前走人気が明暗を分ける!? マイラーズCを分析する
2024/4/18(木)
クラシックの1冠目が終わり、今週末はG1シリーズの中休み。東西で大舞台に向けてのG2が開催される。そのうち今回は、京都で行われるマイラーズCを過去10年のデータから展望する。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
今走、前走ともに5番人気以内が優位
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
今走 | 1番人気 | 3- 3- 2- 2/10 | 30.0% | 60.0% | 80.0% | 54 | 104 |
2番人気 | 2- 1- 2- 5/10 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 90 | 72 | |
3番人気 | 2- 1- 1- 6/10 | 20.0% | 30.0% | 40.0% | 155 | 92 | |
4番人気 | 1- 1- 2- 6/10 | 10.0% | 20.0% | 40.0% | 68 | 80 | |
5番人気 | 0- 3- 0- 7/10 | 0.0% | 30.0% | 30.0% | 0 | 88 | |
6〜9番人気 | 2- 1- 2-35/40 | 5.0% | 7.5% | 12.5% | 75 | 53 | |
10番人気〜 | 0- 0- 1-49/50 | 0.0% | 0.0% | 2.0% | 0 | 17 | |
前走 | 前走1番人気 | 2- 4- 1-12/19 | 10.5% | 31.6% | 36.8% | 74 | 73 |
前走2番人気 | 3- 2- 4-10/19 | 15.8% | 26.3% | 47.4% | 74 | 93 | |
前走3番人気 | 2- 1- 2- 7/12 | 16.7% | 25.0% | 41.7% | 243 | 134 | |
前走4番人気 | 2- 1- 0- 6/ 9 | 22.2% | 33.3% | 33.3% | 45 | 64 | |
前走5番人気 | 1- 1- 1- 6/ 9 | 11.1% | 22.2% | 33.3% | 57 | 78 | |
前走6番人気〜 | 0- 1- 1-64/66 | 0.0% | 1.5% | 3.0% | 0 | 17 |
(表1 今走および前走人気別成績)
人気別のデータをふたつチェックしたい。今走人気から見ていくと、1番人気は複勝率80%と非常に堅実。2〜5番人気も堅調な数字を記録しており、上位人気が強い傾向が見て取れる。一方、10番人気以下は極端に好走率を落とすため、少なくとも9番人気までには収まりたい。また、前走人気(集計対象は中央のみ)の傾向も明確。前走1〜5番人気はいずれもすべて複勝率30〜40%台と安定しているのに対し、前走6番人気以下だった馬はかなり苦戦というデータが残っている。
芝1600m複勝率80%以上なら半数超が好走
芝1600m実績 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
複勝率 | 80%以上 | 5- 4- 3- 9/21 | 23.8% | 42.9% | 57.1% | 105 | 96 |
80%未満60%以上 | 1- 2- 4-23/30 | 3.3% | 10.0% | 23.3% | 5 | 46 | |
60%未満40%以上 | 2- 3- 2-42/49 | 4.1% | 10.2% | 14.3% | 56 | 51 | |
40%未満 | 0- 0- 1-32/33 | 0.0% | 0.0% | 3.0% | 0 | 19 | |
重賞の最高着順 | G1で1着 | 3- 1- 0- 3/ 7 | 42.9% | 57.1% | 57.1% | 77 | 94 |
G1で2、3着 | 3- 1- 3-13/20 | 15.0% | 20.0% | 35.0% | 79 | 86 | |
G1以外で1着 | 0- 2- 4-20/26 | 0.0% | 7.7% | 23.1% | 0 | 48 | |
G1以外で2、3着 | 1- 0- 0-21/22 | 4.5% | 4.5% | 4.5% | 101 | 22 |
(表2 芝1600m実績別成績)
芝1600mの実績に関するデータをふたつ調べた。ひとつは複勝率別のデータで、こちらは芝1600mで2走以上を対象とした。表2の通り、芝1600mで「複勝率80%以上」を記録している馬は半数以上が好走し、これは有望だ。もうひとつは芝1600m重賞における最高着順別のデータで、「G1で1着」の実績を持つ馬はさすがの好成績。また、「G1で2、3着」と「G1以外で1着」を比較すると、前者のほうが好走しやすいことがわかる。言い換えると、G2やG3の1着実績より、G1の2、3着実績を持つ馬のほうが期待できるということになる。
前走G2出走馬の半数が連対
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
1勝 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2勝 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
