井内利彰の追い切りジャッジ【阪神大賞典他 調教診断】

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今週の栗東

日中の気温は春のように暖かくなってきた栗東。ただ、調教開始時刻の7時前は2℃前後とまだまだ冷え込みが厳しい状況です。そんなこともあり、競走馬を管理する調教師からは「寒暖差で体調管理が大変」といった言葉を聞くこともしばしばです。

今週の馬場
3月15日(水)の追い切りを参考

・美浦坂路「+1.0秒」(基準時計4F51.5秒)
一番時計は4F51.4秒。4F51秒台はもう1頭しかおらず、52秒台がそれなりに多いといった感じ。目立って速い時計は出ておらず、全体的には時計を要していて、先週の馬場差「+0.8秒」よりも重たい馬場、走りにくい馬場なのかも知れません。

・美浦DコースW「±0.0秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F63.4秒。5F63秒台はこの1頭で、64秒台は4頭しかいませんでした。65秒台の頭数は先週と同じく、それなりの頭数がいるので、先週の馬場差「±0.0秒」とほぼ同じような馬場状態と判断してよいでしょう。

・栗東坂路「-0.9秒」(基準時計4F51.9秒)
一番時計は4F48.9秒。先週は4F50秒台の頭数が非常に多くて、馬場差を検討するにも苦労する時計の出方でしたが、今週はそれよりも落ち着いた頭数。とはいっても、通常よりも時計の速い馬場で先週の馬場差「-1.0秒」がほぼ継続している印象です。

・栗東CコースW「+0.2秒」(基準時計5F65.5秒)
一番時計は5F64.5秒。先週の一番時計が5F63秒台でしたから、週を追うごとに基準に近い時計の出方になっている印象。先週の馬場差は「-0.2秒」でしたが、今週はむしろ基準より少しだけ時計要するという判定です。

阪神大賞典他
今週出走予定の追い切り注目馬

3月18日(土)

中山 9R 館山特別【ジュンブロッサム】

最終追い切りはCWで6F84.3秒。これだけ見ると地味な数字ですが、これをラップで分析すると16.6秒、15.5秒、15.4秒、14.0秒、11.7秒、11.3秒。後半の脚力が素晴らしいことが分かります。間違いなく重賞級の素質馬ですし、今回はC.ルメールが騎手騎乗。先行して最後は後続を突き放す脚を使うというイメージです。

中山 9R 館山特別【ジュンブロッサム】

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中山 11R フラワーC【ニシノコウフク】

最終追い切りが南Wというのは前走と同じですが、前半のラップが今回の方が速くて、さらに後半のラップも今回の方が少し速いという形。結果的に4F51.4秒でしたが、これが重心の安定したフットワークでマークできたところに、レース当日の雨予報にもきちんと対応できそうなパワーを感じます。

中京 11R ファルコンS【ミルトクレイモー】

最終追い切りは栗東坂路での併せ馬。前走時の最終追いが4F49.3秒ですから、それと比較すると4F51.0秒は少し地味ですが、今回評価したいのは2F23.8秒。これは自己ベストを更新する時計で、3月15日(水)の栗坂でも3位タイ。これだけラストがしっかりしていれば、力のいる中京で期待したくなります。

3月19日(日)

中山 11R スプリングS【ハウゼ】

この原稿を書いている時点では最終追い切りの内容まで把握できていませんが、中2週なのに、1週前追い切りが美浦坂路で4F52.2秒。しかも2F目から12秒台のラップを踏んで、4F目最速ラップ。スピードの持続力は相当なものを持っていそうですし、前走からの距離短縮はあっさりとこなすと思います。

阪神 11R 阪神大賞典【ボルドグフーシュ】

1週前追い切り、最終追い切りと川田将雅騎手が騎乗。レースで騎乗するジョッキーが跨るというのは、前走有馬記念と同じパターンです。1週前、最終ともに有馬記念よりも余裕を持たせている印象ですが、それでもほぼ同じ内容といってもよいくらい。ここは重賞タイトルをゲットしたいところです。

阪神 11R 阪神大賞典【ボルドグフーシュ】

条件別追い切りフォーカス

時間帯別

3月15日(水)・栗東坂路 ジャックドール【7時29分】

かなり馬場が踏み荒らされた時間帯ですが、さすがはジャックドール。4F51.3秒と速い全体時計をマークしている上、後半2Fは12.1秒、11.6秒。この日の4F目最速でしたが、「それをこの時間でマークするとは」という感じです。

3月15日(水)・栗東坂路 ジャックドール

ラップ別

3月15日(水)・栗東CW アフリカンゴールド【15.3秒、13.5秒、13.9秒、13.5秒、11.8秒、12.1秒】

朝一番の時間帯だったとはいえ、5F標識から13秒台を踏んでいきつつ、最後の直線も12秒前後でまとめてきました。逃げてこそ、というイメージがある馬が、併せ馬の内で、しっかりと我慢しながらこのラップを踏んだところに前走のレースで得た経験が今回の追い切りに表れているような気がします。

3月15日(水)・栗東CW アフリカンゴールド

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ライタープロフィール

井内 利彰

1976年、大阪生まれ。調教をスポーツ科学的に分析した適性理論『調教Gメン』を操る。栗東トレセンを中心とした取材活動をベースに、フジテレビONE『競馬予想TV』やJRA主催のイベントなどでも活躍している。

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