井内利彰の追い切りジャッジ【スプリンターズS他 調教診断】

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今週の栗東

先週末から、かなり過ごしやすい気候になったと思っていましたが、朝晩はともかく、日中に関してはまだまだ暑いですね。そういった意味では、熱中症でなくとも、夏バテのような症状で体調が下降するような馬も出てくる時期。知り得る情報を駆使して、そのあたりの見極めをしていく必要があるかも知れません。

今週の馬場
9月27日(水)の追い切りを参考

・美浦DコースW「+0.3秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.6秒。5F64秒台はこの馬1頭だけ。先週に比べると、65秒台の頭数は増えた印象がありますが、それでも65秒後半が多いので、時計を要する馬場状態には変わりなし。先週の馬場差は「+0.6秒」でしたが、全体的な時計の出方を見ると、それよりは基準に近い馬場になっているかも知れません。

・栗東坂路「±0.0秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.1秒。4F50秒台の頭数は多かったのですが、51秒台の頭数はあまり多くありません。全体的な時計の出方を見ると、基準よりも時計を要しているというところまで馬場差を変更するほどのものではない印象を受けます。先週が「±0.0秒」という馬場差でしたから、今週も引き続き同じ数字を適用しました。

・栗東CコースW「+0.5秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.2秒。今週は5F64秒台の頭数が増えましたが、65秒台の頭数はさほど多くありません。先週の馬場差が「+0.7秒」でしたが、それよりは基準時計に近い馬場。馬場差の設定はこのようにしましたが、先週より少し走りやすいとはいえ、時間帯によっては馬場が踏み荒らされて、先週と同じか、それ以上に時計を要しているという印象もあったくらいです。

スプリンターズS他
今週出走予定の追い切り注目馬

9月30日(土)

阪神 3R 2歳未勝利【サフィラ】

1週前追い切りのCWでの走りは、先週のオールカマー3着だったゼッフィーロの調教VTRに出ていました。ご覧になった方ならお分かりでしょうが、この馬のポテンシャルの高さが分かる動き。最終追い切りは坂路で4F目が最速になるラップを踏むことができていますし、ここはきっちり結果を出したいところ。

阪神 3R 2歳未勝利【サフィラ】

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阪神 5R 2歳新馬【インザモーメント】

入厩した時から田中克典調教師のトーンが普通ではなかった新馬。CWでの追い切りを見て「確かに」と思ったのが最初でしたが、週を追うごとに、これはクラシックに乗ってくるはずと思えるくらいの動きに。最終追い切りの坂路での動きも完璧だったようですし、あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか、楽しみに待つだけです。

阪神 5R 2歳新馬【インザモーメント】

阪神 11R シリウスS【フルヴォート】

2走前の東京、前走の小倉。いずれも時計の速い決着で結果を出していて、やはりスピードタイプなのかなと思う一方、最終追い切りで見せるような、坂路でゆったりとしたラップを踏めることがこの距離への対応力を示している印象もあります。調教内容に関してはなしなので、ここは距離をこなせると判断しての推しです。

10月1日(日)

中山 11R スプリンターズS【エイシンスポッター】

セントウルSから中2週、しかも中山競馬場への輸送がありますが、週末に坂路4F55.5秒と強めの負荷を消化して、最終追い切りは坂路4F52.1秒。4F目最速ラップは踏めなかったものの、後半2Fが12.5秒以下のラップを踏んだことが強調できます。追い切り本数が少なくて馬体が増えていた前走ですから、今回は少し絞れて、オーシャンS以上のパフォーマンスを発揮できると思います。

中山 11R スプリンターズS【エイシンスポッター】

阪神 11R ポートアイランドS【ゴールデンシロップ】

美浦所属馬ですが、栗東に滞在して調整中。画像はCWでの1週前追い切りで、相手は神戸新聞杯に出走したサスツルギ。相手に合わせた内容だったので、ゴール前では少し遅れていましたが、ゴールを過ぎてから追い出すとしっかり伸びています。最終追い切りの坂路での2F24.2秒は文句なし。ここまで3戦のOPでのレースは復調途上だった印象が強く、栗東滞在で一気に状態が上がったと判断したいと思います。

阪神 11R ポートアイランドS【ゴールデンシロップ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

9月27日(水)・栗東坂路 レモンポップ【6時34分】

調教開始から30分以上経ち、かなり馬場の踏み荒らされた時間帯。それでいながら、14.3秒、13.2秒、12.3秒、11.8秒。この馬よりも前に4F目が11秒台をマークしたのが、6時15分ですから、さすがはダートG1を勝利しているパワー、といったところでしょう。

ラップ別

9月27日(水)・CW エルトンバローズ【13.3秒、11.4秒、11.3秒】

いくら1回目のハローが終了した直後の時間帯だったとはいえ、3F36.0秒は素晴らしい時計。しかも動き自体に余裕がありましたから、3歳馬らしい勢いを感じる動きでした。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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