【函館記念 × 過去データ分析】波乱傾向が強い函館記念の穴馬条件とは?
2025/6/26(木)
今週から夏の福島、小倉開催がスタートし、函館競馬を加えた3場開催となる。今回は日曜に行われるハンデ重賞の函館記念をピックアップ。過去10年で3連単10万円以上が7回、2020年には343万馬券が飛び出すなど波乱傾向が強い一戦をデータから分析する。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
2ケタ人気馬の激走が目立つ関西馬
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 7- 2- 2-64/75 | 9.3% | 12.0% | 14.7% | 76 | 47 |
(1〜9番人気) | 7- 2- 2-33/44 | 15.9% | 20.5% | 25.0% | 130 | 81 |
(10番人気以下) | 0- 0- 0-31/31 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
栗東 | 3- 8- 8-65/84 | 3.6% | 13.1% | 22.6% | 109 | 155 |
(1〜9番人気) | 2- 3- 5-36/46 | 4.3% | 10.9% | 21.7% | 31 | 68 |
(10番人気以下) | 1- 5- 3-29/38 | 2.6% | 15.8% | 23.7% | 203 | 260 |
表1は函館記念の調教師所属別成績とそれぞれの人気別成績。東西の比較では関東馬が7勝と勝ち星は多いものの、2・3着が多い関西馬が連対率・複勝率では上回っている。
人気順では関東馬で3着以内に入った11頭はすべて1ケタ人気馬で、10番人気以下の好走はなし。対して、関西馬は3着以内馬19頭中10頭が1ケタ人気馬で、9頭が10番人気以下。関西馬の連対率・複勝率では1ケタ人気馬よりも10番人気以下が上回っており、10番人気以下の単勝回収率・複勝回収率はともに200%以上と非常に高い。
東京を含む前走中央開催組の複勝率が高い
前走場所 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
函館 | 2- 4- 1-53/60 | 3.3% | 10.0% | 11.7% | 20 | 60 |
福島 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新潟 | 1- 1- 1-14/17 | 5.9% | 11.8% | 17.6% | 26 | 85 |
東京 | 4- 3- 1-17/25 | 16.0% | 28.0% | 32.0% | 110 | 109 |
中山 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 62 |
中京 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 180 | 66 |
京都 | 0- 1- 4-11/16 | 0.0% | 6.3% | 31.3% | 0 | 252 |
阪神 | 2- 0- 3-16/21 | 9.5% | 9.5% | 23.8% | 457 | 189 |
小倉 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
地方 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(中央開催) | 6- 5- 8-50/69 | 8.7% | 15.9% | 27.5% | 179 | 162 |
(ローカル) | 4- 5- 2-78/89 | 4.5% | 10.1% | 12.4% | 28 | 60 |
(表2 函館記念の前走競馬場別成績(過去10年))
表2は前走競馬場別成績。前走東京だった馬が一昨年のローシャムパークら最多の4勝をあげており、連対率28.0%・複勝率32.0%でトップ。複勝率では京都・阪神と続いており、前走中央開催(東京・中山・阪神・京都)組が複勝率27.5%と高い。単勝回収率・複勝回収率でも100%を大きく超えている。
それに対し、前走ローカル組は複勝率12.4%と差をつけられている。出走数が多い前走函館組は昨年のホウオウビスケッツら2勝も、複勝率は11.7%とローカルの平均以下だった。
前走重賞組で今回斤量減の馬が好成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
2勝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
3勝 | 1- 0- 1- 6/ 8 | 12.5% | 12.5% | 25.0% | 51 | 46 |
OPEN非L | 2- 4- 1-56/63 | 3.2% | 9.5% | 11.1% | 19 | 57 |
OPEN(L) | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 25 |
