井内利彰の追い切りジャッジ【北九州記念他 調教診断】

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今週の栗東

26日(水)、調教開始前の時間帯に土砂降りの雨。短時間でしたが、馬場へ影響を与えるだけの降水量でした。この雨の影響か、同日午後から27日(木)にかけてはさほど気温は上がらず、過ごしやすい気候にはなりました。

今週の馬場
6月26日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.3秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.1秒。一番時計が4F52秒台だった先週に比べると速い時計が出ましたが、51秒台は一番時計を含めて2頭しかいません。52秒台の頭数も多くないので、全体的な時計の出方から判断すると先週の馬場差「+0.3秒」から大きく変化したという感じはありません。

・美浦DコースW「+0.3秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.8秒。先週は雨の影響を受けて、馬場差「+0.4秒」という時計をようする馬場状態でしたが、今週もそれが続いている印象。雨が降っていない分、少しだけ先週よりも基準に近づいていますが、先々週とは違います。

・栗東坂路「+0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.8秒。4F50秒台の頭数はそれなりにいましたが、51秒台が少なくなりました。力のいる馬場状態となり、時計が出る馬と出ない馬の差が顕著になるような馬場だったと覆います。先週の馬場差が「±0.0秒」でしたが、今週は少し時計を要する馬場という判定にしました。

・栗東CコースW「+1.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.6秒。この日は朝一番が重い馬場状態で、それが徐々に通常の馬場に戻っていく感じ。時間帯によって、時計の価値が変わってくる馬場といってよいでしょう。先週の馬場差は「+0.5秒」でしたが、全体的な時計で判断すると、今週はかなり重たい馬場です。

北九州記念他
今週出走予定の追い切り注目馬

6月29日(土)

小倉 1R 2歳未勝利【レイピア】

デビュー戦2着というだけで人気するのは承知の上。それでも、時計を要する今週の栗東坂路で4F51.9秒は文句なし。しかも、中竹和也厩舎ですから、追い切った時間帯が6時8分と馬場の踏み荒らされた頃。やっぱり、この馬は走ります。

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小倉 6R 2歳新馬【ロワン】

最終追い切りは坂路で軽め。よって、地味な時計になりましたが、評価したいのはCWでの追い切り。永島まなみ騎手が2週続けて跨り、どちらも6Fからきれいな加速ラップでラスト1Fが最速でした。ちょっと奥のありそうなタイプです。

小倉 5R 2歳新馬【ロワン】

6月30日(日)

福島 5R 2歳新馬【デルアヴァー】

CWでの追い切りは週を追うごとに良くなってきて、最終追い切りは坂路。4F52.7秒と全体時計が速い上に4F目12.3秒の最速ラップを踏むことができました。全体的な調教量としても標準以上をこなしていて、しかも追い切り1本ずつの質が高い点が評価できます。

福島 5R 2歳新馬【デルアヴァー】

福島 11R ラジオNIKKEI賞【メイショウヨゾラ】

強調したいのが最終追い切り。美Wで前半をゆったりしたラップで入り、ラスト3Fが13.2秒、11.9秒、11.8秒。4コーナーでスピードに乗せて、最後の直線が11秒台、しかも加速してフィニッシュするという走りがいかにも福島芝1800mにフィットするラップの踏み方。51キロも含めて、いろんなアドバンテージがあります。

小倉 11R 北九州記念【ディヴィナシオン】

6月16日(日)に坂路で4F49.6秒をマーク。これが自己ベストを更新しており、最終追い切りは27日(木)に坂路4F51.3秒。4F目最速ラップを踏むことはできませんでしたが、2F目以降が12秒台。雨の影響も考えられるレース当日の馬場状態を想定すれば、坂路でマークした12秒台の持続力が大きな武器になると思います。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

6月26日(水)・栗東坂路 ヴァシロペス【7時46分】

2回目のハローが入る前の時間帯。1回目のハローが入る直前よりは踏み荒らされていないことが多いのですが、未勝利で14.6秒、13.6秒、12.5秒、12.4秒というきれいな加速ラップは評価できます。やっぱり距離は1200mがベストかも知れません。

ラップ別

6月26日(水)・CW レッドラディエンス【14.7秒、14.3秒、14.2秒、13.6秒、11.4秒、11.1秒】

3頭併せの一番後ろということもありましたが、6F標識を通過したラップが15秒を切って、「これは速いぞ!」という追い切り。それでもラップを見れば分かるようにゴールへ向かって加速し続けます。これは重賞を勝てるレベルの馬です。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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