中央のダートGIレースは、何よりも馬の絶対的な能力が問われてくるレースであり、それによって強い馬がそのまま力通りに順当に好走しやすいレースというのがまず大前提となります。
その主な背景は二点あり、一つ目はそもそものダートレースの性質で、二つ目には中央のダートGIレースの性格です。一つ目のダートレースの性質について。ダートレースは芝レースと比較すると、一貫したペースで流れやすく、レースによるペースの上下差が小さい分だけ展開に左右される所が小さいです。また、良馬場時と道悪時の時計差も小さく、馬場バイアスの発生頻度や発生度合いも小さい分だけ馬場に左右される所も小さいです。つまりは能力以外の要素の介入の度合いは小さいので、その分だけ純粋に絶対的な能力が問われる比重が大きいと言えます。
このフェブラリーSが行われる東京ダート1600mコースにおいては外枠有利が常識として扱われていますので、枠順の要素も大きいのではないかと思われるかも知れませんが、ただしその枠順の有利不利の影響を大きく受けるのはまだ力が備わっていない馬同士のレース(下級クラス戦)の方で、オープンクラスの馬同士のレースとなるとその影響は薄れるというのが実情としてあります。
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 108- 113- 109-1988/2318 | 4.70% | 9.50% | 14.20% |
2枠 | 146- 137- 170-1983/2436 | 6.00% | 11.60% | 18.60% |
3枠 | 170- 143- 161-2080/2554 | 6.70% | 12.30% | 18.60% |
4枠 | 179- 159- 193-2113/2644 | 6.80% | 12.80% | 20.10% |
5枠 | 176- 207- 180-2133/2696 | 6.50% | 14.20% | 20.90% |
6枠 | 201- 202- 189-2155/2747 | 7.30% | 14.70% | 21.60% |
7枠 | 196- 221- 195-2166/2778 | 7.10% | 15.00% | 22.00% |
8枠 | 229- 223- 205-2127/2784 | 8.20% | 16.20% | 23.60% |
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 4- 8- 5-132/149 | 2.70% | 8.10% | 11.40% |
2枠 | 14- 13- 13-118/158 | 8.90% | 17.10% | 25.30% |
3枠 | 13- 7- 11-134/165 | 7.90% | 12.10% | 18.80% |
4枠 | 10- 7- 20-133/170 | 5.90% | 10.00% | 21.80% |
5枠 | 8- 14- 10-143/175 | 4.60% | 12.60% | 18.30% |
6枠 | 16- 7- 13-140/176 | 9.10% | 13.10% | 20.50% |
7枠 | 12- 19- 8-141/180 | 6.70% | 17.20% | 21.70% |
8枠 | 13- 16- 10-141/180 | 7.20% | 16.10% | 21.70% |
実際にクラスを問わずに全レースのデータを見ると、勝率など各数字が良好な枠順は外枠(6~8枠)に集中しており、綺麗に外の枠順であればあるほどに有利ということが言えます。それに対してオープンクラスのレースだけに絞ったデータを見ると、さすがに最内の1枠については厳しい数字となっていますが、その他では内枠と外枠に有意な差が生まれておらず、むしろ総合的には内枠の2枠の数字が最も良好(勝率2位・連対率2位・複勝率1位)となっている程です。
二つ目の中央のダートGIレースの性格について。フェブラリーSとチャンピオンズCという僅か2つの中央GIレースしか設定されていない今の日本競馬のダート路線では、一握りのトップホースがタイトルを寡占する状況が生まれやすいですし、頂上決戦の様相だけに本気度や仕上がり度合いが高いレベルで拮抗して差異が生じづらいということが言えますので、やはり根本的な能力がどうなのかという点が最も問われるというわけです。
前走レース名 | 着別度数 |
---|---|
チャンピG1 | 3- 3- 2- 9/17 |
根岸SG3 | 3- 2- 3-49/57 |
東海SG2 | 3- 1- 1-17/22 |
フェアウH | 1- 0- 0- 0/ 1 |
東京大G1 | 0- 2- 1-12/15 |
川崎記G1 | 0- 2- 1-13/16 |
フェブラリーSの3着内好走馬を数多く輩出している前走レースとしては、(過去10年間で)前走根岸S組が[3-2-3-49]で8頭・前走チャンピオンズC組が[3-3-2-9]で8頭・前走東海S組が[3-1-1-17]で5頭という順になっていますが、前走レースに限らなければGIII競走でありながらも好走馬を1年平均1頭超の計算となる大挙11頭も輩出している前年秋の武蔵野S組こそが、実は最も有力なフェブラリーSのステップレースであるという見方ができます。
その武蔵野SはこのフェブラリーSと唯一同じ舞台条件で施行される古馬の重賞レースですが、武蔵野Sの「出走馬」からフェブラリーSの「好走馬」が大量に輩出される一方、武蔵野Sの「好走馬」がフェブラリーSでもそのまま「好走馬」になるという意味での直結度に関しては必ずしも高くないという点がとても大事なポイントになります。
その最たる要因は両レースの時計面のギャップです。馬場の軽い秋に行われる武蔵野Sと、馬場の重い冬に行われるフェブラリーSとでは、実は格下の武蔵野Sの方が速い時計を求められる傾向にあります。それら両レースの決着時計が遠い場合には、両レースの好走馬の顔触れが食い違ってくるわけですが、時に両レースの決着時計が近いという場合には両レースの好走馬の顔ぶれが一致するということになるわけです。
具体的には過去10年間で武蔵野SとフェブラリーSの決着時計の差が0.8秒以内だった年は14年、16年、18年、20年、21年の計5年あり、その場合の前年武蔵野S好走馬のフェブラリーS成績は12頭中5頭好走で、直結傾向となっていました。
逆に決着時計の差が0.9秒以上だった年は13年、15年、17年、19年、22年の計5年あり、その場合の前年武蔵野S好走馬のフェブラリーS成績は9頭中2頭好走で、非直結傾向となっていました。
レース自信度(5段階評価):3
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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