井内利彰の追い切りジャッジ【天皇賞(秋)他 調教診断】

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今週の栗東

栗東トレセン、10月29日(水)の調教開始前の気温は6℃。季節は完全に冬といってよい気温になっています。幸い、29日(水)も30日(木)も快晴だったので、時間が経つにつれて気温は上昇しましたが、これから先は馬が絞りにくい季節へと入ってくるでしょう。

今週の馬場
10月29日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.1秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.4秒が2頭。先週は少なかった4F51秒台ですが、今週はこの2頭を含めて4頭に増加。ただ、52秒台が少ないので、馬場差としては先週の「+0.3秒」よりも少し基準に近づいたという判定です。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.2秒。先週は5F65秒前半の頭数が少なかったのですが、今週はそれなりに多くなっています。先週の馬場差「+0.2秒」のような時計を要する印象はなく、基準通りの馬場と判定しました。

・栗東坂路「-0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.8秒が2頭。4F50秒台の頭数は多くないので、極端に速い時計が出る馬場というわけではありません。ただ、51秒台の頭数は多いので、先週の馬場差「±0.0秒」よりは時計の出やすい馬場だと判断してよいでしょう。

・栗東CコースW「+0.5秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.5秒。先週も記したように、追い切る時間帯によって、時計の出方に違いがある点は変わりませんが、時間帯に関係なく、先週の馬場差「+0.2秒」よりも時計を要する馬場状態という印象があります。特に朝一番はこの基準よりも+0.2から+0.3秒は足してもよいかも知れません。

天皇賞(秋)他
今週出走予定の追い切り注目馬

11月1日(土)

京都 6R 2歳新馬【スズカローズキング】

1週前追い切り、北村友一騎手が跨った感触を重視して、ダートを使いますが、芝でも通用するスピードは持っています。最終追い切りのCWでは道中から速いラップを刻んでいっても、ラスト2Fが12.3秒、11.8秒。長く脚を使うことができるタイプです。

京都 6R 2歳新馬【スズカローズキング】

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京都 11R ファンタジーS【フェスティバルヒル】

新潟2歳Sの出走前追い切りで「阪神ジュベナイルフィリーズの本命候補」と決めた馬。前走はまさかの3着でしたが、今回の追い切り内容も素晴らしく弾んでいます。調教映像は1週前追い切りも最終追い切りもぜひとも確認して欲しいくらい。軽く促してからトップスピードに乗るまでがセンスの塊です。

京都 11R ファンタジーS【フェスティバルヒル】

11月2日(日)

東京 11R 天皇賞秋【ジャスティンパレス】

2023年はイクイノックスの2着。2024年は直線半ばまで仕掛けることができず、最後までノーステッキで追い上げて4着。東京芝2000mの舞台が最適であることは間違いないと思いますし、1週前追い切り、団野大成騎手が跨ったCWでのゴール前の伸びを見るかぎり、今年は大外へ持ち出して伸びてくれるはずです。

東京 11R 天皇賞秋【ジャスティンパレス】

京都 2R 2歳未勝利【ワンダフルボンド】

態勢が整った状態で出走した新馬戦でしたが、レースはやや不運なところがあって5着。ただ、すぐに続戦を決めたように、ここで勝ち上がる手応えがあるからこその出走です。最終追い切りは坂路でしたが、時計を要する時間帯だったことを考えると、4F52.6秒は十分評価できる数字です。

京都 2R 2歳未勝利【ワンダフルボンド】

京都 9R もちの木賞【ワンダーディーン】

最終追い切りの坂路では天皇賞・秋に出走予定のミュージアムマイルと併せ馬。ゴール前では相手の方が手を動かすシーンがあり、こちらは持ったままの手応え。前走ダートで圧勝していますが、そのイメージができるような走り。ここの結果次第では、来年のダート三冠を見据えることもできそうです。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

10月29日(水)・栗東CW エスペシャリー【6時55分】

1回目のハローが入る前では一番、馬場が踏み荒らされていて走りにくい時間帯。それでもラスト2Fが11.6秒、10.9秒ですから、素晴らしいラップを踏んでいます。現在、2連勝中ですが、まだ連勝は伸びていきそうです。

ラップ別

10月29日(水)・美浦DW ブレイディヴェーグ【11.8秒、11.0秒】

先週も当欄で取り上げていますが、今週は先週以上に速いラップ。ラスト1Fの弾け方は間違いなく先週以上で、ぜひとも調教映像を見ていただきたい走りです。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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