井内利彰の追い切りジャッジ【日本ダービー他 調教診断】

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今週の栗東

先週末、かなりの雨が降った影響なのか、空気が乾燥していて、過ごしやすい日の多い今週の栗東。27日(火)にもかなり雨が降ったので、28日(水)の追い切りに影響するかと思いましたが、陽射しの強い時間帯も多く、あまり雨の影響はなかったように思います。

今週の馬場
5月28日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「-0.3秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F50.5秒。久しぶりに4F50秒台が出ました。51秒台、52秒台の頭数も多く、先週の馬場差「-0.2秒」から更に速い馬場になったという印象です。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.2秒。先週は少なかった5F63秒台は今週6頭もいました。これだけ見ると、先週より速い馬場となりますが、64秒台以降はさほど速い時計の頭数が多くなく、先週の馬場差「±0.0秒」とほぼ同じ馬場という判定でよいと思います。

・栗東坂路「-0.5秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.4秒。今週は4F49秒台が3頭もいて、久しぶりに時計の速い印象の馬場。入れ替えたウッドチップも馴染んできたのでしょう。実際、4F50秒台の頭数も多く、先週の馬場差「-0.1秒」よりも間違いなく時計の速い馬場だと思います。

・栗東CコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F62.6秒。この数字は先週と全く同じ。先週の馬場差は「-0.2秒」でしたが、5F65秒台の頭数は先週よりも少なくなった印象を受けます。見た目には走りにくいという感じはありませんでしたが、実際の時計は先週よりも基準に近づいた馬場と判定すべきかも知れません。

日本ダービー他
今週出走予定の追い切り注目馬

5月31日(土)

東京 11R アハルテケS【ウェイワードアクト】

オープン入りしてから2着が続いていますが、ずっとダート1400m。そもそもは1600m、1800mで勝ち鞍を挙げているので、ここが本来の能力を発揮できる舞台。しかも、最終追い切りは美W6F78.4秒と速い時計できれいな加速ラップ。ラスト2Fが11.9秒、11.2秒ですから、切れ味も抜群です。

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京都 9R 鳳雛S【タガノバビロン】

1800m、京都ともに初めてとなりますが、ここまでの競馬っぷりを考えると距離延長に不安はありません。今回の最終追い切りでも坂路で4F目11.9秒の最速ラップを踏んでいて、終いの脚はいつも通りの切れ味という感じ。1週前追い切りは坂路4F50.8秒で自己ベストを更新していますし、状態の良さを感じる調教内容です。

京都 11R 葵S【クラスペディア】

未勝利でG1へ出走し、クロッカスSで初勝利を挙げた、異例の3歳牡馬。そのセールスポイントはスピードとパワーのバランスだと考えていますが、それを発揮したのが、今回の最終追い切り。坂路で2F目以降が12.9秒、12.2秒、12.1秒で4F目最速ラップを踏みました。しかも手応えには余裕があったので、距離短縮のここで2勝目はあると思います。

6月1日(日)

東京 11R 日本ダービー【クロワデュノール】

デビュー前から「ダービーを勝つ馬かも」と思いながら追い切りを見ていて、新馬勝ちした内容から「ダービーを勝つ馬になる」と確信しました。皐月賞でミュージアムマイルに負けて、そのミュージアムマイルがまだ良くなっている印象を受けるだけに、同じ中山なら逆転できないかも知れませんが、舞台は東京。デビューから2回、経験した場所ですから、そのアドバンテージは大きいはず。今回もゴール前は2頭のマッチレースになると予想しています。

東京 11R 日本ダービー【クロワデュノール】

東京 12R 目黒記念【メイショウブレゲ】

この中間はCWでの追い切りが中心。今までと少しだけパターンを変えて、6F標識の地点では17秒を超えるような、調教欄には掲載されないラップを踏んで、ラスト1Fが最速になるラップを踏んでいます。4月23日(水)、30日(水)のCWではラスト1Fが最速ではありませんでしたが、5月に入ってからラップの踏み方が板に付いてきた感じ。これなら東京競馬場の長い直線でもしっかり脚を使えるような気がします。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

5月28日(水)・栗東坂路 サダメ【6時49分】

先週に比べると時計の出やすい馬場状態だったとはいえ、馬場が踏み荒らされたこの時間帯で2F24.2秒、4F目11.9秒は素晴らしい脚力。前走はマイルで5着でしたが、やはり距離は短い方が良さそうなラップの踏み方です。

ラップ別

5月28日(水)・栗東CW ジュンブロッサム【14.5秒、11.7秒、10.9秒】

前半を抑えたこともありますが、4コーナーから最後の直線に向くところで2.8秒も加速して、ゴール前でさらに0.8秒加速するというラップ。脚をためた時の瞬発力は素晴らしいものがありますし、それを発揮できる状態にあります。

5月28日(水)・栗東CW ジュンブロッサム【14.5秒、11.7秒、10.9秒】

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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