井内利彰の追い切りジャッジ【ヴィクトリアマイル他 調教診断】

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今週の栗東

天候は晴れ。気温も前半の時間帯で日陰なら、少し肌寒いくらいなので、馬にとってはベストな気候といってよいかも知れません。後半の時間帯になれば、気温がかなり上昇するので、馬体重を絞っていきたい馬などは後半に乗るということもあります。

今週の馬場
5月10日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+1.5秒」(基準時計4F51.5秒)
一番時計は4F51.9秒。一番時計は先週と同じ数字で、4F52秒台の頭数は先週とほぼ同じ。先週の馬場差が「+1.5秒」でしたが、今週も全体的な時計の出方は変わらない状態です。

・美浦DコースW「-0.1秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.1秒。5F63秒台はこの1頭しかいませんが、64秒台はそれなり。65秒台の頭数も先週とほぼ同じような頭数ですから、先週の馬場差「-0.2秒」とほぼ同じ馬場という判定にしています。

・栗東坂路「-0.4秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F50.2秒。4F49秒台がいなかったもの、50秒台の頭数は多く、51秒台も前半の頭数が多いことを思えば、先週の馬場差「-0.2秒」よりも時計が出やすい馬場状態だと判定すべきでしょう。

・栗東CコースW「+0.1秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.8秒。先週同様、上位には速い時計が並びつつも、その頭数が多すぎるということはなく、全体的に負荷のかかる馬場といった印象です。先週の馬場差「+0.1秒」とほぼ同じ馬場状態という判定でよいかと思います。

ヴィクトリアマイル他
今週出走予定の追い切り注目馬

5月13日(土)

東京 11R 京王杯SC【ラウダシオン】

今回はJRAでの競走では初めての最終追い切り栗東坂路。その動きは単走でしたが、力強さが目立って、4F目が11.8秒で最速ラップを踏みました。これまで坂路での追い切りが多くなかったこともありますが、4F52.7秒は自己ベストを更新する時計。このタイミングでの栗坂追いは狙いたいところです。

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京都 11R 都大路S【ラセット】

4F54.6秒という、最終追い切り栗東坂路での時計はかなり地味。ただ、この馬自身が最終追い栗坂というのは久しぶりで2021年12月のリゲルS以来となります。当時は結果が出ていませんが、過去にOP特別や重賞で2着した時が最終追い栗坂。3勝Cを勝った時も栗坂でその時は京都競馬場でした。

5月14日(日)

東京 10R 青竜S【ユティタム】

この中間はCWで皐月賞出走馬、NHKマイルC出走馬、そしてソダシと併せて常に先着か手応え優勢で動く、絶好の反応を見せています。その時計が速いところも魅力で、2週前と1週前はいずれも4F49秒台。この半マイルのスピードが持続力性能の高さを示していると思います。

東京 10R 青竜S【ユティタム】

東京 11R ヴィクトリアM【スターズオンアース】

中5週というローテーションですが、南Wと美浦坂路を併用して、6本の追い切りなら十分な調教量。オークス以降続いている、最終追い切りにはC.ルメール騎手が跨るというパターンも継続しており、調教内容は文句なし。ただ、ラップを見る方なら、最終追いの5F標識から4F標識の14.4秒から14.7秒というちぐはぐラップはどうなんだ、と疑問を持つ方もいるでしょう。実は桜花賞、オークスとG1を勝った時はいずれもこの区間でちぐはぐラップを踏んでいます。むしろ、このラップが勝つために必要なのかも知れません。

京都 11R 栗東S【スマートダンディー】

最終追い切りは栗東坂路で4F52.0秒。4F目は最速ラップを踏めませんでしたが、後半が12.5秒から12.6秒。10時4分という遅い時間帯での追い切りだったことを思えば、このラップは評価できますし、1週前追い切りの栗坂4F50.4秒も千葉Sを勝った時の1週前、栗坂4F50.0秒と同じスピード調教という意味で評価できます。

京都 11R 栗東S【スマートダンディー】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

5月10日(水)・栗東CW ジェムラー【10時10分】

先週も当欄で同じ藤岡健一厩舎の3歳未勝利を取り上げましたが、時間帯まで同じ。ラップは5Fから15.1秒、14.7秒、13.4秒、11.8秒、11.7秒ですから、素晴らしいという言葉しかありません。調教量自体は十分ですし、あとは初めてのレースに戸惑わなければ。

ラップ別

5月10日(水)・栗東坂路 ナムラクレア【11.7秒】

11.7秒は10日の4F目ベストラップになります。この時計をスタートから14.8秒、13.9秒、12.4秒と1Fごとに1秒前後加速していくラップを踏みながら、マークするのですから、ラップの踏み方は単なるスプリンターではありません。調教VTRを見ていただくと、ゴール前に余裕たっぷりな走りであることも確認していただけると思いますし、ここは実績がないマイルですが、諸条件が揃えば、ヴィクトリアMで悲願のG1制覇というシーンがあっても不思議ではありません。。

5月10日(水)・栗東坂路 ナムラクレア【11.7秒】

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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