キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2022年菊花賞

京都競馬場の改修工事に伴って、昨年に引き続き2年連続で阪神競馬場(阪神芝3000m)にて施行される菊花賞。通常の年では年間の中で阪神大賞典でしか使われることがないレアな阪神芝3000mのレースを攻略する上でのポイント、京都ではなく阪神に開催場が入れ替わることで従来とはガラリと異なってくるだろう血統傾向、京都から阪神に開催場が入れ替わっても従来とは変わらず有効だろうローテ傾向について、データを元にアナライズしていきます。

消耗戦になる阪神芝3000mは前が崩れやすく、スタミナを温存できる中団待機勢が有利


■データ1 阪神3000mの重賞レースの脚質別成績(近10年)

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率
平地・逃げ 1-  0-  2-  8/ 11 9.10% 9.10% 27.30%
平地・先行 4-  5-  4- 28/ 41 9.80% 22.00% 31.70%
平地・中団 1-  4-  1- 22/ 28 3.60% 17.90% 21.40%
平地・後方 0-  1-  4- 34/ 39 0.00% 2.60% 12.80%
平地・マクリ 5-  1-  0-  0/  6 83.30% 100.00% 100.00%

同じ阪神芝3000mで行われる阪神大賞典は、屈指の差し有利レースとなっています。今年に限っては、近10年の中で最も遅い前半通過タイムのスローペース展開によって、例外的に先行有利レースとなりましたが、一昨年は10頭立てで「道中通過順9番手(ブービー追走)→10番手(最後方追走)→7番手」という極端な追い込み有利決着に、昨年も13頭立てで「道中通過順4番手→12番手(ブービー追走)→13番手(最後方追走)」という同様の追い込み有利決着でした。

その背景としては、このコースはスタミナが強く要求されるレースになりがちで、一般的にはメリットになりやすい位置取りの高さも、むしろ追走によりスタミナを削ぐデメリットとして作用しやすいということだと見られます。それによって、道中は中団以降に構える位置取りでスタミナを温存して、勝負所から捲る競馬もしくは差す競馬をするのが好走パターンの競馬となっています。

阪神の長距離レースではキングカメハメハ系に注目


■データ2 阪神芝2200m以上の特別レースの種牡馬別成績(2019年以降/最少レース数10/連対率順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ドゥラメンテ 3-  2-  1-  5/ 11 27.30% 45.50% 54.50% 155 119
ジャスタウェイ 1-  5-  2-  6/ 14 7.10% 42.90% 57.10% 42 143
キズナ 5-  5-  1- 14/ 25 20.00% 40.00% 44.00% 391 192
ノヴェリスト 4-  1-  2-  9/ 16 25.00% 31.30% 43.80% 90 96
キングカメハメハ 5- 10-  3- 38/ 56 8.90% 26.80% 32.10% 50 92
ディープインパクト 11- 13- 12- 84/120 9.20% 20.00% 30.00% 70 72

第1回の京都大賞典の回で取り上げましたが、京都長丁場と阪神長丁場とでは好走する馬の血統がガラリと入れ替わります。ディープインパクト産駒についてはコース不問で強さを発揮するものの、総じて下り坂での走りが得意なステイゴールド系は京都よりも阪神で大きく成績を落とし、逆に急坂が得意なキングカメハメハ系と下り坂が苦手なハーツクライ産駒は京都よりも阪神で成績を大きく上げる傾向があります。

実際に同じく京都競馬場ではなく阪神競馬場で代替施行された今年の天皇賞春では、例年ならば激走血統とされるステイゴールド系は大挙7頭出走も全て5着以下に沈んだ一方で、例年ならば危険血統とされるキングカメハメハ系(1着ドゥラメンテ産駒&3着リオンディーズ産駒&4着キングカメハメハ産駒)が大活躍を見せたというのも、京都と阪神で好走血統が全く異なることを象徴する結果だったと言えます。

菊花賞も昨今のトレンドである間隔が空いたローテで挑む馬に注目


■データ3 菊花賞のレース間隔別成績(近8年)

間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
中1週 0-  0-  0-  6/  6 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
中2週 0-  0-  0-  9/  9 0.00% 0.00% 0.00% 0 0
中3週 5-  3-  3- 44/ 55 9.10% 14.50% 20.00% 38 40
中4〜7週 2-  4-  2- 46/ 54 3.70% 11.10% 14.80% 39 59
中8週以上 0- 1- 3- 6/10 0.00% 10.00% 40.00% 0 273

昨今、最高峰の舞台であるG1レースで激走を果たす上で最も重要なのは、出走時点でどれだけフレッシュな状態でレースに挑めるかどうかに懸かっていると言っても過言ではないでしょう。

それは未だにトライアルレースを経て本番に歩を進めるというローテーションが常識的になっている菊花賞でも例外ではなく、中8週以上の間隔が空いたローテーションで挑んだという一握りの馬たちの中から、「14年ゴールドアクター7人気3着」・「16年レインボーライン9人気2着」・「17年ポポカテペトル13人気3着」・「18年フィエールマン7人気1着」という人気薄の激走馬が輩出されています。近2年では馬券内までは届かなかったものの、出走メンバーの中で最も間隔が空くローテーションで挑んでいた2頭(20年ブラックホール14人気5着&21年7人気5着ディープモンスター)が、共にあと一歩で馬券内というあわやの走りをしていました。

レース自信度(5段階評価):3

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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