【札幌記念 × 過去データ分析】夏の頂上決戦は前走G1組が優勢!
2024/8/15(木)
夏のローカル唯一のG2競走・札幌記念。実績馬でも斤量が重くならない定量戦で行われていることもあり、秋の大レースを見据えたG1馬がここで始動するケースも多く見られる。今年も好メンバーが揃ったが、どの馬が勝利を手にするのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析したい。
近6年の優勝馬はすべて2〜3番人気
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 過去6年 |
1 | 0-4-3-3/10 | 0.0% | 40.0% | 70.0% | 0-2-2-2 |
2 | 5-1-0-4/10 | 50.0% | 60.0% | 60.0% | 4-1-0-1 |
3 | 2-0-0-8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 2-0-0-4 |
4 | 0-1-4-5/10 | 0.0% | 10.0% | 50.0% | 0-1-2-3 |
5 | 2-0-1-7/10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% | 0-0-1-5 |
6 | 1-1-0-8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 0-1-0-5 |
7 | 0-0-1-9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0-0-0-6 |
8 | 0-1-1-8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0-0-1-5 |
9 | 0-1-0-9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0-1-0-5 |
10〜 | 0-1-0-53/54 | 0.0% | 1.9% | 1.9% | 0-0-0-32 |
(表1 人気別成績)
過去10年の人気別では、1番人気が【0.4.3.3】で複勝率は70.0%と高い一方で勝利はなく、2012年から12連敗中。2番人気は【5.1.0.4】で、5勝中4勝を近6年にマークしている。そして3番人気【2.0.0.8】の2勝は2019年と22年で、2018年以降の6年間では2番人気と3番人気しか勝っていない。穴馬の好走も見られるが、2〜3着候補までにとどめるのが妥当だろう。
5歳馬・牝馬に注目
年齢・性別 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
3歳 | 2-1-1-5/9 | 22.2% | 33.3% | 44.4% |
4歳 | 3-0-2-28/33 | 9.1% | 9.1% | 15.2% |
5歳 | 3-6-5-29/43 | 7.0% | 20.9% | 32.6% |
6歳 | 2-1-1-26/30 | 6.7% | 10.0% | 13.3% |
7歳以上 | 0-2-1-26/29 | 0.0% | 6.9% | 10.3% |
牡・セン | 7-9-6-96/118 | 5.9% | 13.6% | 18.6% |
牝 | 3-1-4-18/26 | 11.5% | 15.4% | 30.8% |
(表2 年齢別、性別成績)
今年の札幌記念は3歳馬の登録がなく古馬同士の争い。年齢別では5歳馬が【3.6.5.29】で複勝率32.6%と、3歳馬を除けば群を抜いている。性別では牡・セン馬【7.9.6.96】複勝率18.6%に対し、牝馬が【3.1.4.18】同30.8%と牝馬への注目は欠かせない。
前走は海外含むG1組が中心に
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 過去6年 |
OP・条件戦 | 0-0-0-18/18 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-0-8 |
中央G3 | 3-1-3-51/58 | 5.2% | 6.9% | 12.1% | 0-0-2-29 |
中央G2 | 1-1-0-7/9 | 11.1% | 22.2% | 22.2% | 1-0-0-6 |
中央G1 | 5-7-6-26/44 | 11.4% | 27.3% | 40.9% | 4-5-3-17 |
海外 | 1-1-1-12/15 | 6.7% | 13.3% | 20.0% | 1-1-1-8 |
(表3 前走クラス別成績)
以前は函館記念など前走G3組の好走も多く見られたが、過去6年のG3組は【0.0.2.29】と好走しても3着止まり。ここ6年は中央G1組【4.5.3.17】、海外組(すべてG1)【1.1.1.8】が中心になっている。表2で好成績だった5歳馬にかぎると、前走G1組(海外含む)は過去10年【2.6.3.9】複勝率55.0%、過去6年【2.4.2.5】同61.5%になる。なお今年は前走オープン特別以下や、前走G2からの登録馬はなかった。
