井内利彰の追い切りジャッジ【神戸新聞杯他 調教診断】

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今週の栗東

今週から調教開始が6時になるはずでしたが、異例の暑さを考慮して、9月27日(金)まで5時30分調教開始が継続されることとなりました。確かに明け方でもひんやりすることがなく、18日(水)の気温の上昇を見ていても、この特例で正解だと思いました。

今週の馬場
9月18日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.3秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F50.6秒。追い切り頭数を考えると、時計上位に4F51秒台、52秒台が多く、先週の馬場差「+0.7秒」よりも時計が出ていた印象を受けます。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.6秒。全休明けで追い切り頭数が少なかったことを思えば、5F64秒台も65秒台もそれなりにいました。先週の馬場差は「-0.1秒」でしたが、それよりも基準に近い馬場状態だと思います。

・栗東坂路「±0.0秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.9秒。4F51秒台は追い切り頭数を考えると、ごく標準といってよいでしょう。先週の馬場差「±0.0秒」とあまり変わらない馬場という感じがします。

・栗東CコースW「+0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.7秒。この数字はオールカマーに出走するキラーアビリティがマークしたもので、馬個体を考えれば、出ても不思議ない数字。馬場としては、決して走りにくい、時計が出ないという印象はありませんが、先週の馬場差が「+0.4秒」だったように、馬の状態によっては時計が出ないこともある、軽くはない馬場。よって、先週の馬場差を引き継いだ形にしています。

神戸新聞杯他
今週出走予定の追い切り注目馬

9月21日(土)

中山 9R カンナS【エコロジーク】

デビュー戦の追い切り内容が充実していて、1着という結果も当然だと思います。中4週というレース間隔でも週中、週末とリズムよく追い切りを消化。最終追い切りは坂路で4F52.2秒をマークしつつ、4F目12.1秒の最速ラップを踏みました。直線に急坂がある中山に替わっても対応できます。

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中京 2R 2歳未勝利【センツブラッド】

デビュー戦はまさか負けるとは思いませんでしたが、そこから一旦間隔をあけての今回。前走時よりも走りに重厚感が出た印象で、最終追い切りに幸英明騎手が跨ったCWでの併せ馬は特にそれを感じました。しかも道中のラップがきれいな加速で、ラスト2Fは11.8秒から11.6秒。これはラスト1F最速ラップが踏めなかった前走以上です。

中京 2R 2歳未勝利【センツブラッド】

中京 9R 野路菊S【ワンモアスマイル】

1週前追い切りは武豊騎手が跨って坂路4F51.9秒。これが自己ベストを更新しています。これで気持ちが入ったのか、最終追い切りCWの道中ラップは少しちぐはぐになりましたが、ラスト2Fは11.5秒、11.3秒。文句なしの切れ味は発揮しています。

中京 9R 野路菊S【ワンモアスマイル】

9月22日(日)

中山 11R オールカマー【サリエラ】

最終追い切りの美Wには戸崎圭太騎手が騎乗。併せ馬を追走していますが、16.7秒から入って、14.1秒、13.8秒、13.1秒、12.6秒、11.8秒とじわじわ加速していくラップはまさに中山芝外回りコース向きの加速力。掻き込むようなフットワークは馬場が緩くなっても対応できると思いますし、重賞初勝利は初めての中山、なんてシーンがあってもよいはず。

中京 11R 神戸新聞杯【ウエストナウ】

前走で受けた制裁、調教再審査も無事クリアして、9月に入ると本格的な追い切りを開始。9月5日(木)には坂路4F52.6秒をマークして自己ベストを更新、9月12日(木)のCWではラムジェットを突き放して先着。そして、最終追い切りは坂路で4F52.6秒でしたが、騎乗していた佐々木貴啓調教助手いわく「前にいた馬を追い抜いた時にやめようとしたから押していただけで、手応えは楽でした」とのこと。成長曲線は急カーブを描いています。

中京 11R 神戸新聞杯【ウエストナウ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

9月18日(水)・CW メイショウミリオレ【8時55分】

この時間帯でも速い時計を出す藤岡健一厩舎ではありますが、3F36.1秒は秀逸。13.3秒、11.5秒、11.3秒という加速力も抜群ですし、将来的にはOPで活躍できる素材だと思います。

ラップ別

9月18日(水)・栗東坂路 アドバンスファラオ【13.5秒、13.0秒、12.4秒、12.2秒】

いくら開門直後の5時30分とはいえ、テンから13秒台を踏んで、その後もきれいな加速ラップで4F目最速ラップを踏めるのは素晴らしいと思います。前走の最終追い切りも速いラップでしたが、きれいな加速ではなく、今はスピードの出し方が安定してきたのかも知れません。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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