井内利彰の追い切りジャッジ【高松宮記念他 調教診断】

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今週の栗東

今週の栗東は21日(火)が午後から雨。その影響を受けた22日(水)の馬場状態でしたが、ウッドチップに関しては適度な湿りとなって、適度な負荷がかかる状態。気温が上昇した調教時間後半になると、馬場が乾いて、少し時計が出やすい状態だったと思います。

今週の馬場
3月22日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+1.3秒」(基準時計4F51.5秒)
一番時計は4F51.7秒。先週は4F52秒台の頭数がそれなりにいましたが、今週は先週よりも少なくなっています。先週の馬場差が「+1.0秒」でしたが、全体的な時計を見渡しても、さらに基準よりも時計を要した馬場状態という判定でよいと思います。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.1秒。5F63秒台はいませんでしたが、64秒台の頭数は先週よりも増えました。65秒台の頭数は相変わらず多くて、先週の馬場差「±0.0秒」とほぼ変わらない馬場状態と判断してよいでしょう。

・栗東坂路「-0.4秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F49.6秒。先週は4F50秒台の頭数がかなり多くなりましたが、今週は雨の影響もあってか、少し落ち着いた印象。先週の馬場差「-0.9秒」より時計は基準に近い馬場だと判定しましたが、それでも基準より速いのは間違いありません。

・栗東CコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.6秒。5F63秒台はもう1頭いて、64秒台は4頭という、ごく標準的な時計の出方という印象。先週の馬場差は「+0.2秒」でしたが、今週は基準に近い馬場状態になったと判定しています。

高松宮記念他
今週出走予定の追い切り注目馬

3月25日(土)

中山 11R 日経賞【ボッケリーニ】

最終追い切りはCWで単走。自分のリズムで走ることができたというのはあったと思いますが、きれいな加速、ラスト1Fが最速になるラップを踏むことができました。頭の位置が低く、ストライドが伸びる走りができており、G1での大敗を払拭できそうな状態にあります。

中山 11R 日経賞【ボッケリーニ】

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阪神 11R 毎日杯【エマヌエーレ】

最終追い切りは和田竜二騎手が跨って、坂路で単走。1F目は14.0秒でしたが、2F目に13.0秒を踏んで、いかにも逃げ先行を得意とする馬のラップ。後半は12.2秒、12.3秒でまとめており、4F51.5秒で自己ベストを更新しました。逃げてこのラップを踏むことができれば、そうそう後ろに捕まることはないでしょう。

阪神 11R 毎日杯【エマヌエーレ】

3月26日(日)

中山 11R マーチS【カフジオクタゴン】

3歳時から坂路での追い切りの動きは目立っていましたが、4歳になって、後半2Fが速いラップを踏めるようになりました。3月10日(金)は2F23.8秒。11.9秒を持続させるあたり、素晴らしい脚力。最終追い切りは4F目12.1秒の最速ラップ。久しぶりのJRAでのレースですが、脚力は重賞制覇した時よりも増しています。

中山 11R マーチS【カフジオクタゴン】

中京 9R 大寒桜賞【シリンガバルガリス】

デビュー当初は体をもて余すような走りの印象でしたが、今回のCWでの最終追い切りは安定感があり、スピードとパワーが兼備されたような走り。全姉ラッキーライラックに近づきつつある成長を見せていると思います。ラップの踏み方もチグハグといっても僅かで、ここのレース内容次第では今後が楽しみな素材です。

中京 11R 高松宮記念【グレナディアガーズ】

最終追い切りは坂路で併せ馬。前走は単走、昨年12着に敗れた高松宮記念でも単走だったので、2走前2着と同じ併せ馬を課してきたというのは、前走から巻き返しが期待できる調教パターンの変化です。その走りはたぐるようなフットワークで、昨年の同時期とは走りが違います。これなら雨が降る馬場、力がいる馬場になっても全く問題ありません。

中京 11R 高松宮記念【グレナディアガーズ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

3月22日(水)・栗東CW ブリンクアップ【10時32分】

水分を含んでいた調教時間前半よりはウッドチップが乾いて走りやすい状態だったかも知れません。ただ、時間的には馬場が踏み荒らされていて、それでも最後の直線が2F22.1秒。3F35.3秒とともに、この日のベスト2F、3Fをマーク。脚力は相当なものを持っています。

ラップ別

3月22日(水)・美浦南W タイトルホルダー【14.2秒、13.9秒、12.9秒、11.9秒、11.2秒】

5Fからのラップが前記の通り。ぐんぐんと加速していくラップを踏みながら、最後の直線は11秒台で、ゴール前は11.2秒。調教VTRを観るかぎりは余裕がありますし、前走惨敗が気になっても、この時計を示されると評価するしかありません。

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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