春の古馬マイルGI戦線へと繋がる一戦として、重要なステップレースとなっている東京新聞杯。この東京芝1600mコースで行われる牡馬牝馬混合の古馬重賞としては、春のGIレースである安田記念と、秋のGI前哨戦の位置付けである富士ステークスの計3レースが設定されていますが、それらの中でもこの冬の東京新聞杯だけが異質な特性を持つレースとなっています。
というのも、近年の東京芝(特に春開催と秋開催)は最後の直線でどれだけスムーズに良い脚を使えるかという、瞬発力こそが物を言う馬場になりやすい傾向となっています。しかし、この冬開催においては厳冬期で生育状況が良いとは言えない芝の状態と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から瞬発力の要求度は多少落ちて、より位置取り(前有利)やコース取り(内有利)という要素の比重が増すという、春開催&秋開催とは一味違った傾向となっています。
具体的に私の独自集計のデータを紹介すると、18〜21年までの4年間で内有利バイアスが発生した週の割合は、春開催では25%、秋開催では19%、冬開催では42%でした。逆に外有利バイアスが発生した週の割合は、春開催&秋開催では共に22%でしたが、冬開催では0%でした。つまり、ひと口に東京芝コースと言っても、「冬開催」と「春開催&秋開催」のカテゴライズで異なる見方をする必要性があるということです。
枠番 | 着別度数 | 連対率 |
---|---|---|
1枠 | 1- 1- 1-13/16 | 12.50% |
2枠 | 2- 2- 0-13/17 | 23.50% |
3枠 | 2- 1- 0-16/19 | 15.80% |
4枠 | 3- 2- 1-13/19 | 26.30% |
5枠 | 1- 1- 2-15/19 | 10.50% |
6枠 | 1- 2- 3-13/19 | 15.80% |
7枠 | 0- 1- 2-17/20 | 5.00% |
8枠 | 0- 0- 1-18/19 | 0.00% |
枠番 | 着別度数 | 連対率 |
---|---|---|
1枠 | 1- 0- 1-14/16 | 6.30% |
2枠 | 1- 0- 1-16/18 | 5.60% |
3枠 | 1- 0- 1-16/18 | 5.60% |
4枠 | 2- 2- 1-13/18 | 22.20% |
5枠 | 3- 1- 0-15/19 | 21.10% |
6枠 | 0- 2- 1-17/20 | 10.00% |
7枠 | 0- 2- 5-15/22 | 9.10% |
8枠 | 2- 3- 0-17/22 | 22.70% |
枠番 | 着別度数 | 連対率 |
---|---|---|
1枠 | 0- 2- 1-14/17 | 11.80% |
2枠 | 0- 1- 0-16/17 | 5.90% |
3枠 | 2- 0- 1-16/19 | 10.50% |
4枠 | 0- 2- 1-16/19 | 10.50% |
5枠 | 4- 1- 0-15/20 | 25.00% |
6枠 | 0- 2- 2-16/20 | 10.00% |
7枠 | 4- 1- 2-16/23 | 21.70% |
8枠 | 0- 1- 3-21/25 | 4.00% |
実際に3つの牡馬牝馬混合の古馬重賞もそれら季節毎の馬場傾向をストレートに反映する決着傾向となっています。春の安田記念と秋の富士Sでは中〜外目の枠順から直線では馬場の中〜外に持ち出して末脚を伸ばしてくるタイプが主な好走馬のパターンになっているのに対して、冬の東京新聞杯では前に行くにしても差すにしても真ん中よりも内目の枠順から馬場の内〜中を通って上手く立ち回るタイプが主な好走馬のパターンになっています。
その一方で、つい昨年については例外的に冬開催を通して外枠有利の傾向が出ており、この東京新聞杯でも先行した馬は軒並み二桁着順に沈んだ一方、外から差して来た馬ばかりが上位入線を果たすという完全な外有利決着となっていました。
枠番 | 着別度数 | 連対率 |
---|---|---|
1枠 | 0- 2- 0-12/14 | 14.30% |
2枠 | 1- 3- 2- 8/14 | 28.60% |
3枠 | 2- 1- 0-11/14 | 21.40% |
4枠 | 4- 0- 1-10/15 | 26.70% |
5枠 | 0- 2- 1-13/16 | 12.50% |
6枠 | 2- 0- 3-12/17 | 11.80% |
7枠 | 1- 1- 2-15/19 | 10.50% |
8枠 | 0- 1- 1-17/19 | 5.30% |
その昨年で潮目が変わったという可能性も考えられましたが、開幕週(先週)の東京芝コースでは連対率が上位だった枠順を順に並べると「2枠→4枠→3枠→1枠→…→8枠」の通りで、2年前までの例年の傾向通りの内有利傾向への回帰が見られましたので、昨年はあくまでもイレギュラーな事象と処理して2年前までの決着傾向を重視すべきと考えます。
レース自信度(5段階評価):3
キムラヨウヘイの
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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