井内利彰の追い切りジャッジ【中山牝馬S他 調教診断】

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今週の栗東

5日(水)の栗東は調教開始時刻が曇り。その後、雨が強くなる時間帯もあって、基本的には雨の影響を受ける追い切りとなりました。ウッドチップ馬場に関しては水分を含んで走りにくい、時計を要する馬場状態になりましたが、ハロー直後など時間帯によってはそれが軽減されている追い切りもあります。

今週の馬場
3月5日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.7秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F52.4秒。最近は基準よりも時計が出る馬場状態が続いていましたが、今週に関しては雨の影響を受けた重たい馬場。先週の馬場差は「-0.1秒」でしたが、5日(水)は4F52秒台が3頭しかいない、基準よりもかなり時計を要する状態です。

・美浦DコースW「+0.3秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.0秒。坂路よりは雨の影響が少ないとはいえ、先週の馬場差「-0.3秒」よりも確実に時計を要する馬場状態。ただ、極端に重たいというほどではない時計の出方という印象はあります。

・栗東坂路「+0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.2秒。先週と同じ一番時計ですが、4F50秒台の頭数は先週よりも激減。51秒台の頭数も少なく、先週の馬場差「-0.3秒」よりも時計を要する馬場状態。雨の影響を受けたとはいえ、極端に重たいわけではなく、基準よりも少し重いという判定にしました。

・栗東CコースW「+0.5秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.6秒。この数字は速いのですが、5F65秒前半の頭数は決して多くありません。こちらも雨の影響を受けていて、先週の馬場差「+0.3秒」よりも時計を要する馬場状態。ただ、Cコースは先週の時点でも基準より時計を要しているので、それより少し重い程度です。

中山牝馬S他
今週出走予定の追い切り注目馬

3月8日(土)

中山 11R 中山牝馬S【ビヨンドザヴァレー】

ちょっと驚いた最終追い切り。というのも、CWで行われたからなのですが、これが赤松賞以来で生涯2回目。休み明けということもあったと思いますが、動き自体は素晴らしく、時計も6F81.4秒。前走ターコイズS2着時とはパターンが違いますが、負荷をかけられた今回の方が魅力的な調教内容ではあります。

中山 11R 中山牝馬S【ビヨンドザヴァレー】

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阪神 11R フィリーズレビュー【ドゥアムール】

最終追い切りの坂路2F24.6秒は出走メンバーの最終追いの中でトップタイ。追い切りの時間帯が10時13分という中でのこの数字は高く評価できると思います。調教VTRをご覧いただいても分かるように、走りには余裕があります。初めての芝1400mにはなりますが、持っているスピードが距離適性を凌駕すると思っています。

3月9日(日)

中山 11R 弥生賞【アロヒアリイ】

評価したいのが、1週前追い切りの内容。美Wで3頭併せを行っていて、その相手が未勝利とデンクマール。これらを一番後ろから追走して、未勝利に先着するのは当然ですが、デンクマールにも手応え優勢で同入。相当ポテンシャルの高い馬であることは間違いなく、ラップの踏み方からも時計の速い中山芝2000mはジャストフィットです。

阪神 5R 3歳未勝利【エンブレイスメント】

デビュー戦は除外などの影響もあり、万全とは言い難い調教内容での出走でした。そこから中4週の今回、1週前追い切りの坂路では4F51.5秒が自己ベストを更新して、最終追い切りはCWでラスト1F11.0秒。これだけ強い負荷をかけてくれば、この馬本来の能力をしっかり発揮できると思います。

阪神 10R 淀屋橋S【ジャスパーノワール】

4F48.2秒の自己ベストから考えると、1週前追い切りの坂路4F50.6秒はさほど速くありません。ただ、追い切りで速い時計が出るタイプだからこそ、今の高速阪神芝はジャストフィットという印象。重馬場だった前走は度外視してよいと思います。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

3月5日(水)・栗東坂路 オールナット【9時11分】

8時58分に4F76.2秒の登坂を終えた後、この時間に2本目の登坂で追い切り。4F56.7秒と全体時計は遅いものの、4F目12.0秒ときっちり最速ラップを踏みました。自分のリズムで走ることができた時の末脚はパワーとスピードのバランスが抜群ということでしょう。

ラップ別

3月5日(水)・栗東CW レディネス【13.6秒、11.3秒、11.1秒】

弥生賞の注目馬としてはアロヒアリイを取り上げましたが、栗東所属馬の中で追い切りの動きが一番目立ったのはこの馬。ラスト3Fのラップが上記の通りなのですが、これをほぼ馬なりでマーク。しかも、6F81.5秒と前半から速いラップを踏んで、このラスト3Fはとんでもない時計といってもよいでしょう。

3月5日(水)・栗東CW レディネス【13.6秒、11.3秒、11.1秒】

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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