井内利彰の追い切りジャッジ【セントウルS他 調教診断】

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今週の栗東

今週の栗東は、水曜日までは蒸し暑い日が続きましたが、木曜日は湿度が低い上、気温も低かったので、非常に過ごしやすかったですね。そんな気候もあってか、CWでの追い切りを見ていると、前日以上に馬が走りやすい、そんな印象も受けました。

今週の馬場
9月6日(水)の追い切りを参考

・美浦DコースW「+0.5秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.6秒。5F63秒台はあと1頭いましたが、64秒台の頭数が少なめ。ただ、先週と同じように65秒台の頭数はそれなりにいたので、先週の馬場差「+0.5秒」にかなり近い馬場状態といってよいと思います。

・栗東坂路「-0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.6秒。4F50秒台の頭数は先週に比べると多くなったということはありません。ただ、重賞出走予定馬の最終追い切りがここで行われたこともあってか、51秒台の頭数は先週よりもかなり増えた印象。また、今週から各地の競馬場で滞在していた馬の帰厩や、新たに栗東へ入厩した馬たちがいる関係で坂路での追い切り頭数が増えたことも影響しているかも知れません。先週の馬場差は「-0.1秒」だったので、大きくは変わりなしという判定にしています。

・栗東CコースW「+1.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.5秒。5F64秒台が1頭というのは先週と同じ。6日(水)の3時頃と4時頃に一瞬の大雨が降りましたが、その影響というよりも先週から時計を要する馬場状態が継続したままという感じ。先週の馬場差が「+0.8秒」でしたが、全体的な時計の出方から判断して、ほぼ同じ馬場差でよいだろうという判定にしています。

セントウルS他
今週出走予定の追い切り注目馬

9月9日(土)

中山 9R アスター賞【バスターコール】

前走は距離短縮に加えて、初めて函館競馬場のWコースでの追い切り。内容は決して悪くなかったと思いますが、初めてづくしにパフォーマンスを下げたという見立てが正しいような気がします。今回はデビュー戦と同じ南Wでの追い切り。1週前に速い時計というのもデビュー時と同じです。

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中山 11R 紫苑S【ヒップホップソウル】

南Wでの最終追い切りは3頭併せ。その真ん中に位置して、4コーナーでは飛び出しそうな勢いでしたが、そこをジョッキーがしっかりと抑えての最後の直線。少し手綱を譲っただけで突き抜けてくる脚力はさすがだと思いますし、ラスト1Fが11.3秒を使っているように、一瞬の脚は素晴らしいものを持っています。

9月10日(日)

中山 11R 京成杯AH【ミスニューヨーク】

1週前追い切りのCWでの併せ馬。最後の直線に向いたところで一気に加速していきそうな勢いでしたが、ここでジョッキーが我慢させて、少しためてからの仕掛け。ここできっちり反応できたことが体調の良さを感じさせてくれますし、最終追い切りはいつも通り、坂路で軽め。今の状態で重賞2勝のこの舞台なら。

中山 11R 京成杯AH【ミスニューヨーク】

阪神 5R 2歳新馬【マーメイド】

1週前追い切りのCWでの動きも良かったですが、最終追い切りのDコース芝馬場での併せ馬が絶品。時計はストップウオッチ計測になりますが、6Fできれいな加速ラップを踏んで、全体が77.5秒。素軽い牝馬なので開幕週のきれいな馬場は向きます。4Rのマイル戦に回る可能性もあるということだったので、5Rに出走がなければ確認してみてください。

阪神 5R 2歳新馬【マーメイド】

阪神 11R セントウルS【ジャングロ】

前走アイビスSDが1年以上の長期休養明けで、レース内容は決して悪くなかったと思います。ただ、最終追い切りの内容としては坂路で3F目と4F目のラップが同じだったことが気になっていました。その点、今回は3F目以降が12.2秒から12.1秒。NZTを勝った時と同じ、4F目最速ラップを踏むことができているので、やっぱり今回の方がレースでのパフォーマンスは上がると思います。

阪神 11R セントウルS【ジャングロ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

9月6日(水)・栗東坂路 サヴォーナ【6時11分】

今週から栗東の調教開始時刻は5時30分。ということで、この馬が追い切ったのは馬場開場から40分以上経った時間帯ですが、テンから14.0秒、13.1秒、12.6秒、12.1秒。4F51.8秒をマークする内容。もともと追い切りでは速い時計が出るタイプではありましたが、パワーに関しても文句なしの3歳牡馬です。

ラップ別

9月6日(水)・美浦南W アリススプリングス【13.8秒、12.8秒、11.6秒、11.2秒】

ラスト4Fが14秒を切るラップで入りつつ、最後の直線は11秒台。11.2秒は6日のラスト1Fで一番時計ですから、素晴らしい後半の脚力を見せた形。2勝Cで二桁着順が続いているものの、さすがにこのラップは見逃せません。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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