キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2023年京都記念

昨年はほぼ一貫して内有利の馬場バイアスだった阪神芝コース


■データ1 2022年の阪神芝レースの枠順別成績

枠番 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1枠 26- 38- 34-243/341 28.70% 80 90
2枠 34- 39- 45-241/359 32.90% 122 96
3枠 33- 36- 24-285/378 24.60% 119 81
4枠 37- 25- 45-292/399 26.80% 86 66
5枠 28- 34- 26-335/423 20.80% 61 57
6枠 36- 39- 29-345/449 23.20% 76 79
7枠 35- 31- 42-398/506 21.30% 63 73
8枠 42- 28- 24-433/527 17.80% 51 45

昨年の阪神競馬場の芝コースのレースにおける最大のトピックは、最初(2月開催)から最後(12月開催)までほぼほぼ一貫して内有利の馬場バイアスが顕著であり続けたという点です。
最初に行われた重賞レースの京都記念では、逃げたアフリカンゴールドが12人気1着、1枠1番のタガノディアマンテが8人気2着という内有利の波乱決着となりました。

そして、その後も2戦目京都牝馬ステークス(2着スカイグルーヴ)→阪急杯(2着トゥラヴェスーラ)→チューリップ賞(2着ピンハイ)→フィリーズレビュー(2着ナムラクレア)と4レース続けて、1〜2番枠の極端な内枠を引き当てた馬が連対を果たしていました。

年間を通して見てみても、外枠の馬が活躍を見せたのは菊花賞とエリザベス女王杯と阪神カップのわずか3レースだけで、その菊花賞は長距離戦で前半3F34.9秒のハイペース、エリザベス女王杯は道悪で前半3F35.3秒のハイペース、阪神カップは前半3F33.4秒のハイペースで、そういう特殊な状況か極端なハイペースにならない限りは、程度の強弱はあるとしても基本内有利というのは常に不変の傾向として根付いていました。

もちろん、それは重賞レースだけではなく、平場も含めた全レースについて当てはまる話で、実際に昨年の阪神競馬場の芝コースのレースの枠順別成績で複勝率が高いのは「2枠→1枠→4枠→3枠」の順で、逆に最も複勝率が低いのは「8枠」で、綺麗に内枠(1~4枠)が好成績⇔外枠(5~8枠)が不成績となっていました。

前開催(昨年12月開催)がBコース使用だったのに対して、今開催は当時保護されていたAコース使用から始まるという点も内有利を助長すると考えられますので、特に有利になりそうな1〜2枠の馬は問答無用で要警戒と言えます。また必ずしも内枠でなくとも、逃げる馬や内を突くタイプの馬などレースを通して内を長く通る可能性が高い馬は評価を上げる必要があります。

一般的な条件とはガラリと異なる血統勢力図の阪神芝2200mコース

この阪神芝2200mコースで施行される重賞レースは、通常のスケジュールの年だと「宝塚記念」のみで、オープン特別レースまで広げて見ても「すみれステークス」が加わるだけです。それだけJRAの数あるコースの中でも“亜流”のコースということが言えますし、コース形態的にも急坂コース+直線の短い内回りコース+非根幹の距離2200mなど特殊に次ぐ特殊なコースだけに、実際に活躍する血統(種牡馬)も他の条件とはガラリと異なってくるというのがポイントです。


■データ2 阪神芝2200mの種牡馬別成績(2019年以降/1勝クラス以上/最少機会数8)

種牡馬 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ハービンジャー 3- 1- 3-11/18 38.90% 63 132
ノヴェリスト 1- 1- 2- 7/11 36.40% 154 135
オルフェーヴル 2- 3- 2-13/20 35.00% 36 115
キズナ 3- 2- 2-14/21 33.30% 387 152
ルーラーシップ 2- 3- 6-22/33 33.30% 25 86
ゴールドシップ 2- 0- 1- 6/ 9 33.30% 76 50
エピファネイア 0- 3- 3-12/18 33.30% 0 162
キングカメハメハ 2- 5- 1-21/29 27.60% 45 56
ハーツクライ 5- 1- 3-25/34 26.50% 62 43
ディープインパクト 4- 7- 4-55/70 21.40% 12 34

昨年の種牡馬リーディング1位はディープインパクト、2位はロードカナロア、3位はハーツクライでしたが、それら一般的な条件で強さを見せている現代の3大種牡馬の産駒は軒並みこのコースでは低迷しており、特にディープインパクト産駒に至っては別表の条件では単複回収率23%(単勝回収率12%、複勝回収率34%)という極端な不振結果となっています。

逆に同条件で強い血統としては、総じてタフな適性を持ち合わせるステイゴールド系種牡馬の産駒と、上位3頭(ハービンジャー・ノヴェリスト・オルフェーヴル)については現役時代に欧州の中長距離G1レースで活躍したという共通点が見出せます。実際に京都記念が同コースで行われた前2年の馬券内好走馬6頭中3頭はステイゴールド系種牡馬の産駒でした。

レース自信度(5段階評価):3

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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