井内利彰の追い切りジャッジ【皐月賞他 調教診断】

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今週の栗東

次第に日中の気温は上昇しているものの、調教開始前の時刻は羽織るものが欠かせない気温。まだ春っぽさを感じないところもありますが、競馬はG1シリーズ真っ只中。16日(水)は皐月賞の取材のため、多くのテレビ取材が集まっていました。

今週の馬場
4月16日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「±0.0秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.5秒。この数字は先週とほぼ同じです。4F52秒台の頭数も先週とほぼ同じ。調教VTRを見ていても、ちょうど走りやすそうな馬場状態に見えるだけに先週の馬場差「±0.0秒」とほぼ同じ馬場という判定にしています。

・美浦DコースW「-0.7秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.3秒が2頭。基本的な馬場状態としては先週と同じような感じだと思います。ちなみに先週の馬場差は「-0.5秒」でした。今週はそれ以上に走りやすい馬場状態、時計が出ている馬場状態だと判定しました。

・栗東坂路「-0.4秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.9秒。最近の一番時計は4F50秒を切るところで落ち着いています。ただ、今週に関しては50秒台の頭数がかなり少なくなりました。関係者からも今週はあまり時計が出ていないという声が聞こえていたので、先週の馬場差「-0.9秒」よりも時計を要する、基準に近い馬場という判定にしました。

・栗東CコースW「-0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F62.6秒。ラスト1Fが10秒台も2頭いて、先週同様に時計の出る馬場状態。ちなみに先週の馬場差は「-0.3秒」でしたが、今週の方が少しだけ時計の出やすい馬場と判定しました。

皐月賞他
今週出走予定の追い切り注目馬

4月19日(土)

中山 11R 中山グランドジャンプ【インプレス】

現在4連勝中。初めての中山も難なくこなした前走ですから、あとは他馬との力関係といったところでしょう。自身は障害を使っていることで体を起こして走ることができるようになり、追い切りでも軽く走って速い時計が出るようになりました。いろいろ噛み合って連勝している今の勢いでJG1も、といきたいところです。

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阪神 11R アンタレスS【オメガギネス】

美浦からの転厩初戦になりますが、今までの課題、追い切りで折り合いを欠くという点に関してはこの厩舎らしく、併せ馬を活用して、きっちりと教え込んでいます。その結果、最終追い切りのCWでのラップも6F換算で2F目から3F目で0.2秒遅くなっていますが、そこ以外は加速ラップ。ゴール前の伸びも素晴らしく、ポテンシャルの高さを発揮できる仕上がりにあると判断できます。

阪神 11R アンタレスS【オメガギネス】

4月20日(日)

福島 11R 福島牝馬S【ライラック】

近走、ずっと好調ではないかなと思える調教内容。ただ、今回はそれ以上に具合の良さを感じる追い切りでの動き。引っ張ったままの手応えで併せ馬を追走して、楽々と追い抜いていく脚力はまさにレース展開が速くなりそうなこのレースに向きそうです。

中山 10R 京葉S【スターターン】

この中間、火曜日の登坂している様子は毎週のように確認していますが、すこぶる体調が良さそうに映ります。実際、追い切りの内容も坂路で4F目最速ラップを踏むことが多く、4月3日(木)の坂路は4F51.5秒、2F23.6秒でラストが11.5秒の最速ラップ。すでに中山ダート1200mは経験しましたし、OP特別なら。

中山 10R 京葉S【スターターン】

中山 11R 皐月賞【クロワデュノール】

ホープフルS以来のレースとなりますが、これは予定通り。ただ、東京スポーツ杯2歳Sの休み明けの時になかなか調子が上がってこなかったことを踏まえて、今回は少し早目に帰厩しました。そんなこともあって、1週前追い切りの段階ではほぼ万全、最終追い切りで更に上昇した雰囲気もあります。ぜひ、ご自身の眼で調教VTRでも伝わってくる迫力ある動きを確認してください。

中山 11R 皐月賞【クロワデュノール】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

4月16日(水)・美浦DW ヴィンセンシオ【6時42分】

開門直後の追い切りが6時27分ですから、そこから15分経った馬場状態で4F49.4秒。最後の直線で11.7秒、11.6秒のラップを踏んでいるので、スピードとパワーに優れた走りであることは間違いありません。ただ、少し気持ちが勝っているような面が見られるので、実戦でそれをうまくコントロールできるかどうかというところでしょう。

ラップ別

4月16日(水)・栗東坂路 ベルヴィヴァン【12.8秒、12.1秒、11.9秒】

2F目以降に12秒台のラップを踏んだ馬は何頭かいますが、その中で4F目11秒台の最速ラップを踏んだのはこの馬だけ。開門直後のきれいな馬場状態だったとはいえ、同じような時間に追い切った馬が多数いて、その中でもベストな内容。なぜこの馬が未勝利なのか分かりません(笑)。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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