井内利彰の追い切りジャッジ【天皇賞(春)他 調教診断】

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今週の栗東

先週日曜日に雨が降り、そこからスカッと晴れる日は少なくなりました。火曜日は一日中雨、水曜日は基本的に曇りでしたが、時折、雨が降る時間帯もありました。そして、水曜日は風が強く、これが追い切りに与えた影響も大きかったと思います。

今週の馬場
4月24日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.6秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.3秒。今週は4F52秒、それも前半の頭数がかなり少なく、先週の馬場差「±0.0秒」と比較すると、かなり時計が出ていない印象です。

・美浦DコースW「-0.2秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.6秒。先週は5F61秒台、62秒台が出るような馬場でしたが、今週は一転して時計が出ていません。ただ、先週の馬場差が「-0.7秒」と基準よりもかなり時計の出る状態でしたから、今週は基準時計から見れば、少し時計が出るかなというくらいの馬場状態です。

・栗東坂路「+0.3秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.4秒。4F50秒台の頭数が多かった先週からは一転して、今週の50秒台は2頭だけ。実際の追い切りを確認しても、雨の影響を受けているのか、最近の中では最も時計を要している印象を受けました。もちろん、先週の馬場差「-0.4秒」よりも時計を要する馬場と判定しています。

・栗東CコースW「+1.2秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.6秒。そもそも、先週の馬場差が「+0.5秒」で時計を要する馬場でしたが、今週は最後の直線が強い向かい風になる時間帯も多く、その影響はかなり大きかったと思われます。今週の追い切りは時計だけでは判定しにくいというのが、正直なところです。

天皇賞(春)他
今週出走予定の追い切り注目馬

4月27日(土)

東京 11R 青葉賞【サトノシュトラーセ】

ジャスタウェイ産駒らしく、少し頭の高い走法ではありますが、しっかりと推進した走りを見せます。1週前追い切りのCWでの3頭併せはその典型で、一番後ろから追いかけても追いつくまでが速いという内容でした。最終追い切りの坂路では軽く時計を出す程度にとどめていますが、これで十分だと思います。

東京 11R 青葉賞【サトノシュトラーセ】

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京都 9R 矢車賞【ウインデイジー】

牝馬にしては追い切りでも追わせるタイプ。今回の坂路での最終追い切りでもゴールはしっかり追われていて、4F目が最速になるラップを踏めたところが、この馬のストロングポイント。そういった意味で距離が延びるのは良いと思いますし、ここで結果を出して、もっと上のステージでの走りに期待します。

京都 11R ユニコーンS【ラムジェット】

距離延長を心配する方もいるでしょうが、CWでの追い切りの動きを見ていると、むしろ歓迎に思える走り。先行する併せ馬ばかり消化していますが、15秒前後のラップをエンドレスで続けることができそうなくらい余裕がある走り。それが後ろから追いかけてくる馬がいると、スムーズにギアを上げることができ、加速性能は以前よりも進化しています。スローペースだと心配ですが、このメンバーならそんなことはないでしょうし、激戦になればなるほど勝機が生まれそうです。

京都 11R ユニコーンS【ラムジェット】

4月28日(日)

東京 11R スイートピーS【コガネノソラ】

最終追い切り、美Wでのラップが前半ゆったり入って、ラスト3Fが37.2秒。この内訳が14.2秒から11.9秒、11.1秒と素晴らしいラップを踏んでいます。古馬3勝Cを追走して同入という内容も評価できますし、中2週でも週末に美浦坂路でしっかり時計を出している点も魅力的。ここは3連勝を決めてくれそうです。

京都 11R 天皇賞(春)【メイショウブレゲ】

昨秋以降に京都競馬場の外回りを3回経験していて、そのすべてが、3コーナーの下りで自然と加速することができる走りを見せています。もともとコーナーリングで加速することが得意ですし、直線平坦なら末脚のギアを上げることができるタイプ。最終追い切り翌日の角馬場調整での馬体の張りを見ても、今が充実期だと思います。

京都 11R 天皇賞(春)【メイショウブレゲ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

4月24日(水)・CW サヴォーナ【7時41分】

馬場が踏み荒らされた時間帯であったことはもちろん、風も強い時間帯だったので、そんな中、ラスト2Fが11.8秒、11.7秒は高く評価できます。最後の直線での手前替えもこれまでに比べてスムーズな印象があり、2週続けてCWで追った効果がありそうです。

ラップ別

4月24日(水)・美浦坂路 ミッドナイトラスタ【15.2秒、13.6秒、12.8秒、12.1秒】

とても未勝利馬とは思えない、きれいな加速を踏んだラップ。追い切った時間帯も決して時計が出やすいわけではありません。デビュー前も動いていましたが、それがワンランクアップしたような時計の出方にはなっています。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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