【クイーンS×過去データ分析】前走ヴィクトリアマイル組は当日人気に注目
2025/7/31(木)

今週は日曜日に札幌競馬場でクイーンSが行われる。近年はテルツェットが連覇(21年・22年)を果たし、3歳馬が2年連続で勝利(23年ドゥーラ、24年コガネノソラ)している一戦だ。いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年(函館芝1800mで行われた21年も含む)のデータを分析した。
前走JRA重賞組が9勝、2着9回
| 前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 2勝 | 0- 0- 1- 11/ 12 | 0.0% | 0.0% | 8.3% | 0 | 28 |
| 3勝 | 0- 1- 2- 12/ 15 | 0.0% | 6.7% | 20.0% | 0 | 94 |
| OPEN非L | 0- 0- 2- 8/ 10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 133 |
| OPEN(L) | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| 重賞 | 9- 9- 5- 63/ 86 | 10.5% | 20.9% | 26.7% | 148 | 72 |
| 地方 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| 海外 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 320 | 130 |
(表1 クイーンSの前走クラス別成績、過去10年)
過去10年の前走クラス別成績(表1)を調べたところ、前走JRA重賞組が【9.9.5.63】で連対馬の9割を占め、単勝回収値は148と優秀だった。残る1頭の勝ち馬は18年のディアドラ(前走ドバイターフ3着)。同馬は前年の秋華賞馬であり、その他の勝ち馬も重賞またはオープン特別で好走歴のある馬ばかり。前走が重賞であることと過去の実績を重視したい一戦だ。
前走オープン特別組や3勝クラス組は連対が厳しいという傾向だが、複勝率は20.0%あり、複勝回収値も悪くない。前走2勝クラス組も1頭3着に入っているので、ワイドや3連複、3連単の相手候補としてマークするのはいいだろう。
前走ヴィクトリアマイル組に注目
| 前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| ヴィクトG1 | 3- 4- 3-15/25 | 12.0% | 28.0% | 40.0% | 56 | 69 |
| マーメイHG3 | 2- 2- 2-14/20 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 381 | 118 |
| 優駿牝馬G1 | 2- 0- 0- 7/ 9 | 22.2% | 22.2% | 22.2% | 156 | 56 |
| 福島牝馬G3 | 1- 1- 0- 9/11 | 9.1% | 18.2% | 18.2% | 183 | 97 |
| NHKマG1 | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 106 | 126 |
| 中山牝馬HG3 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 42 |
(表2 前走JRA重賞組の前走レース別成績、過去10年)
続いて前走JRA重賞組のレース内訳(表2)を調べたところ、前走ヴィクトリアマイル組が【3.4.3. 15】と好走馬10頭を出し、連対率28.0%、複勝率40.0%という成績だった。前走マーメイドS【2.2.2.14】もハンデ戦のG3ながら好走率はまずまずで、単・複回収値は高かった。ただし、阪神芝2000mで行われていたマーメイドSは今年からなくなった。替わりにアイルランドトロフィー府中牝馬SがG2からハンデG3になり、6月に移設されたので注意する必要がある。この両レースはコース形態がかなり違うので、従来の傾向をそのまま引き継ぐかどうかはまだわからない。
前走オークス組【2.0.0.7】やNHKマイルC組【1.1.0.1】も高確率で勝ち馬を出しており、3歳馬にもかなりチャンスがある一戦だ。好走したのはアエロリット(NHKマイルC1着)、ドゥーラ(札幌2歳S1着、オークス3着)、ボンドガール(芝1600mの重賞で2着2回)、コガネノソラ(スイートピーS1着)の4頭。それなりに実績が必要という印象だ。
前走ヴィクトリアマイルの着順は不問
| 前確定着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 前走1〜5着 | 0- 2- 1- 3/ 6 | 0.0% | 33.3% | 50.0% | 0 | 78 |
| 前走6〜9着 | 1- 1- 1- 3/ 6 | 16.7% | 33.3% | 50.0% | 38 | 83 |
| 前走10着〜 | 2- 1- 1- 9/13 | 15.4% | 23.1% | 30.8% | 90 | 58 |
(表3 前走ヴィクトリアマイル組の前走着順別成績、過去10年)
前走ヴィクトリアマイル組の前走着順別成績(表3)を調べたところ、前走1〜5着【0.2.1.3】、前走6〜9着【1.1.1.3】、前走10着以下【2.1.1.9】だった。前走1〜5着馬が勝っておらず、6着以下に敗れた馬が3勝もしているのが特徴的だ。前走1〜5着、前走6〜9着とも連対率は33.3%、複勝率は50.0%で互角。総合的に見ると、前走ヴィクトリアマイル組の前走着順は不問で良さそうだ。
クイーンS当日の人気の方が大事
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 1番人気 | 1- 3- 1- 2/ 7 | 14.3% | 57.1% | 71.4% | 32 | 101 |
| 2番人気 | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 167 | 100 |
| 3番人気 | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 125 | 105 |
| 4番人気 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 100 |
| 5番人気 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| 6〜 人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表4 前走ヴィクトリアマイル組のクイーンS当日の人気別成績、過去10年)
前走ヴィクトリアマイル組のクイーンS当日人気別成績(表4)を調べたところ、1番人気【1.3.1.2】が連対率57.1%、複勝率71.4%と非常に優秀だった。2番人気【1.0.1.2】、3番人気【1.0.1.2】、4番人気【0.1.0.1】はそれぞれ複勝率50.0%であり、上位人気の成績が軒並み良いという傾向が出ている。昨年、前走ヴィクトリアマイル組の1番人気ウンブライルが10着、3番人気ドゥアイズが4着と敗れてしまったが、ドゥアイズに関しては勝ち馬とわずか0.1秒差という惜しい競馬をしていた。一方、レース当日5番人気以下の馬は1頭も好走していない。つまり前走ヴィクトリアマイル組は前走着順ではなく、レース当日人気の方がとても大事だ。
【結論】
昨年3着のアルジーヌが有力
まず3歳馬はテリオスララが除外対象であるため、レーゼドラマだけが出走予定。過去の好走馬に比べると格は少し見劣るが、芝1800mのフラワーCを勝っているので軽視はできない。
前走ヴィクトリアマイル組はアルジーヌ、アリスヴェリテ、クリスマスパレード、ビヨンドザヴァレー、マサノカナリアが出走予定。当日の人気次第ではあるが、昨年の本競走で3着のアルジーヌが最有力か。冒頭に触れたテルツェット以外にもサトノセシル、スカーレットカラーがクイーンSで2回好走を果たしており、リピーターが出やすい一戦だからだ。クリスマスパレード、アリスヴェリテあたりもレース当日は人気を集めるかもしれない。
ヴィクトリアマイル組以外では芝1800〜2000mのG3で3戦連続連対中かつゴールドシップ産駒(クイーンSで2年連続で連対中)のフェアエールングに注目。前走五稜郭S1着のパレハ、1勝クラス・牝(札幌芝1800m)と前走錦Sの勝ち方が良かったココナッツブラウンがどこまで通用するかも注目。
ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


