キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年弥生賞ディープインパクト記念

ノーザンファーム勢が振るわない現3歳世代

今の日本競馬(主流芝路線)は一強体制のノーザンファームが牽引していると言っても過言ではない状況で、その一グループの好不調次第でトップ戦線における世代レベルという大枠についてもダイレクトに上下するという構図になっています。


■データ1 2020年の2歳世代重賞の生産牧場別成績

生産者 着別度数
ノーザンファーム 12- 8- 6-26/52
ビッグレッドファーム 1- 1- 1- 3/ 6
Scuderia Effevi Srl & Dioscuri Srl 1- 0- 0- 1/ 2
岡田スタツド 0- 1- 0- 4/ 5
ダーレー・ジャパン・ファーム 0- 1- 0- 2/ 3
ケイアイファーム 0- 1- 0- 2/ 3
前野牧場 0- 1- 0- 1/ 2
アラキフアーム 0- 1- 0- 0/ 1
社台ファーム 0- 0- 2- 9/11
オリエント牧場 0- 0- 2- 0/ 2

■データ2 2022年の2歳世代重賞の生産牧場別成績

生産者 着別度数
ノーザンファーム 4- 6- 4-32/46
下河辺牧場 3- 1- 0- 1/ 5
シンボリ牧場 1- 0- 1- 2/ 4
ミルファーム 1- 0- 0- 5/ 6
グランデファーム 1- 0- 0- 2/ 3
本間牧場 1- 0- 0- 1/ 2
栄進牧場 1- 0- 0- 1/ 2
サンデーヒルズ 1- 0- 0- 1/ 2
カタオカフアーム 1- 0- 0- 1/ 2
杵臼牧場 0- 3- 0- 1/ 4

その好例が2年前の3歳世代(現5歳世代)で、当初からノーザンファーム勢が快進撃を見せていた世代です。2歳重賞では3戦目の札幌2歳S(ソダシ)から14戦目のホープフルS(ダノンザキッド)までノーザンファーム勢が12連勝という前代未聞の大記録を成し遂げ、その勢いのままに3歳重賞でも日本ダービーでは同一牧場の史上最多出走頭数という12頭出しで掲示板を独占して、桜花賞でも上位7頭を独占しました。それらは上述の通り世代レベルの鍵を握るノーザンファーム勢の生産と育成が大成功を収めていたということになりますので、世代レベルの高さが読み取れる結果でもありました。実際に同世代の3歳夏以降の対古馬重賞における対戦成績は、過去数十年間の中でも最高水準の好成績だっただけに、後から振り返っても紛れもなくハイレベル世代だったということが言えます。

それに対して今年の3歳世代は、2年前の世代でノーザンファーム勢が14レース中12レースで勝利を収めた2歳重賞では、わずか4勝にとどまりました。年が明けて3歳重賞においても、ノーザンファーム勢は全6レースで2勝のみと、オープン特別まで含めれば全14レースで3勝止まりという近年の中でも最も低調と言える結果が続いています。

世代レベルの鍵を握るノーザンファーム勢のエンジンが掛かっておらずに、一線級の活躍馬を十分に供給できていなかった2歳重賞のレベル(現状の3歳世代のレベル)については、例年よりも見劣る可能性が高いという見方ができます。

牝高・牡低の現3歳世代


■データ3 2022年の2歳重賞OP競走の性別別成績(牡馬牝馬混合戦のみ)

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率
牡馬セン馬 17- 19- 19-162/217 7.80% 16.60% 25.30%
牝馬 10- 8- 8-69/95 10.50% 18.90% 27.40%

また昨年の2歳重賞では、函館2歳Sを皮切りに重要度の高い新潟2歳Sと札幌2歳Sでも牝馬が勝利して重賞3連勝、さらにはオープン特別も含めれば牝馬が8連勝スタートを見せていたのが特筆すべき出来事としてありました。その後の牡馬牝馬混合の重賞レースでは、そもそも牝馬が1頭も出走していないレースばかりなので牡馬がほぼ勝利を収めていますが、その中でも牝馬の出走があったレースの多くでは牝馬がキチンと馬券内に食い込む活躍を見せています。

昨年の3歳世代(現4歳世代)では、世代限定の牡馬牝馬混合の重賞レースの連対馬はほぼ牡馬が占めていたことと比較すると、今年の3歳世代は牝馬が強くて牡馬が弱いという“牝高・牡低”の傾向が読み取れます。

ちなみに、先ほど紹介した今年の3歳世代のノーザンファーム勢のこれまでの重賞&オープン特別の勝利数についても、その多くは牝馬が占めていました。

それらのことから、近年の中では最もノーザンファーム勢が活躍できておらず、なおかつ同世代牝馬に対しても劣勢となっている現3歳世代牡馬の世代レベルは、やはり例年よりも見劣る可能性がかなり高いという見方ができます。

レース自信度(5段階評価):3

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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