で上位人気馬(1〜4人気馬)は22年金鯱賞1着ジャックドール1頭しかおらず、ほぼ全てが人気薄馬による激走だったことも踏まえれば、同コースで逃げを打つことの有利さが如実にうかがい知れます。
レース自信度(5段階評価):3
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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