キムラヨウヘイの重賞アナライズ

2025年東京新聞杯

春秋開催よりも内&前有利になりやすい冬開催の東京芝

東京芝マイルで行われる牡馬牝馬混合の古馬重賞は、東京新聞杯と安田記念、富士Sの計3レースが設定されています。中でもこの東京新聞杯は、異質な特性を持つレースとなっています。

というのも、近年の春開催&秋開催の東京芝では、最後の直線でどれだけ良い脚を長く使えるのか、という末脚が物を言う馬場になる傾向となっています。しかし、冬開催に限っては、生育状況が良いとは言えない芝の状況と、幅員が狭くコーナー部分が拡大されるDコース使用という背景から、瞬発力の要求度は多少落ちて、より位置取り(前有利)やコース取り(内有利)という要素も問われる馬場になる傾向があります。

そんな開催時季ごとに違った顔を見せる東京芝で行われるマイル重賞の3レースについても、その馬場傾向が反映された決着傾向となっています。安田記念と富士Sでは外目の枠順から直線で馬場の中〜外に持ち出して末脚を伸ばしてくるのが、主な好走馬のパターンであるのに対して、東京新聞杯は前に行くにしても差すにしても内目の枠順から馬場の内〜中を通って上手く立ち回るタイプが主な好走馬のパターンになっています。


■データ1  東京新聞杯の枠順別成績(過去10年)

枠番 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1枠 3- 0- 1-12/16 25.00% 319 91
2枠 2- 2- 0-14/18 22.20% 50 73
3枠 1- 2- 0-16/19 15.80% 31 46
4枠 2- 2- 1-14/19 26.30% 79 95
5枠 1- 1- 2-15/19 21.10% 61 49
6枠 1- 1- 2-15/19 21.10% 27 95
7枠 0- 1- 2-17/20 15.00% 0 60
8枠 0- 1- 2-17/20 15.00% 0 33

■データ2  20年以降の冬開催以外の東京芝1600m重賞の枠順別成績(2歳戦除く)

枠番 着別度数 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1枠 1- 1- 2-31/35 11.40% 11 22
2枠 0- 4- 0-32/36 11.10% 0 30
3枠 3- 1- 2-32/38 15.80% 38 44
4枠 1- 3- 6-27/37 27.00% 9 72
5枠 4- 2- 3-30/39 23.10% 566 209
6枠 3- 2- 0-34/39 12.80% 136 44
7枠 4- 3- 4-40/51 21.60% 140 56
8枠 4- 4- 3-41/52 21.20% 47 57

過去10年の東京新聞杯の枠番別勝率は、1枠→2枠→4枠の順で内枠有利傾向となっていて、7枠と8枠からは勝ち馬は一頭も出ていません。逆に近年の冬開催以外の東京芝1600mの重賞では、極端に1枠と2枠の成績が悪くなっています。

若駒は前走好走馬を重視⇔古馬は前走凡走馬を重視

東京新聞杯の年齢別の成績を見ると、回収率ベースでは若駒の4歳馬から高齢馬の7歳馬までが同程度の水準で横並びとなっており、タフさが問われる厳冬期のレースらしく必ずしも若駒有利とはなっていません。芝のマイル路線では4歳1月までは4歳馬と5歳以上馬との斤量差が1キロとなっていますが、それが4歳2月からは両者の斤量差が0キロに縮小されるというのが、その要因の一つと考えられます。

その上で、買える若駒と買える高齢馬を見極める術としては、若駒の場合には前走成績が良い上昇中(成長中)の馬が買いであり、逆に高齢馬の場合には前走成績が良すぎる消耗した馬は買えないという取捨が有効です。

実際にこの東京新聞杯でも、過去10年の7歳以上の高齢馬の好走馬3頭(16年2着エキストラエンド・24年1着サクラトゥジュール・24年2着ウインカーネリアン)は、全て前走7着以下の凡走馬でした。逆に前走5着以内善戦馬は5頭いましたものの、全て前走着順を下回る凡走を喫しました。


■データ3  20〜24年のJRA平地重賞における7歳以上馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
前走1着 2-   2-   3-  68/  75 2.70% 5.30% 9.30% 10 33
前走2着 4-   8-   5-  54/  71 5.60% 16.90% 23.90% 84 75
前走3着 4-   2-   7-  57/  70 5.70% 8.60% 18.60% 133 69
前走4着 4-   6-   5-  59/  74 5.40% 13.50% 20.30% 55 86
前走5着 2-   2-   7-  63/  74 2.70% 5.40% 14.90% 83 67
前走6〜9着 9-  13-  10- 283/ 315 2.90% 7.00% 10.20% 145 75
前走10着〜 3-  12-   4- 426/ 445 0.70% 3.40% 4.30% 13 32

これは東京新聞杯に限らず、20〜24年のJRA全平地重賞まで広げてみても、7歳以上の高齢馬についてはそれなりに強い馬も少なからず含まれるはずの前走1着馬は[2-2-3-68](複勝率9.3%/単複回収率21.5%)という振るわない成績となっており、逆に前走6〜9着に負けていた馬のゾーンが好成績(単複回収率110%)となっています。

つまりは、若駒については前走成績を評価する際に「上昇度・成長度」を重視するのが正解で、高齢馬については「余力度(消耗度)」を重視するのが正解ということです。

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ライタープロフィール

キムラヨウヘイ

1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。

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