井内利彰の追い切りジャッジ【アルゼンチン共和国杯他 調教診断】

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今週の栗東

調教開始前の気温は10℃前後という日が多く、秋というよりも冬に近い体感。ただ、陽が昇り始めると、それなりの暖かさを感じるので、ちょうどいい季節といった感じ。雨がほとんど降っていないこともあり、空気がかなり乾燥しているのは、この時期だから、かも知れない。

今週の馬場
11月1日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+0.1秒」(暫定基準時計4F52.9秒)
一番時計は4F51.6秒。時計の出方はかなり安定してきました。先週の馬場差は「+0.1秒」としていましたが、今週も変わらずの馬場差で判定しています。

・美浦DコースW「+0.2秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F62.0秒。ここ最近では見たことがないくらいの速い時計ですが、二番時計は5F63.8秒。一番時計だけが抜けて速い数字になっています。先週の馬場差が「+0.2秒」だったので、全体的な時計の出方を見ると、同じ馬場でよいと判断しました。

・栗東坂路「±0.0秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.9秒。4F50秒台がこの1頭しかおらず、51秒前半の頭数も少なめ。馬場状態に関しては、晴天が続いているため時計を要する原因はないはずですが、むしろ乾燥したチップで時計が出にくくなっているのかも知れません。馬場差としては先週の「±0.0秒」と変わりなしと判定してよいでしょう。

・栗東CコースW「+0.3秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.5秒。あまり速い時計は出ていませんが、時計を要する馬場というところまで重くもありません。ただ、先週の馬場差「±0.0秒」よりは時計を要する馬場というのが、全体的な時計を見ての印象です。

アルゼンチン共和国杯他
今週出走予定の追い切り注目馬

11月4日(土)

東京 11R 京王杯2歳S【アスクワンタイム】

1週前追い切りのCWでの併せ馬。古馬3勝Cに遅れてしまったことに対して疑問がありましたが、道中はきれいな加速ラップでラスト2Fは11.4秒、11.6秒。2秒近く離れていたことがその原因だと見直しましたし、最終追い切りの坂路ではきれいな加速で4F目最速ラップ。この距離でも対応できます。

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京都 1R 2歳未勝利【フラムリンガム】

デビューから3戦はすべて掲示板といっても、勝ち馬から離されています。ただ、使うごとに良くなってきて、ようやく能力を発揮できる状態に成長したという感じ。前走からは少しレース間隔があきましたが、1週前追い切りも最終追い切りもCWで素晴らしい加速ラップを踏むことができました。よって、距離延長も歓迎です。

京都 1R 2歳未勝利【フラムリンガム】

京都 11R ファンタジーS【クイックバイオ】

連勝中の鞍上、川田将雅騎手が米遠征のため、今回は乗り替わり。ただ、西村淳也騎手が3週続けて追い切りに騎乗していて、その相性は決して悪くありません。最終追い切りでは坂路でテラメリタを力でねじ伏せるように先着。少し前向きすぎるところはありますが、この距離までなら対応できます。

京都 11R ファンタジーS【クイックバイオ】

11月5日(日)

東京 11R アルゼンチン共和国杯【インプレス】

最終追い切りはCWでキリンジとの併せ馬。ジョッキーが跨った相手に対して、こちらは調教助手。にもかかわらず、最後の直線に向いてスッと手前を替えると、抜群の手応えで並びかけ、突き放す内容。前走の最終追い切りが坂路でしたが、新潟記念3着時はCW。重賞だとCWでの最終追いがベストかも知れません。

東京 11R アルゼンチン共和国杯【インプレス】

京都 11R みやこS【マリオロード】

オープン入りしてからベストパフォーマンスは間違いなく前走。2走前と3走前は馬体重を大きく減らした関東遠征でしたから、現状では当日輸送がベストなのでしょう。最終追い切りの坂路では時計こそ遅いものの、活発な脚捌きで元気いっぱい。前走以上に展開が向きそうなメンバー構成も歓迎でしょう。

京都 11R みやこS【マリオロード】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

11月1日(水)・CW ジャンカズマ【9時47分】

2回目のハローが終了して、しばらく時間が経っている頃。そんな馬場状態でラスト2Fが11.7秒から11.4秒と加速できている点は高く評価できます。そもそも芝でも少し時計を要した方がよいパワータイプですから、そんなところがラップに表れているかも知れません。

ラップ別

11月1日(水)・栗東坂路 エルゲルージ【14.0秒、13.0秒、12.0秒、11.9秒】

4F50.9秒はこの日の一番時計。テンから1秒ずつ速くなって、後半は2F23.9秒。レベルの高い加速力を見せており、前走は2勝Cの昇級初戦で躓いたようですが、ラップの踏み方は間違いなくOP級です。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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