井内利彰の追い切りジャッジ【チャンピオンズC他 調教診断】

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今週の栗東

朝の冷え込みが厳しいのは先週と変わりませんが、これが日によって差があります。日中に関しては、15℃を超えるような日が多く、一日での寒暖差に加えて、日によって気温の差があるところが体調管理を難しくしています。

今週の馬場
11月29日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.5秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.8秒。先週よりは一番時計の数字が速くなりましたが、4F52秒台の頭数は先週よりもかなり少なくなりました。先週の馬場差が「±0.0秒」。これと比較すると、時計を要する馬場になったという判定が妥当だと思います。

・美浦DコースW「+0.1秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.9秒。一番時計の数字は先週と比べて遅くなりましたが、5F64秒台の頭数は先週と変わらず。先週の馬場差が「+0.1秒」だったので、ほぼ同じような馬場状態と判断してよいでしょう。

・栗東坂路「-0.3秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.3秒が2頭。4F50秒台の頭数は先週に比べても多くなっており、時計上位を見ただけで、かなり走りやすい馬場だったという印象。先週の馬場差は「±0.0秒」でしたが、全体的なバランスを考えても、先週よりも時計の出る馬場という判定でよいと思います。

・栗東CコースW「+0.4秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.2秒が2頭。5F64秒台が他にも1頭いて、65秒台の頭数もそれなり。ただ、基準時計から比較すると、やはり時計を要する馬場という印象はあって、先週の馬場差は「+0.2秒」でしたが、それよりも少し時計が遅かったかなという馬場と判定しました。

チャンピオンズC他
今週出走予定の追い切り注目馬

12月2日(土)

中山 11R ステイヤーズS【ジェットモーション】

最終追い切りのCWで2歳新馬に先行したのに、ゴールでは大きく遅れてしまいました。これだけを見れば、動いていないということになりますが、映像を見れば納得の遅れ。相手を待って待ってでしたし、そもそも瞬発力に乏しいタイプ。むしろ追い抜かれてから手前を替えて伸びようとしたところに見どころがありました。

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阪神 11R チャレンジC【リカンカブール】

2023年はまだ3戦目。それだけ大事に使われ続けたからこそ、2勝Cと3勝Cを連勝したわけですが、この重賞挑戦も丁寧な調教内容で仕上げてきました。最終追い切りはCWで単走を行ったら、すごくリラックスして走ることができていて、それでいながらラスト1Fが最速になるラップ。ここでの競馬内容次第では、来年のG1も視野に入るはずです。

12月3日(日)

中山 11R ラピスラズリS【メイショウゲンセン】

火曜日は坂路でのキャンターを確認していますが、11月21日(火)の普通キャンターで素晴らしい動きを見せていました。さすがは連勝している馬という感じがしましたし、最終追い切りの坂路でもきれいな加速ラップを踏むことができています。ここも自分の形でレースができれば、突破できるメンバー構成でもあると思います。

中山 11R ラピスラズリS【メイショウゲンセン】

中京 5R 2歳新馬【アルトゥーム】

ステイヤーズSの項で取り上げたジェットモーションの併せ馬の相手がこちら。一瞬の切れ味はとても新馬とは思えないものを持っていて、藤岡健一調教師によるとスタートもめちゃくちゃ速いとか。最後の直線が12.0秒から11.4秒ですから、この距離でもペースが落ち着きやすい新馬戦には絶好の武器になります。

中京 11R チャンピオンズC【テーオーケインズ】

一昨年の覇者。昨年に関しては状態面で万全ではないところがあり、4着は仕方ないところ。今年に入っても勝ち星がない、勢いでは一昨年に劣りますが、その分というか、前走後のリフレッシュ放牧から戻ってきた今回はすごく前向きさがあります。だからこそ、最終追い切りの坂路でのラップも勝った時と同じパターンになりましたし、あらためてチャンピオンとしての走りに期待します。

中京 11R チャンピオンズC【テーオーケインズ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

11月29日(水)・栗東坂路 ワンダーキサラ【7時55分】

この時間帯にテンから13.9秒を踏んでいきながら、13.4秒、12.8秒、12.8秒と減速することなく走ることができたのは立派。このラップの踏み方を見るかぎり、ダートもしくは芝なら1400mくらいだろうと思いますから、それを少し頭に入れておいてもよいでしょう。

ラップ別

11月29日(水)・栗東CW ヘッズオアテールズ【13.5秒、11.3秒、11.2秒】

前半のラップがゆったりだったとはいえ、後半の瞬発力は見どころ十分。きっと自分のリズムで前半を進めることが大切なタイプでしょうから、いろいろ条件が揃えば、競馬でも走ることができるでしょう。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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