井内利彰の追い切りジャッジ【阪神大賞典他 調教診断】

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今週の栗東

今週の栗東は火曜日が1日中、雨が降っていました。時間帯によっては強い雨の降り方だったので、降水量もかなり多かったと思います。ただ、水曜日には雨が上がったので、馬場に与えた影響は雨量ほど多くないという感じがします。

今週の馬場
3月13日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.2秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F50.4秒。今週は4F51秒台が1頭いたので、この点は先週と違いますが、52秒前半の頭数も少ないのは同じ。先週の馬場差は「+0.2秒」でしたが、全体的な時計の出方から判断して、同じ馬場差でよいと思います。

・美浦DコースW「-0.7秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F62.5秒。これが2頭いて、5F62秒台がもう1頭。これに63秒台、64秒台が続いていて、先週の時計を要する馬場、馬場差にして「+0.3秒」とはかなり印象が違います。特に64秒台の頭数が多かったことを思うと、今週は基準よりも速い馬場という判断でよいでしょう。

・栗東坂路「±0.0秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.0秒。雨の影響を受けた馬場でしたが、4F51秒台の頭数は先週よりも増えました。もちろん、時間帯によっては馬場差以上に走りにくい状況もあったと思いますが、馬場差としては先週の「+0.2秒」よりも走りやすいと判断しました。

・栗東CコースW「+0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.1秒。この数字は先週よりも遅くなりましたが、5F64秒台の頭数、65秒台の頭数は決して少なくありません。先週の馬場差が「+0.2秒」だったので、それよりは時計を要する馬場ですが、極端に走りにくい馬場ではありません。

阪神大賞典他
今週出走予定の追い切り注目馬

3月16日(土)

中山 11R フラワーC【ホーエリート】

最終追い切りは美Wでの併せ馬。前半ゆったり入ったとはいえ、1Fごとに大きな加速を見せ、最後の直線に向くとサッと手前を替えて、最後の直線は11.9秒、11.5秒。先行脚質ですから、この舞台で好位抜け出しを決めるイメージが沸いてくる最終追いでした。

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中京 11R ファルコンS【ナムラアトム】

評価すべきは1週前追い切り。坂路でナムラクレアに先行する併せ馬で、テンから13.3秒、13.3秒と速いラップを踏みながら、後半は12.2秒、12.0秒で4F目最速ラップのまとめ。なんと先着する内容で、4F50.8秒は自己ベストを更新しました。最終追い切りは単走になりましたが、きっちり4F目最速ですし、前走以上の状態といってよいでしょう。

阪神 11R 若葉S【キープカルム】

最終追い切りが坂路で4F51.7秒。この時計をマークした時間帯が重要で、10時8分でした。12秒台を持続してマークした、3F37.3秒はこの日の4位タイの時計ですが、他のタイムが朝一番の開門直後やハロー明けだったことを思えば、特別に価値がある時計といってもよいでしょう。このパワーは阪神芝2000mで武器になります。

3月17日(日)

中山 11R スプリングS【ルカランフィースト】

前走と同じ中7週。ただ、追い切り本数は前走よりも今回の方が少なくなりました。それでも評価したい理由は美Wでのラスト1F。前走時は1週前追い切りも最終追い切りも12.0秒でしたが、今回は11.5秒、11.4秒。全体時計に大きな変化がないのに、これだけラストが切れるようになったのは脚をためて走ることができるようになったからだと推測します。というわけで、前走以上ならここでも勝負になります。

阪神 11R 阪神大賞典【ゴールデンスナップ】

3月13日(水)の追い切りは全頭Dコース芝馬場となった田中克典厩舎。これまでの好走パターンとは最終追いの馬場は違いますが、12日(火)の雨の影響を考慮してのことで、マイナスに考える必要はありません。むしろ併せ馬を追走できたことが重要だと思いますし、最後にはきっちり追いつく動き。田中克典調教師が「2400mでも足りない」と常に口にしていますから、この距離が長いということはありません。

阪神 11R 阪神大賞典【ゴールデンスナップ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

3月13日(水)・栗東坂路 モンサンケコア【7時39分】

サヴォーナの後に駆け上がってきましたが、阪神大賞典でも人気する馬に遜色ない脚色でした。ラップを確認すると4F目が最速になっていて、馬場が踏み荒らされてこの時間帯にこのラップは立派。そろそろ未勝利は脱出してもらわないと、という感じです。

ラップ別

3月13日(水)・CW ドウデュース【13.6秒、10.9秒、11.0秒】

2F21.9秒はこの日の2F時計ベスト。2位のマッドクールは2回目のハローが終了した直後、しかも6F時計はドウデュースの方が1.3秒も速く、1位と2位の差が0.4秒ということ以上に条件的にもっと差があるといってよいでしょう。とにかく素晴らしい動きを見せているので、ドバイ遠征が楽しみです。

3月13日(水)・CW ドウデュース【13.6秒、10.9秒、11.0秒】

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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