基本的に出走してくる人馬は誰もが勝利を目指して、力の限りを尽くし合う地力勝負の色合いが濃いのがGIレースです。それに対して、特に有力視される馬であればあるほどに、目の前の勝利よりもその先のGIレースに向けての調整的な色合いも少なからずあるのがGIIレースです。GIレースとGIIレースとでは格付け的には近い位置にあるレースですが、そういう面では実際には正反対の顔を持っているレースであるというわけです。
そんな独特な性格を持っているGIIレースでの基本的な狙い方としては「逃げ先行有利」という点が挙げられます。その要因としては主に三点あり、多くが開催序盤の馬場が良い時期に行われるという点と、この先に本番レースが控えているので馬を消耗させたくないという騎手意識と、同じく本番レースでの操縦性を高めるために位置取りよりも折り合い重視の競馬をさせたいという騎手意識から、馬場的にもペース的にも展開的にも自ずと「逃げ先行有利(差し追い込み不利)」が形成されがちということです。
4角位置 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
4角1番手 | 1- 1- 3- 5/ 10 | 10.00% | 20.00% | 50.00% |
2番手 | 0- 3- 2- 7/ 12 | 0.00% | 25.00% | 41.70% |
3番手 | 5- 0- 1- 8/ 14 | 35.70% | 35.70% | 42.90% |
4番手 | 4- 2- 0- 5/ 11 | 36.40% | 54.50% | 54.50% |
5番手以下 | 0- 4- 4- 68/ 76 | 0.00% | 5.30% | 10.50% |
特にこの中山記念については、冬競馬でごく最近までCコースを使い込まれた後のAコース替わりで“グリーンベルト状態(酷使されていた馬場の外が荒れた状態⇔保護されていた馬場の内が綺麗な状態)”という開催スケジュールもそれを助長しており、実際に過去10年の4角位置取り別成績のデータを見ての通り、馬券内好走馬の8割近くは4角4番手以内で競馬をしていた逃げ先行馬で、4角5番手以下で競馬をしていた差し追い込み馬は1頭も勝てていないという極端な先行有利の傾向となっています。
昨年こそハイペースで逃げるパンサラッサの存在により例外的に差し追い込み有利の決着(それでも勝ち馬は逃げ馬)となりましたが、その様なレースをかき乱す存在が見当たらずに、先のG1レースを見据えた競馬をしたいという豪華な面々が揃うという今年は、2年前までの傾向通りに “中山記念ポジション”と言うべき4角1〜4番手までの好位置を確保する馬が恵まれる可能性が高いと見ます。
騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 全体騎乗数 |
---|---|---|---|---|---|
ルメール | 23- 8- 2-21/54 | 42.60% | 57.40% | 61.10% | 97 |
川田将雅 | 15-11- 2-11/39 | 38.50% | 66.70% | 71.80% | 84 |
松山弘平 | 14-12-12-45/83 | 16.90% | 31.30% | 45.80% | 147 |
横山武史 | 14- 6-10-40/70 | 20.00% | 28.60% | 42.90% | 137 |
坂井瑠星 | 13- 6- 9-37/65 | 20.00% | 29.20% | 43.10% | 138 |
岩田望来 | 13- 6- 8-30/57 | 22.80% | 33.30% | 47.40% | 136 |
福永祐一 | 12- 8- 7-16/43 | 27.90% | 46.50% | 62.80% | 105 |
ムルザバエフ | 12- 5- 4-21/42 | 28.60% | 40.50% | 50.00% | 115 |
戸崎圭太 | 11- 8- 3-26/48 | 22.90% | 39.60% | 45.80% | 127 |
西村淳也 | 9- 7- 8-18/42 | 21.40% | 38.10% | 57.10% | 105 |
武豊 | 9- 7- 6-28/50 | 18.00% | 32.00% | 44.00% | 98 |
イーガン | 8- 4- 6-22/40 | 20.00% | 30.00% | 45.00% | 71 |
その“中山記念ポジション”を確保できるのはどの馬なのかについては、もちろん馬自身の脚質というのが最も基本的なソースとなるわけですが、それと共に騎乗する騎手のさじ加減という側面も大きなウェートを占めます。
そこで期待できるのが常日頃から先行意識が高いという騎手です。今年、一定以上の騎乗数がある騎手の中で、先行競馬(4角4番手以内)をしている割合が50%以上をマークしている騎手を列挙すると、「1位松山騎手→2位イーガン騎手→3位ルメール騎手→4位横山武騎手→5位武豊騎手→6位吉田隼騎手」の計6名の名前が挙げられます。
その内、ルメール騎手については圧倒的な馬質由来の所もありますが(基本的に強い馬ほど走力が高いので自ずと前に行く競馬になりやすい)、他の5騎手については馬質以上に前に行く競馬を志向していることが読み取れます。
松山騎手や横山武騎手については一般的なイメージ通りのデータかと思われますが、武豊騎手については今年に入ってから後方競馬をすることがめっきり減って先行競馬が増えているというのは注目すべき点でしょう。
レース自信度(5段階評価):3
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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