G3 | 4- 2- 4-35/45 | 8.9% | 13.3% | 22.2% | 219 | 156 |
G2 | 2- 3- 0- 9/14 | 14.3% | 35.7% | 35.7% | 110 | 136 |
G1 | 1- 1- 3-12/17 | 5.9% | 11.8% | 29.4% | 110 | 200 |
(前走重賞) | 7- 6- 7-56/76 | 9.2% | 17.1% | 26.3% | 175 | 162 |
(増減無し) | 3- 3- 1-27/34 | 8.8% | 17.6% | 20.6% | 53 | 84 |
(今回増) | 0- 1- 1-12/14 | 0.0% | 7.1% | 14.3% | 0 | 47 |
(今回減) | 4- 2- 5-17/28 | 14.3% | 21.4% | 39.3% | 409 | 313 |
(表3 函館記念の前走クラス別成績と前走重賞組の前走からの斤量増減別成績(過去10年))
表3は前走クラス別成績。出走数の半数近くを占める前走重賞組が過半数の7勝をあげ、複勝率26.3%と高い。前走重賞組の中でも前走G2組は連対率・複勝率35.7%でトップだ。これら前走重賞組の前走からの斤量増減別成績では、今回斤量減となる馬が22年ハヤヤッコら4勝をあげており、複勝率39.3%と非常に高い。昨年は2・3着が該当しており、3着以内馬11頭中7頭は7番人気以下と伏兵が激走している。
前走オープン特別組の複勝率は10%台と高くない。前走3勝クラス組は一昨年のローシャムパークが勝利。前走3勝クラスで1着だった馬は【1.0.1.4】で複勝率33.3%と健闘している。
前走5着以下で今回斤量減に注目
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
増減無し | 3- 3- 1-48/55 | 5.5% | 10.9% | 12.7% | 33 | 52 |
今回増 | 1- 1- 1-15/18 | 5.6% | 11.1% | 16.7% | 40 | 53 |
今回減 | 6- 6- 8-66/86 | 7.0% | 14.0% | 23.3% | 143 | 148 |
(前走1〜4着) | 1- 0- 3-23/27 | 3.7% | 3.7% | 14.8% | 15 | 41 |
(前走5着以下) | 5- 6- 5-43/59 | 8.5% | 18.6% | 27.1% | 202 | 197 |
(表4 函館記念の前走からの斤量増減別成績(過去10年))
表4は出走馬全体の前走からの斤量増減別成績。今回斤量減の馬が20年アドマイヤジャスタら過半数の6勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。これら斤量減の前走着順別成績では、前走1〜4着の馬よりも前走5着以下だった馬の複勝率が大幅に高い。前走5着以下で今回斤量減の馬が21年を除いて毎年1頭は3着以内に入っており、今年も注目しておきたい。
複勝率では今回斤量増の馬が16.7%で続いており、斤量増減なしの馬が12.7%と最も低い。
【結論】
近走着外続きのキミノナハマリアの一変に期待
今年の函館記念の注目馬は表5のとおり。
馬名 | 前走成績 |
アルナシーム | 大阪杯 15着 |
キミノナハマリア | 阪神牝馬S 11着 |
グランディア | 福島民報杯 5着 |
ディマイザキッド | 新潟大賞典 8着 |
トップナイフ | エプソムC 11着 |
ハヤテノフクノスケ | 天皇賞春 11着 |
ボーンディスウェイ | 新潟大賞典 5着 |
マイネルメモリー | 新潟大賞典 9着 |
マイネルモーント | 金鯱賞 7着 |
マコトヴェリーキー | 阪神大賞典 2着 |
ランスオブクイーン | シドニーT(3勝クラス)1着 |
ヴェローチェエラ | 大阪ーハンブルクC 6着 |
(表5 今年の函館記念の注目馬)
※6/25時点。フルゲート16頭。
混戦ムードが漂う今年の函館記念において、前走阪神牝馬Sで11着だったキミノナハマリアの一変に注目。前走中央開催の阪神(表2)、前走G2組で今回斤量減(表3)、前走5着以下で斤量減(表4)と穴馬の条件は揃っている。近4走はいずれも重賞で着外に敗れているが、函館芝は2戦2勝と相性が良い舞台。昨夏は福島牝馬S14着後に函館の3勝クラス・五稜郭Sで後に日経賞を制するマイネルエンペラーを破って快勝している。人気薄の激走が目立つ関西馬で、10番人気以下でも積極的に狙ってみたい。
今年の中山金杯を勝利したアルナシームはハンデ59キロがネック、前走阪神大賞典2着のマコトヴェリーキーは前走から斤量増減なしが気になる点だ。前走重賞組では今回斤量減となるハヤテノフクノスケ、マイネルモーントが1着候補。他では前走3勝クラス・シドニーTを制したランスオブクイーンも人気にかかわらず、上位に評価したい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。