キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2022年有馬記念

近年の中でもハイレベルな3歳世代牡馬


■データ1 古馬混合・芝オープン競走での3歳馬成績(秋天の前週まで)と古馬三冠レースでの3歳馬成績

  着度数 複勝率 秋天&JC&有馬での3歳馬勝利数
2022年 [3-2-4-15] 38% 現在1勝
2021年 [8-3-7-20] 47% 2勝
2020年 [2-5-0-29] 19% 0勝
2019年 [4-5-1-34] 23% 0勝
2018年 [3-6-6-29] 34% 2勝
2017年 [3-0-3-29] 17% 0勝
2016年 [4-3-2-24] 27% 1勝
2015年 [2-2-4-39] 17% 0勝
2014年 [3-3-2-29] 22% 0勝
2013年 [1-1-4-33] 15% 0勝
2012年 [9-4-3-33] 33% 2勝
2011年 [3-2-4-34] 21% 1勝
2010年 [5-4-4-16] 45% 2勝

毎年の3歳世代馬の“世代レベル”と“秋古馬三冠レースにおける成績”には深い関連性があります。近年、天皇賞秋の前週までに古馬混合・芝オープン競走で3歳世代馬の活躍が顕著(複勝率30%超)だったのは2010年・2012年・2018年・2021年の4つの年でしたが、それらの年だけは天皇賞秋・ジャパンカップ・有馬記念の秋古馬三冠レースで3歳世代馬が複数勝利を挙げており、逆にそれ以外の年は古馬世代を下回る勝利数にとどまっていました。

今年の3歳世代馬は近10年では2番目の高水準である複勝率38%をマークしていましたので、実際に天皇賞秋の回でも『3歳世代馬が世代レベルの高さによって3歳馬劣勢のデータを覆す可能性が考えられます』として3歳世代馬のイクイノックスとダノンベルーガを推奨馬としてピックアップしましたが、結果的にもその2頭が数多の古馬勢を圧倒する末脚を見せて共に好走に至りました。

その天皇賞秋は3歳10月時点で古馬との斤量差が2キロだけということもあって、本来は3歳馬にとって不振傾向があるレースでした(過去35年間で3勝)。逆に有馬記念はそれから2か月が経過した3歳12月でも古馬との斤量差は同じく2キロのままということもあって、3歳馬にとって優勢傾向があるレースです(過去35年間で13勝)。

世代レベルの高さを背景にして、鬼門である天皇賞秋でも過去最高の結果を残したハイレベルな現3歳世代牡馬にとって、施行時期と斤量差の関係性から天皇賞秋よりも有利に働くはずの有馬記念では当時以上の活躍が期待できるはずです。

上位人気の命運を分けるのは余力の有無


■データ2 前走レース別成績(過去10年/複勝率順)

前走レース名 着別度数 複勝率
コックスプレート 1- 0- 0- 0/ 1 100.00%
凱旋門 1- 1- 2- 3/ 7 57.10%
菊花賞 3- 1- 2- 7/13 46.20%
天皇賞秋 2- 2- 1-12/17 29.40%
アルゼンチン共和国杯 1- 0- 0- 5/ 6 16.70%
ジャパンカップ 2- 2- 5-47/56 16.10%
金鯱賞 0- 2- 0-13/15 13.30%
エリザベス女王杯 0- 2- 0-18/20 10.00%

このグランプリ有馬記念は、年間の中で最も馬券を売り上げるレースであるなど“中央競馬の中で最も大きなレース”と言っても差し支えないでしょうが、ただし“中央競馬の中で最高峰のレース”というわけではありません。現代競馬でトップに位置する馬にとっては、東京の大レースと比べると紛れが生じる余地の大きい特殊なレース条件である有馬記念は敬遠しがちという実情があります。その理由でもある紛れを生む要素としては「年末のタフな馬場適性」・「トリッキーな小回りコース適性」・「年末の一戦だけに余力の有無」・「最終週の施行だけに枠順の有利不利」などが挙げられますが、その中でも危険な人気馬を生み出す最たる要素は「余力の有無」にあります。

実際に近年の有馬記念で好成績を残しているのは凱旋門賞組・菊花賞組・天皇賞秋組という一定の間隔が空くローテで臨んだ馬で、逆に近年の有馬記念で1、2番人気を背負いながらも馬券外に飛んだ馬のほとんどは間隔が詰まるローテのジャパンC組となっています。

昨年は上位人気馬が全て「余力の有無」では問題にならない一定の間隔が空いたローテで臨んでいたことが、1〜5番人気馬がそのまま1〜5着までに入線するという順当決着を生んだものと考えられます。今年はヴェラアズールのみ鬼門と言うべきジャパンC組ですが、その他の上位人気馬は全てその観点はクリアしていますので、それらが順当に上位入線を果たす“穏当決着”が見込まれます。

レース自信度(5段階評価):4

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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