井内利彰の追い切りジャッジ【宝塚記念他 調教診断】

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今週の栗東

21日(水)は雨が降る予報もありましたが、調教時間中に関しては曇り空でとどまりました。この時期特有の蒸し暑さを感じることもなく、気温もさほど上がりませんでしたから、人にとっても、馬にとっても過ごしやすい気候という感じでした。

ちなみに22日(木)の栗東は朝から雨。調教中も激しく降る時間帯があり、雨が馬場に与えた影響と同じくらい、馬体に雨が当たりながら走るという状況は時計に影響したと思われます。

今週の馬場
6月21日(水)の追い切りを参考

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.3秒。二番時計は5F64.6秒だったが、64秒台の頭数が先週に比べると少なくなっています。65秒台の頭数も先週より少ない印象を受けるので、先週の馬場差「-0.1秒」から先々週の馬場差に戻った感じ。

・栗東坂路「-0.4秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F48.7秒。二番時計が4F49.9秒なので、速い時計上位は先週と同じ。50秒台の頭数もそれなりに多いのですが、51秒台は先週よりも少ないかなといったところ。ただ、それが馬場の影響かといえば、少し微妙なので、先週よりはほんの少し時計を要する馬場という設定にしました。

・栗東CコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.9秒。先週に比べると5F64秒台の頭数は増えました。先々週の馬場差が「+0.5秒」と基準よりも時計を要していましたが、先週が「+0.2秒」。少しずつ、基準に戻っている印象ですが、今週に関してはほぼ基準通りという馬場設定でよいと思います。

宝塚記念他
今週出走予定の追い切り注目馬

6月24日(土)

函館 11R 青函S【レッドベルオーブ】

最終追い切りは函館Wでその時計自体は決して目立ちませんが、注目すべきは6月8日(木)の栗東坂路。4F50.8秒は自己ベストを更新していて、函館芝1200mはトレセンの坂路で自己ベストを更新した馬が昨年から好走連発。特に今年は開幕週から結果を出すなど、要注目の調教パターンです。

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6月25日(日)

函館 11R 大沼S【ハセドン】

栗東トレセンでは坂路でしっかり時計を出してから、函館競馬場へ移動。6月2日(金)にマークした4F52.3秒は、前走オアシスSの1週前追い切りで自己ベストを更新した4F52.1秒と同じレベルのスピード。函館での最終追い切りもウッドチップで順調に消化したようですから、ここは力を見せてくれると思います。

東京 11R パラダイスS【サトノラムセス】

最終追い切りは栗東坂路で2F24.3秒。ラストは12.0秒で4F目が最速ラップを踏んでいます。前半をかなりゆっくりと走ったことが後半の速さとなったようですが、前走のレースでもそんな走り。これが東京の長い直線でフィットすると予想して取り上げています。

阪神 5R 2歳新馬【クイックバイオ】

もともと予定されていたデビュー戦が早まったこともあり、CWでの追い切り時計はさほど速くありません。ただ、動きの質は高く、最終追い切りの坂路では動くだろうなと予想して、4F52.2秒、2F24.3秒。追い切りの本数自体は十分足りていますし、まだ良化の余地を残したこの状態でどんなレースを見せてくれるか楽しみです。

阪神 5R 2歳新馬【クイックバイオ】

阪神 11R 宝塚記念【スルーセブンシーズ】

6月11日(日)に美浦から栗東へ入厩。レースまであまり日数がないので、強い追い切りは課してこないのかなと勝手に想像していましたが、14日(水)の1週前追い切りが5F66.4秒。まずまずの速さで、ラスト2Fが23.3秒。主観的な動きの比較だと中山牝馬Sを勝った時の最終追いくらいは動けているなあという印象でした。そして、21日(水)の最終追いCWですが、これがヤバイくらいの迫力でした。それは数字にも表れていて、5F64.4秒で2F22.4秒。この調教VTRの迫力と同じように4コーナーを回ってくれば、先頭でゴールというシーンも考えられそうです。

阪神 11R 宝塚記念【スルーセブンシーズ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

6月21日(水)・栗東坂路 ノリノリ【6時28分】

1回目のハローが入る直前、馬場がかなり踏み荒らされている時間帯ですが、2F目から13.7秒のラップを踏んで、その後も13.2秒、12.8秒。4F目最速ラップを踏むことができていますし、坂路で自己ベストを更新した前走から走りの質が変わったように思います。

ラップ別

6月21日(水)・CW エルトンバローズ【15.3秒、14.6秒、14.6秒、14.3秒、11.8秒、10.9秒】

先週はジャスティンパレスよりも手応えよく動いていて、それが本物ということを示すような時計。前半がゆっくりとはいえ、きれいに加速していますし、それでいて、最後の直線は11.8秒から10.9秒。ラップの踏み方としては完璧です。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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