3勝 | 1- 0- 0- 5/ 6 | 16.7% | 16.7% | 16.7% | 130 | 46 |
オープン特別 | 2- 1- 0-21/24 | 8.3% | 12.5% | 12.5% | 120 | 34 |
リステッド競走 | 0- 3- 1-20/24 | 0.0% | 12.5% | 16.7% | 0 | 42 |
G3 | 1- 4- 6-46/57 | 1.8% | 8.8% | 19.3% | 15 | 59 |
G2 | 6- 2- 0- 8/16 | 37.5% | 50.0% | 50.0% | 132 | 88 |
G1 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0 | 38 |
地方 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
海外 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 46 |
(表3 前走クラス別成績)
続いて前走クラス別成績をチェック。前走G2が過去10年で6勝、2着2回の好成績で、連対率は50%に達する。出走最多は延べ57頭の前走G3。1〜3着に入った馬も計11頭で最多だが、好走率の優位性は見られない。前走リステッド競走・オープン特別は合わせて延べ48頭が出走。出走例が多いこれらの組は、絞り込みが重要になる。前走3勝クラスの好走は22年1着のソウルラッシュが唯一で、条件戦3連勝の勢いをそのまま持ち込んだ。そのほか、前走G1と前走海外だった馬が合わせて3着3回を記録している。
前走G3出走馬はタイム差0秒4以内が目安
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走人気 | 前走1〜3番人気 | 1- 3- 5-10/19 | 5.3% | 21.1% | 47.4% | 47 | 118 |
前走4番人気〜 | 0- 1- 1-35/37 | 0.0% | 2.7% | 5.4% | 0 | 31 | |
前走タイム差 | 前走1着 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 38 |
前走負け0秒4差以内 | 1- 3- 4-10/18 | 5.6% | 22.2% | 44.4% | 50 | 121 | |
前走負け0秒5差以上 | 0- 1- 1-31/33 | 0.0% | 3.0% | 6.1% | 0 | 31 |
(表4 前走G3出走馬に関するデータ)
前走G3出走馬は前走人気と前走タイム差をチェックしたい。レース全体では前走1〜5番人気の好走率が高いことを確認済みだが、前走G3ではより厳しく前走1〜3番人気をボーダーとしたい。また、前走タイム差は0秒4以内なら許容範囲で、前走G3で1着だった馬よりむしろ結果を残している。
前走OP特別・リステッドならは中8週以上ほしい
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走人気 | 前走1〜3番人気 | 2- 3- 1-13/19 | 10.5% | 26.3% | 31.6% | 151 | 77 |
前走4番人気〜 | 0- 1- 0-28/29 | 0.0% | 3.4% | 3.4% | 0 | 12 | |
出走間隔 | 〜中7週 | 0- 1- 1-33/35 | 0.0% | 2.9% | 5.7% | 0 | 9 |
中8週〜 | 2- 3- 0- 8/13 | 15.4% | 38.5% | 38.5% | 221 | 116 |
(表5 前走リステッド・OP特別出走馬に関するデータ)
前走リステッド競走・オープン特別出走馬に関しても前走1〜3番人気に推されていることが基準となり、好走馬7頭中6頭が該当する。また、このケースで前走からの出走間隔が中7週以下だと複勝率5.7%と苦戦する一方、中8週以上なら連対率38.5%と激変する。なお、この組に該当するディープインパクト産駒は、前走人気や出走間隔を問わず【1.2.1.3】と警戒すべきだ。
【結論】
実績上位のセリフォスとソウルラッシュ
最大勢力は登録8頭の前走リステッド組(前走オープン特別は該当馬なし)。そこで1〜3番人気に推され、なおかつ中8週以上の出走となるのがリューベックである。加えて、ディープインパクト産駒ノースザワールドも侮れない存在となる。
前走G3組は5頭いるが、そこで1〜3番人気に推されていた馬が見当たらない。もうひとつの好走条件であるタイム差が0秒4以内だった馬には、エアロロノアとエエヤンの2頭がいる。好成績の前走G2組にはソーヴァリアントが該当。過去に経験した芝1600m戦は昨年のマイルCS(12着)だけだが、相性のいいローテーションで新味を発揮できるか。
この通り、例年のマイラーズCで主力となる組の中に、好走条件がピタリと当てはまる馬は決して多くはない。となると、表2の項で述べた芝1600m実績が物を言う可能性もあるだろう。この条件のG1で1着があるセリフォス、同じくG1で2着があるソウルラッシュのほか、芝1600m(2走以上)で複勝率100%のニホンピロキーフの名前も挙げておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。