井内利彰の追い切りジャッジ【マーメイドS他 調教診断】

title

今週の栗東

今週に入って、栗東でも気温が急上昇。調教開始時刻の5時30分ごろはまだ長袖でちょうどよいくらいですが、調教時間も後半になると羽織っていたものを脱がないと暑くなってしまいます。湿度もやや高めなので、今の気候に対応できない馬も出てくるかも知れません。

今週の馬場
6月12日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.1秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.0秒。今週は4F51秒台が一番時計を含めて3頭。久しぶりに速い時計が出た印象があります。ただ、52秒台の頭数に関しては先週とさほど変わらないので、馬場差としては先週の「+0.1秒」と同じ判定にしました。

・美浦DコースW「-0.6秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.1秒。先週に比べると、5F63秒台の頭数が増えました。また、64秒台の頭数も多くなっています。先週の馬場差は「-0.4秒」でしたが、今週はそれ以上に時計が出る馬場。先々週から週を重ねるごとに時計が速くなっています。

・栗東坂路「-0.3秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.4秒が2頭。4F50秒台の頭数、51秒台の頭数は先週とあまり変わりありません。先週の馬場差は「-0.3秒」でしたが、引き続き、基準よりも速い時計が出る馬場状態だと思います。

・栗東CコースW「+0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.1秒。今週は5F63秒台の頭数も多くなりましたが、全体的な時計の出方としては、決して基準よりも速いわけではありません。先週の馬場差が「+0.3秒」でしたが、今週はそれよりも少しだけ時計を要している印象があります。

マーメイドS他
今週出走予定の追い切り注目馬

6月15日(土)

東京 7R 3歳未勝利【ボエーム】

デビューから4戦、中山ダート1200mを使い続けていますが、今回、左回りの美Wで素晴らしい時計をマークしています。右回りの美Wだと併せ馬に遅れているので、ここは左回りでの変わり身に期待です。

調教動画はJRA-VANアプリでチェック

JRA-VANアプリをダウンロード

京都 10R 保津峡S【ブラックブロッサム】

約2年ぶり(1年11ヵ月)のレース。それでもここで推したい理由は菊花賞でも勝ち負けできる素材を持った馬であったことと、時間をかけて、じっくりと調教を積んだことで追い切りの動きが素晴らしいということです。CWでの追い切りでは道中きれいな加速ラップを踏んでいるので、折り合いもつくと思います。

京都 10R 保津峡S【ブラックブロッサム】

京都 11R 米子S【ノーブルロジャー】

6月12日(水)の最終追い切りで坂路4F時計が遅いのは、吉岡辰弥厩舎らしく、本馬にとっても好走時と同じパターン。注目すべきは6月8日の土曜日追い切りで、これを4F51.8秒、ラスト1F11.7秒で最速ラップを踏むことができたこと。この内容なら状態に関しては文句なしと判断してよいでしょう。

京都 11R 米子S【ノーブルロジャー】

6月16日(日)

東京 11R スレイプニル S【オーロイプラータ】

強調したいのは、6月2日と9日のCW追い切り。いずれも日曜日で左回りですが、6Fからしっかり時計を出しています。特に9日は6F82.4秒。道中はきれいな加速ラップを踏んでいますし、この状態で実績ある東京ダート2100mは魅力しかありません。

東京 11R スレイプニル S【オーロイプラータ】

京都 11R マーメイドS【ジューンオレンジ】

前走が初めて芝1800mの距離でしたが、2走前に引き続き、メンバー最速上がりをマーク。左回りがフィットした可能性もありますが、末脚に託すような走りがパフォーマンスを上げたと考えます。最終追い切りは坂路で2F24.2秒、1F11.9秒で4F目最速ラップ。また距離延長になりますが、後方からのレースであれば、全く気になりません。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

6月12日(水)・栗東坂路 トゥラヴェスーラ【6時18分】

G1実績もあるスプリンターですから、いくら馬場が踏み荒らされた時間帯だからといっても4F目11.9秒はそう驚く時計ではありません。ただ、2F24.0秒なので、3F目も12.1秒なところがさすが。9歳ではありますが、追い切りの動きはまだまだ健在です。

ラップ別

6月12日(水)・CW ドウデュース【10.9秒、10.8秒】

前半3Fの時計が45秒台だったとはいえ、最後の直線で10秒台を連発。しかも、ゴール前で0.1秒加速しているわけですから、驚愕のラップです。この動きを見せながら、追い切り後の様子は比較的落ち着いていて、精神面での成長が窺えるところも魅力です。

調教動画はJRA-VANアプリでチェック

JRA-VANアプリをダウンロード

ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

TARGET frontier JV(ターゲット)

記事に紹介されているような分析が自分でできる!
あらゆる切り口で競馬データを分析可能!