井内利彰の追い切りジャッジ【エプソムC他 調教診断】

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今週の栗東

今週は6日(火)に雨が降った影響で、7日(水)は湿った馬場状態。気温に関しても、雨の影響を受け、調教開始時刻(今週から5時30分)の頃は半袖だと肌寒いくらいの気温。雲の合間から太陽が出ると直射日光で暑く感じるものの、陽が隠れると上着があった方がいいかなという感じ。馬にとっては過ごしやすい気候といってよい。

今週の馬場
6月7日(水)の追い切りを参考

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.4秒。5F63秒台はこの馬1頭しかおらず、64秒台の頭数も少なめ。ただ、65秒台の頭数はそれなりにいるので先週の馬場差「±0.0秒」から時計を要する馬場になったという印象はありません。

・栗東坂路「-0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.2秒。4F49秒台がもう1頭いて、50秒台は3頭。時計上位の頭数は先週とあまり変わりなし。ただ、先週は雨の影響を大きく受けて、馬場差が「±0.0秒」でした。それに比べると、今週は時計が少し出やすくなっているので、そういった判定の馬場差にしています。

・栗東CコースW「+0.5秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.4秒。5F64秒台の頭数は少なく、先週よりも雨の影響は少なかったと思いますが、基準よりも時計を要しています。6月に入り、Cコースのウッドチップの入れ替えが始まっています。これにより、部分的にチップが重く感じるところがあると思われるので、しばらくの間は雨の影響がなくても、基準より時計を要する馬場になるかも知れません。ちなみに先週の馬場差は「+0.6秒」でしたが、今週はそれよりもほんの少しだけ基準に近いという馬場と判定しました。

エプソムC他
今週出走予定の追い切り注目馬

6月10日(土)

東京 11R ジューンS【ワイドエンペラー】

前走がほぼ勝ちに等しいレース内容。その調子を維持していれば、というところですが、6月7日(水)の最終追い切りではCWで弾むような動き。時計はラスト3Fが13.6秒、12.0秒、11.5秒とこの馬にしては、というラップですが、ここは主観的に高く評価できます。

東京 11R ジューンS【ワイドエンペラー】

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阪神 5R 2歳新馬【フェンダー】

5月18日(木)の栗東坂路での2F時計が24.7秒。坂路でしっかり動けている上、5月31日(水)のCWでは3F36.7秒。トラックでもこれだけ動けば十分という時計。まだCWでの前半部分がきれいな加速ラップを踏むことができないあたりに上昇の余地はありますが、現状でも十分勝ち負けという素質は示しています。

阪神 5R 2歳新馬【フェンダー】

6月11日(日)

函館 11R 函館スプリントS【ヴァトレニ】

栗東では坂路でしっかり時計を出し、最終追い切りは函館芝というパターン。これは昨年の青函S(OP)を勝った時と同じです。時計の出し方も非常によく似ていますし、当時よりも斤量が1キロ重たくなること以外はプラス材料しかない状況だと思います。

東京 5R 2歳新馬【ダノンエアズロック】

今年のJRA-VAN Presents「ザ・POGドラフト会議」に出演させていただいた際、現3歳世代のG1勝ち馬にはデビュー前の追い切り時計に共通点があるというお話をミニコーナーでさせていただきました。美浦所属馬の場合、南Wでの速い6F時計がポイントですが、5月31日(水)に南Wで6F80.9秒。文句なしに速い数字です。

東京 11R エプソムC【ココロノトウダイ】

最終追い切りの南Wでの6F時計は88.8秒と非常に遅くなりましたが、前半はゆったりと走ることができて、最後の直線でしっかりと加速できています。そもそも、さほど速いラップを踏める馬ではありませんので、それでもラストは11.3秒。中4週や中5週で好走実績があり、その時と同じ追い切り本数の多い調教内容。個人的には時計を要する馬場が向いていると思います。

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

6月7日(水)・栗東坂路 ニホンピロソラーナ【8時54分】

7日(水)の調教もほぼ終了の時間帯。そんな中で3F目以降のラップが12.6秒、12.3秒で後半2Fが25秒を切ってきました。未勝利の身でこの時計、当然評価した方がよいと思います。

ラップ別

6月7日(水)・CW セラフィックコール【14.0秒、11.3秒、11.1秒】

朝早い時間帯ではありましたが、ラスト2Fは22.4秒。4コーナーは14.0秒なので、直線に向いてから一気に加速した形ですが、道中はきれいな加速ラップ。さすがはデビューから2連勝中という感じがしますし、まだまだ奥のありそうな馬です。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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