東京芝コースについては、20年秋開催を境にして内有利の馬場バイアスがほぼ消滅して、一にも二にも末脚がモノを言う馬場、端的に言い表せば差し有利馬場へと変貌をしたという説明をこれまで何度かしてきました(厳冬期の荒れ馬場かつ幅員の狭いDコース使用の冬開催を除く)。それによって、直線での末脚が問われる最上級クラスの古馬重賞レースでは、他コースとは異なり後方待機勢が多く穴をあけるという現象が起こっています。
そして、それと近いことが起きているのが、コース形態の一部改修と路盤の全面的な刷新作業が行われた上で芝が張られた“新装”京都芝コースです。
脚質上り | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 1- 1- 0- 24/ 26 | 7.70% | 35 | 20 |
平地・先行 | 8- 8- 9- 62/ 87 | 28.70% | 66 | 87 |
平地・中団 | 13- 14- 9-145/181 | 19.90% | 65 | 71 |
平地・後方 | 3- 2- 7- 90/102 | 11.80% | 23 | 92 |
平地・マクリ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.00% | 0 | 0 |
実は新装後の23年春開催以降の京都芝コースの古馬重賞レースでは、逃げ馬の好走は24年マーメイドS1着アリスヴェリテと24年京阪杯2着ウインカーネリアンのわずか2例だけで、逆に7番人気以下の人気薄激走馬18頭中8頭は二桁通過順位の後方待機勢から輩出されているなど、東京芝コースに匹敵するレベルの差し有利傾向が継続して発生しています。
残りの主要4場の中山&阪神コースの古馬重賞レースでは、一般的なイメージ通りに逃げ馬が最も好走率が高くて、人気薄の激走率についてもやはり逃げ馬が最も高くなっています。また、それ以外の全競馬場においても軒並みそうなっていますので、「逃げ切りは至難の業となっている東京&京都コース」と「逃げこそが激走への最短ルートとなっているそれ以外のコース」というグルーピングができます。
今開催の京都芝重賞はシルクロードSときさらぎ賞の2レースが行われましたが、シルクロードSは上位人気馬だった逃げ先行勢は3着ウインカーネリアン以外大きく崩れ、人気薄の差し勢が1着と2着の差し有利決着でした。きさらぎ賞も差し勢が1着と3着の差し有利決着でした。
騎手 | 着別度数 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|
ルメール | 7- 1- 1- 6/15 | 60.00% | 194 | 122 |
藤岡佑介 | 3- 3- 0-13/19 | 31.60% | 171 | 84 |
北村友一 | 2- 0- 0-14/16 | 12.50% | 162 | 41 |
横山和生 | 1- 2- 2- 3/ 8 | 62.50% | 157 | 111 |
藤懸貴志 | 1- 1- 2- 8/12 | 33.30% | 77 | 69 |
川田将雅 | 8- 3- 7- 9/27 | 66.70% | 75 | 124 |
池添謙一 | 5- 2- 2-21/30 | 30.00% | 70 | 55 |
そこで重視すべきは、走る馬自身が差し脚質であることに加え、特に中長距離レースにおける位置取りについては馬に騎乗する騎手の意図と意思も大きくかかわってきますので、積極的な騎乗をしてくる騎手よりも差し戦法を多用&得意とする騎手の方が狙いやすいと言えるはずです。
実際に新装後の23年以降の京都芝中長距離レース(距離2200m以上)で、一定以上の騎乗機会があった中で単勝回収率が100%を超えているのはルメール騎手・藤岡佑介騎手・北村友一騎手・横山和生騎手の4名だけですが、いずれも普段から前に行く競馬よりも控える競馬を好むタイプの騎手が名を連ねています。特に15レースに騎乗して7勝と勝ち星を荒稼ぎしているルメール騎手の騎乗馬は否が応でも注目する必要があります。
先週の東京新聞杯について取り上げた回で『買える若駒と買える高齢馬を見極める術としては、若駒の場合には前走成績が良い上昇中の馬が買いであり、逆に高齢馬の場合には前走成績が良すぎる消耗した馬は買えないという取捨が有効』と記しました。結果的に前走好走の4歳馬(ウォーターリヒト・ボンドガール)と前走凡走の高齢馬(メイショウチタン)による決着となりました。
この京都記念でも、過去10年で好走した4歳馬の半分(14頭中7頭)は前走3着以内好走馬だったのに対して、好走した6歳以上馬は8頭全てが前走4着以下凡走馬でした。
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ライタープロフィール
1990年生まれ、東京都出身。2009年にmixiコミュニティで予想活動をスタート。11年にブログを始めるとライブドア競馬ブログでアクセス数トップを記録した。15年に「競馬王」でメディアデビューし、18年からは「競馬予想TV!」に10年振りの新人予想家として出演中。
予想スタイルは各馬&各レース固有の独自の取捨ポイント設定(通称プロファイリングポイント)に基づいた狙い馬の発掘。
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