井内利彰の追い切りジャッジ【宝塚記念他 調教診断】

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今週の栗東

今週の栗東は火曜日から雨。かなり強い降り方をして、水曜日の午前中も時間によっては強い雨が降りました。たっぷりと水分を含んだウッドチップだった上、追い切りの最中に雨が降っていたような場合は下記の馬場差よりも走りづらかったと考えてよいでしょう。

今週の馬場
6月11日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.4秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.8秒。この数字は先週から少し遅くなった程度ですが、51秒台がこの馬1頭だけ。先週の馬場差は「±0.0秒」でしたが、4F52秒台の頭数を見渡しても、時計を要する馬場になっているのは間違いないと思います。

・美浦DコースW「+0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.7秒。雨の影響を受けた馬場だったということもあり、時計上位の頭数は先週よりも減りました。先週の馬場差は「±0.0秒」だったので、それよりも時計を要する馬場と判定しました。

・栗東坂路「+0.3秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.3秒。さすがに雨の影響を受けて、4F49秒台はいませんでしたし、全体的にも先週の馬場差「-0.2秒」よりも確実に時計を要する馬場状態。時間帯によっては、設定した馬場差以上に時計を要している馬も多数います。

・栗東CコースW「+0.8秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.8秒。朝一番の開門直後は雨の降る中での追い切りでしたが、最近見たことがないくらい、ラスト1Fが時計を要している印象を受けました。雨が止むと少し状況は変わりましたが、それでも先週まで馬場差「±0.0秒」で安定していた馬場は、時計を要する状態に変化していると感じることができる時計の出方でした。

宝塚記念他
今週出走予定の追い切り注目馬

6月14日(土)

函館 11R 函館SS【ミリアッドラヴ】

5月28日(水)の坂路では4F49.7秒をマークして、自己ベストを更新しています。その後、函館競馬場へ移動して、6月6日(金)に函館Wで時計を出し、小回り対策を課してきました。そして、最終追い切りは函館芝で併せ馬。芝は初めてになりますが、動きを見るかぎりは全く問題ありませんし、なによりスピード能力で圧倒できると思います。

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東京 11R ジューンS【グランドカリナン】

レース当日は雨の影響を受けた馬場が想定できますが、もともと、そういった馬場に実績があります。そして、今週の最終追い切りは雨の影響を受けた美Wで3F36.5秒をマーク。前走休み明けをひと叩きして、そもそも調子が上向いているところへ、雨が味方してくれることになりそうです。

阪神 6R 3歳未勝利【キラーチューン】

初出走の前走が決して悪くないレース内容。ただ、当時の追い切りでは全然動いていなくて、よくあそこまで走ることができたなという印象です。今回はDPで併せ馬を追走して、よく我慢して同入。手綱を譲れば、スッーと追い抜きそうな勢いでしたから、これが実戦で発揮できれば、自然と結果を出してくれそうです。

阪神 6R 3歳未勝利【キラーチューン】

6月15日(日)

阪神 5R 2歳新馬【サレジオ】

美浦所属馬が栗東に滞在するというのは、今回の宝塚記念においても、ローシャムパークなどが実行しており、決して珍しいことではありません。しかし、これが新馬ともなるとあまり記憶になく、2歳のこの時期となれば初めてではないかな、と思うくらい。美Wで素晴らしい時計を出していましたが、11日(水)のCWでもきれいな加速ラップを踏んで速い時計。どんな走りを見せてくれるのか、今から楽しみです。

阪神 5R 2歳新馬【サレジオ】

阪神 11R 宝塚記念【ボルドグフーシュ】

前走大阪杯でも本命を打ちましたが、結果は8着。しかし、完全に脚を余した負け方だったので、もし宝塚記念に出走してくれば必ず狙う、と決めていました。ただ、1週前追い切りが前走と同じようにCWで併せ馬を課してくるかどうかはポイントで、内田博幸騎手が跨って、素晴らしい内容。雨馬場は天皇賞(春)での敗戦がありますが、この舞台なら、むしろプラス材料になると思います。

阪神 11R 宝塚記念【ボルドグフーシュ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

6月11日(水)・栗東坂路 モズミギカタアガリ【6時31分】

1回目のハローが入る直前。つまり、1時間近く開放されて、踏み荒らされまくったウッドチップのなか13.9秒、13.2秒、12.8秒、12.5秒というラップでまとめるのですから、文句なしの動き。ダートならば力の必要な馬場状態の方がフィットするかも知れません。

ラップ別

6月11日(水)・栗東CW フェスティバルヒル【11.2秒、11.0秒】

2回目のハローが終了した時間帯だったり、前半がゆっくりしたラップだったりと、速いラップをマークすることができた要因はいくつかあります。それでも2歳新馬が最後の直線でこれだけのラップを踏むのは高く評価できると思います。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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