前走G1なら8着以内が目安
年 | 馬名 | 札幌記念 | 前走 | 最長優勝距離 | |||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | |||
2018 | サングレーザー | 2 | 1 | 安田記念 | 3 | 5 | 1800m |
マカヒキ | 1 | 2 | ジャパンC | 6 | 4 | 2400m | |
モズカッチャン | 4 | 3 | ドバイSC | … | 6 | 2200m | |
2019 | サングレーザー | 4 | 2 | 安田記念 | 6 | 5 | 2000m |
フィエールマン | 1 | 3 | 天皇賞(春) | 1 | 1 | 3200m | |
2020 | ノームコア | 2 | 1 | 安田記念 | 7 | 4 | 2000m |
ペルシアンナイト | 6 | 2 | 宝塚記念 | 13 | 15 | 1800m | |
ラッキーライラック | 1 | 3 | 宝塚記念 | 3 | 6 | 2200m | |
2021 | ソダシ | 2 | 1 | オークス | 1 | 8 | 1800m |
ラヴズオンリーユー | 1 | 2 | QE2世C | … | 1 | 2400m | |
2022 | ジャックドール | 3 | 1 | 大阪杯 | 2 | 5 | 2000m |
パンサラッサ | 2 | 2 | 宝塚記念 | 6 | 8 | 2000m | |
ウインマリリン | 5 | 3 | 宝塚記念 | 9 | 7 | 2500m | |
2023 | プログノーシス | 2 | 1 | QE2世C | … | 2 | 2000m |
トップナイフ | 9 | 2 | 日本ダービー | 10 | 14 | 2000m |
(表4 前走G1からの好走馬(海外含む、過去6年))
海外を含む前走G1組の好走馬は過去6年で15頭。このうち前走で連対していたのは3頭、14着以下だった馬が2頭で、残る10頭は前走4〜8着だった。前走が2桁着順だったペルシアンナイトとトップナイフはともに、札幌記念と同距離2000mのG1連対実績馬だ。また、この組で最長優勝距離が2200mを超えていたのは4頭のみで、古馬になってから2200m超のレースを勝っていたのはフィエールマンとウインマリリンの2頭しかいない。なお前走海外G1組の3頭は、2000mのG1で3着以内に入った実績があった。
G3組は前走着順不問も距離実績に注目
年 | 馬名 | 札幌記念 | 前走 | 主な勝ち鞍 | |||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | |||
2015 | ディサイファ | 5 | 1 | エプソムC | 4 | 3 | 中日新聞杯 |
ダービーフィズ | 4 | 3 | 函館記念 | 3 | 1 | 函館記念 | |
2016 | ネオリアリズム | 5 | 1 | 函館記念 | 4 | 6 | 1600万条件 |
2017 | サクラアンプルール | 6 | 1 | 函館記念 | 8 | 9 | 1600万条件 |
ナリタハリケーン | 12 | 2 | 函館記念 | 12 | 7 | 1600万条件 | |
2021 | ペルシアンナイト | 8 | 3 | 鳴尾記念 | 7 | 4 | マイルCS |
2023 | ソーヴァリアント | 4 | 3 | 鳴尾記念 | 1 | 12 | チャレンジC2回 |
(表5 前走G3からの好走馬(過去10年))
表5は過去10年の前走G3組の好走馬7頭で、表4のG1組と比較すると少し穴っぽい馬が多い。札幌記念はG1級の実力馬が相手になるが、前走のG3で馬券に絡めなかった馬でも警戒が必要だ。ただG1組が優勢になった近6年の2頭にかぎると、ペルシアンナイト(2021年)はマイルCSの優勝馬で、この距離では皐月賞、大阪杯、前年の本競走で2着。そしてソーヴァリアントは芝2000mのチャレンジC2連覇中だった。G3組を買うなら距離実績を重視したい。
【結論】
5歳馬・ジオグリフにチャンス到来
札幌記念は5歳馬(表2)、特に前走G1組(表3)に注目したいレース。今年は6歳以上のベテラン馬の登録が多く、前走でG1に出走していた5歳馬はジオグリフ1頭だ。2022年の皐月賞優勝後は勝利から遠ざかっているが、今年は中山記念3着、大阪杯5着、そして前走の安田記念6着と悪くない走りを見せている。重賞初制覇を飾った2021年札幌2歳S以来となる札幌参戦で久々の勝利を挙げられるか注目したい。もう1頭の5歳馬・モズゴールドバレルは実績面からは厳しそうだが、今年唯一の牝馬(表2)だけに穴で買う手はあるだろう。
その他では、前走G1組ではクイーンエリザベス2世C2年連続2着などの距離実績を持つプログノーシス、G3組なら2022年ホープフルS2着のトップナイフという、昨年の本競走1、2着馬に今年もチャンスがありそうだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。