【エルムS×過去データ分析】マリーンSかG1/Jpn1の好走馬に注目
2024/8/1(木)
今週は札幌競馬場でエルムS、新潟競馬場でレパードSが行われる。JRAでは毎週重賞が組まれているが、年間で唯一、ダートの重賞だけが行われる週となっている。今回はエルムSに注目してデータを分析。いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
4歳・5歳が中心
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
4歳 | 3- 2- 1- 14/ 20 | 15.0% | 25.0% | 30.0% | 143 | 115 |
5歳 | 5- 3- 2- 21/ 31 | 16.1% | 25.8% | 32.3% | 189 | 101 |
6歳 | 1- 2- 5- 27/ 35 | 2.9% | 8.6% | 22.9% | 14 | 58 |
7歳以上 | 0- 2- 1- 33/ 36 | 0.0% | 5.6% | 8.3% | 0 | 36 |
(表1 エルムSの年齢別成績、21年を除く過去10年)
函館ダート1700mで行われた2021年を除く、過去10年のエルムSの年齢別成績を調べたところ、4歳と5歳の成績がほぼ互角かつ優秀だった。それぞれ勝率は約15%、連対率は約25%、複勝率は約30%。単勝・複勝の回収値は100を超えていた。6歳は好走率がガクンと下がり、7歳以上は未勝利かつ複勝率はわずか8.3%だった。
マリーンS組に注目
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
マリーンS | 6- 2- 2-32/42 | 14.3% | 19.0% | 23.8% | 110 | 62 |
平安SG3 | 1- 2- 1- 4/ 8 | 12.5% | 37.5% | 50.0% | 152 | 150 |
安達太良S | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 950 | 146 |
東京大G1 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 520 | 220 |
プロキオG3 | 0- 2- 0- 7/ 9 | 0.0% | 22.2% | 22.2% | 0 | 47 |
アンタレG3 | 0- 1- 1- 7/ 9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0 | 45 |
大沼S(L) | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 220 |
甲州街H・3勝 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 320 |
マーキG3 | 0- 0- 2- 4/ 6 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 113 |
名古屋G3 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 870 |
大沼S | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 130 |
JCDG1 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 850 |
(表2 エルムSの前走レース別成績(一部)、21年を除く過去10年)
続いて前走レース別成績を調べたところ、マリーンS【6.2.2.32】が出走頭数・好走馬数ともに最も多かった。さらに同レースの着順別成績を調べると、1着【2.1.0.4】、2着【2.1.0.3】、3着【2.0.0.3】、4着以下【0.0.2.22】だった。つまりマリーンSで3着以内だと【6.2.0.10】、勝率33.3%、連対率・複勝率44.4%とさらに成績が良くなった。
その他では平安S【1.2.1.4】やプロキオンS【0.2.0.7】、アンタレスS【0.1.1.7】といった比較的近い時期に行われたJRAダート重賞組の成績が良かった。また、前走3勝クラス【1.1.0.5】も好成績。16年にリッカルドが7番人気1着、23年にワールドタキオンが4番人気2着と好走している。
G1/Jpn1通用の実力が必要
年 | 着順 | 馬名S | 人気 | 性別 | 年齢 | G1/Jpn1好走実績 |
23年 | 1 | セキフウ | 6 | 牡 | 4 | 24年フェブラリーS3着 |
20年 | 2 | ウェスタールンド | 2 | セ | 8 | 18年チャンピオンズC2着 |
20年 | 3 | アナザートゥルース | 5 | セ | 6 | 21年チャンピオンズC3着 |
18年 | 3 | ミツバ | 1 | 牡 | 6 | 19年川崎記念1着 |
17年 | 2 | テイエムジンソク | 1 | 牡 | 5 | 17年チャンピオンズC2着 |
15年 | 2 | グレープブランデー | 5 | 牡 | 7 | 13年フェブラリーS1着 |
14年 | 1 | ローマンレジェンド | 3 | 牡 | 6 | 12年東京大賞典1着 |
14年 | 3 | インカンテーション | 10 | 牡 | 4 | 15年フェブラリーS2着 |
(表3 主なエルムS好走馬、21年を除く過去10年)
表3ではダートG1/Jpn1(2歳・3歳限定戦除く)好走実績に注目し、過去だけでなく未来の実績も記載して好走馬をまとめた。14年1着ローマンレジェンドは12年東京大賞典1着、15年2着グレープブランデーは13年フェブラリーS1着の実績があった格上馬だった。一方、14年3着インカンテーションは15年のフェブラリーSで2着、23年1着セキフウは24年のフェブラリーSで3着と、本競走を経て後のG1で好走した。このように本競走を境にし、過去や未来のG1/Jpn1で好走した馬が多かった。本競走は夏のローカルのG3という位置づけのレースだが、出走馬のレベルが高く、秋の大きなレースにもつながると言える。
【結論】
まずはマリーンS好走馬
今年のエルムSはフルゲート14頭に対して18頭の登録(7/29時点)があり、いいメンバーが揃うレースとなりそうだ。まず何はともあれ前走マリーンS組に注目。同レースで3着以内に入ったナチュラルハイ、サンテックス、テーオードレフォンが有力。ナチュラルハイとサンテックスは今回が重賞初挑戦だが、ともに4歳と若く、これから活躍が期待される馬だ。
今年のフェブラリーS上位人気馬が巻き返している
人気 | 着順 | 馬名 | その後の主な成績 |
1 | 14 | オメガギネス | 三宮S1着 |
2 | 8 | ウィルソンテソーロ | 帝王賞2着 |
3 | 12 | ドゥラエレーデ | ドバイWC5着 |
4 | 5 | キングズソード | 帝王賞1着 |
5 | 2 | ガイアフォース | 安田記念4着 |
(表4 24年フェブラリーSで5番人気以内に支持された馬)
過去にダートG1/Jpn1(2歳・3歳限定戦除く)で好走実績があるのは、ドゥラエレーデ(23年チャンピオンズC3着など)とペイシャエス(22年JBCクラシック3着)。未来のG1/Jpn1好走馬の予測は難しいので、今回はこの2頭が有力と見たい。中でもドゥラエレーデにはさらに後押しできる材料がある。
表4は24年のフェブラリーSで5番人気以内に支持された馬の結果と、その後の主な成績を記したもの。今年のフェブラリーSは11番人気ペプチドナイルが勝利した一方で、上位人気勢は1番人気オメガギネスが14着に敗れるなど散々な結果だったが、次走か2走後にしっかりと巻き返している。例えば、オメガギネスは先日の三宮Sを7馬身差で圧勝。キングスソードとウィルソンテソーロは帝王賞でワン・ツー決着を果たした。したがって、ドゥラエレーデもG3のここでは負けられず、巻き返し濃厚とみたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。