井内利彰の追い切りジャッジ【天皇賞(春)他 調教診断】

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今週の栗東

水曜日の栗東は雨。調教開始前は小降りでしたが、だんだんと本降りに。強い風が吹く時間帯もあり、荒れた天候の中での追い切りとなりました。よって、通常時よりも追い切りの時間帯を注視して追い切り時計の判断をした方がよいでしょう。

今週の馬場
4月26日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+1.5秒」(基準時計4F51.5秒)
一番時計は4F50.9秒。先週の一番時計よりもかなり速くなりましたが、この1頭だけが速くて、あとは4F52秒台。その頭数自体はさほど多くありませんが、これは先週と同じ。ちなみに先週の馬場差が「+1.6秒」だったので、それとほぼ同じ馬場差にしています。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F61.4秒。二番時計が5F63.8秒ですから、この差は大きいものの、先週は63秒台自体がいなかったので、決して走りにくい馬場ではなかったという時計の出方。先週の馬場差が「±0.0秒」ですから、それとほぼ同じと判断してよいでしょう。

・栗東坂路「-0.2秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.1秒。時計上位を見ると、先週とあまり変わりませんが、馬場が踏み荒らされた時間帯になると、踏み荒らされていない時間帯との馬場差が顕著です。一応、先週の馬場差が「-0.2秒」なので、今週も同様の馬場差という判定にはしています。

・栗東CコースW「+0.6秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.4秒。一番時計はそれなりの数字が出ていますが、雨の影響は大きく、先週の馬場差「+0.3秒」よりも時計を要する馬場状態だったのは、時間帯に関係なくといってよいでしょう。

天皇賞(春)他
今週出走予定の追い切り注目馬

4月29日(祝・土)

東京 11R 青葉賞【グランヴィノス】

当初予定されていた弥生賞を回避しての出走。病み上がり感はありますし、最終追い切りがDコースの芝馬場で単走。いかにも次に上昇しそうな軽い内容ではありましたが、これがバランスよく走ることができていて、デビュー戦と同じ最終追いの馬場というのが魅力ではあります。

東京 11R 青葉賞【グランヴィノス】

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4月30日(日)

新潟 11R 谷川岳S【アオイクレアトール】

昨年の同レースは4着。ただ、1・2着馬は後に重賞ウイナーとなっているので、レベルが高かったといってよいでしょう。この馬自身としては、好走時に最終追い切りが南Wで併せ馬を課していますが、昨年は単走。それを併せ馬にした今回は昨年以上です。

東京 10R ブリリアントS【ロードレガリス】

ここ2走は最終追い切りが坂路ということで、アルデバランSを勝った時の最終追いCWとは違うパターン。それが今回はCWで戻ってきたこと自体、評価できますし、そのラップがきれいな加速。そろそろ好走して不思議ない調教内容だと思います。

東京 11R スイートピーS【ヴァイルマティ】

中2週の前走から引き続きの中2週ですが、疲れどころか上昇を感じる調教内容。その根拠は前走との最終追い切りの時計比較。6F86.1秒だった前走から今回は84.1秒。2秒速くなった分だけ、少しだけラップがちぐはぐになるところがありましたが、今回は距離が1F短縮するので、ラップの踏み方以上にスピードを見せた追い切り内容を評価したいところです。

京都 11R 天皇賞・春【ブレークアップ】

美浦からの転厩初戦となった前走の阪神大賞典。CWでも坂路でも速い時計を出して、攻めた調教内容でしたが、それが馬体重を絞り、3着という結果になったと思います。今回は時計ではなく、追い切り本数を強化して、更なる距離延長、G1の激しいレースの流れに対応する調教内容をこなしてきました。雨の中でも集中力が途切れることなく登坂できた最終追いの動きを見るかぎり、レース当日に雨が降っても全く心配ありません。

京都 11R 天皇賞・春【ブレークアップ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

4月26日(水)・栗東坂路 タガノショコラータ【7時29分】

朝一の開門から30分経った、この時間帯に4F50.1秒をマーク。しかもラスト1Fは12.8秒と13秒台まで失速していませんから、スピードの持続力は相当でしょう。このラップから分析するに、個人的には中距離よりも短い距離の方がフィットするような気がしますが。

ラップ別

4月26日(水)・美浦南W シャンパンカラー【15.0秒、13.1秒、12.7秒、12.5秒、11.7秒、11.4秒】

6F76.4秒自体、26日の抜けて速い一番時計なのですが、これをラスト1Fが最速ラップを踏んでマークするところが驚愕。南Wでの追い切りはこなすたびに時計が速くなっていて、急上昇で成長しているのではないかと思わせてくれます。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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