井内利彰の追い切りジャッジ【エリザベス女王杯他 調教診断】

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今週の栗東

先週の当項でも書いたことになりますが、スカッと晴れる日は少なく、9日(日)に降った雨の影響が週中でも残っている栗東。ウッドチップに関しては、今週も濡れて重たい状態が継続している印象を受けます。

今週の馬場
11月12日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.1秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.6秒。調教映像で確認できる馬場状態は決して、時計を要する状態には見えません。ただ、時計の出方としては、基準よりも少し時計を要しているので、先週の馬場差「-0.1秒」よりも重たいという判定にしました。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.6秒が2頭。5F64秒台の頭数も先週に比べて増えた印象があり、先週の馬場差「+0.2秒」よりも基準に近い感じ。先週より走りやすそうな馬場とはいえ、ラスト1Fが11秒前半は評価すべきラップだと思います。

・栗東坂路「±0.0秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.0秒。上位の時計に関しては、4F51秒台の頭数もそれなりにいるので、馬場差としては先週の「-0.2秒」と同じ印象。ただ、時間帯によってはかなり走りにくい、時計が出ない馬場になっている状況もあり、1日通すと基準通りの馬場という判定にしています。

・栗東CコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F62.3秒。この数字は極端に速い時計ですが、5F63秒台の頭数も増えた今週。馬によっては、ラスト1Fが12秒を切ることができなかったりして、判断の難しい部分もありますが、先週の馬場差「+0.2秒」よりも基準に近い馬場という判定にしました。

エリザベス女王杯他
今週出走予定の追い切り注目馬

11月15日(土)

東京 11R 武蔵野S【オメガギネス】

栗東へ転厩して、ここ2走がメンバー最速上がりをマークしており、2024年フェブラリーSで1番人気に支持された、あの時のポテンシャルが復活してきました。気持ちのコントロールが難しそうな馬ですが、最終追い切りのDPでは岡田祥嗣騎手が気分よくエスコート。前走と変わらないパフォーマンスを発揮できる状態だと思います。

東京 11R 武蔵野S【オメガギネス】

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京都 11R デイリー杯2歳S【アドマイヤクワッズ】

追ってからが良いタイプというのは、新馬戦のレース内容で示していますが、1週前追い切りのCWではその性能を向上させたような走り。ストライドの大きなタイプで、いかにも大舞台に強いフットワークです。最終追い切りの坂路は走りにくい馬場状態でも着実に一歩一歩駆け上がっており、重賞の舞台でも楽しみしかありません。

京都 11R デイリー杯2歳S【アドマイヤクワッズ】

11月16日(日)

福島 9R 福島2歳S【コラルリーフ】

小倉芝1200mでの勝ちっぷりを考えると、ここ2戦はかなり物足りないレース内容。これを距離や当日輸送という状況で片づけてしまうことはできると思います。その条件が一変する今回、最終追い切りも坂路できれいな4F目最速ラップを踏むことができていますし、楽しみの方が膨らみます。

東京 11R オーロカップ【ハクサンバード】

東京芝1400mは[2-0-2-1]という抜群の成績。春のパラダイスSでは3着という結果を残しており、リステッドでも通用することは証明済みです。前走の最終追い切りでは栗東坂路で4F目最速ラップを踏むことができませんでしたが、今回は4F目12.4秒の最速ラップ。これはパラダイスSの時と同じですし、好走できる状態に整いました。

京都 11R エリザベス女王杯【リンクスティップ】

C.デムーロ騎手が跨ったCWでの1週前追い切り。3頭併せを最後方から追走して、大外から差し切る内容。2頭を追い抜いてからもしっかりと追われると、馬が驚いたような表情を見せたのにはにんまり。というのも、これまでの好走パターンは1週前追い切りがCWで3F36.9秒以下をマークすること。馬券圏内の4戦がそうだったことに対して、ここ2走は37秒台でした。久しぶりに36秒台で走ったことで馬にスイッチが入った、そんなイメージです。

京都 11R エリザベス女王杯【リンクスティップ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

11月12日(水)・栗東坂路 セーデルマンランド【7時52分】

この時間帯でラップが14.7秒、13.9秒、12.7秒、12.5秒で4F目最速ラップを踏みました。ここ2走がメンバー最速上がりをマークしているように、パワーのあるタイプであることは間違いありません。

ラップ別

11月12日(水)・栗東CW レミージュ【13.4秒、11.6秒、11.0秒】

道中がきれいな加速ラップを踏んでいるのに、上がりの3Fがこのラップの内訳。素晴らしいバランスでラップを踏むことができていますし、これは高い評価をすべきです。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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