第1740回 春の中距離決戦・大阪杯を分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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春の中距離決戦・大阪杯を分析する

2024/3/28(木)

阪神芝2000mで行われるG1競走・大阪杯。2016年までは春の天皇賞などへ向けたステップレースという位置づけのG2だったが、2017年より古馬・中距離におけるチャンピオン決定戦となり、これまでキタサンブラックなど7頭がそのタイトルを手にしている。今年はどの馬が栄冠を掴むのか。JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して、G1昇格後過去7回の傾向を分析したい。

穴馬にもチャンスあり

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 2-1-2-2/7 28.6% 42.9% 71.4% 84% 94%
2 2-1-1-3/7 28.6% 42.9% 57.1% 110% 87%
3 0-1-0-6/7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 60%
4 1-1-2-3/7 14.3% 28.6% 57.1% 174% 141%
5 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6 0-2-0-5/7 0.0% 28.6% 28.6% 0% 104%
7 0-1-1-5/7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 217%
8 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 838% 162%
9 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 317% 64%
10 0-0-1-6/7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 72%
11〜 0-0-0-31/31 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

(表1 人気別成績)

過去10年、1、2番人気はともに連対率42.9%、そして4番人気が複勝率57.1%と上々の成績を残している。一方で3番人気は複勝率14.3%、そして5番人気は3着以内の好走なしに終わっており、その分、穴馬にもチャンスがあるレースとなっている。2019年には皐月賞馬ながら9番人気まで評価を下げていたアルアインが優勝するなど、2000〜2200mのG1好走実績馬が中位人気で馬券に絡んでくる例が多い印象だ。

キャリア13〜15戦の5歳馬に注目

年齢 キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
4歳 2-3-5-22/32 6.3% 15.6% 31.3% 49% 92%
〜10戦 2-3-5-14/24 8.3% 20.8% 41.7% 65% 122%
11戦〜 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5歳 5-3-2-28/38 13.2% 21.1% 26.3% 239% 100%
〜12戦 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 42%
13戦 1-0-0-1/2 50.0% 50.0% 50.0% 180% 75%
14戦 3-0-1-3/7 42.9% 42.9% 57.1% 931% 271%
15戦 1-1-0-1/3 33.3% 66.7% 66.7% 740% 210%
16戦〜 0-1-1-14/16 0.0% 6.3% 12.5% 0% 43%
6歳 0-1-0-17/18 0.0% 5.6% 5.6% 0% 15%
7歳以上 0-0-0-13/13 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

(表2 年齢別成績)

3着以内の好走馬21頭中20頭は4、5歳馬。4歳の好走馬10頭はすべてキャリア10戦以内だったが、今年登録がある4歳馬はすべてこれに該当する。5歳はキャリア12戦以下【0.1.0.9】、16戦以上【0.1.1.14】とどちらも複勝率10%台前半にとどまるのに対し、13〜15戦の馬は【5.1.1.5】複勝率58.3%の好成績。こちらは4歳勢と違って有力馬の選別に活用できそうなデータだ。

前走G2組の好走多数

前走 レース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3勝クラス 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
OPEN 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G3 1-0-1-10/12 8.3% 8.3% 16.7% 101% 122%
中央G2 4-5-5-55/69 5.8% 13.0% 20.3% 128% 70%
金鯱賞 3-2-1-21/27 11.1% 18.5% 22.2% 312% 100%
中山記念 1-1-2-9/13 7.7% 15.4% 30.8% 31% 84%
京都記念 0-2-1-14/17 0.0% 11.8% 17.6% 0% 42%
神戸新聞杯 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 320%
その他G2 0-0-0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G1 1-2-1-10/14 7.1% 21.4% 28.6% 17% 39%
海外 1-0-0-3/4 25.0% 25.0% 25.0% 90% 37%

(表3 前走クラス別成績)

前走クラス別では、G2に出走していた馬が【4.5.5.55】と好走馬21頭中14頭を占める。このうちアメリカJCC組は【0.0.0.6】、日経新春杯組は【0.0.0.4】と間隔がやや開いていた馬は苦戦しており、金鯱賞や中山記念、京都記念あたりが中心だ。

前走国内G1組は好走した4頭すべて芝2000mのG1で既に馬券に絡んだ実績を持っていた。また海外G1組のジャックドールも加えた5頭は、本競走で2番人気以内に支持されていたことも共通点として挙げられる。そしてG3組は無傷の5連勝中だったレイパパレ(2021年1着)と、近5走で4勝を挙げていたアリーヴォ(2022年3着)の2頭。かなりの勢いがないかぎり勝負には絡めない。

G2組なら前走上位人気のG1連対実績馬

馬名 大阪杯 前走 主なG1実績
人気 着順 レース 人気 着順
2017 ステファノス 7 2 金鯱賞 3 6 天皇賞(秋)2着
2017 ヤマカツエース 4 3 金鯱賞 1 1 有馬記念4着
2018 スワーヴリチャード 1 1 金鯱賞 1 1 日本ダービー2着
2019 アルアイン 9 1 金鯱賞 3 5 皐月賞1着
2022 ポタジェ 8 1 金鯱賞 4 4 天皇賞(秋)6着
2022 レイパパレ 3 2 金鯱賞 2 2 大阪杯1着
2018 ペルシアンナイト 6 2 中山記念 1 5 マイルCS1着
2020 ラッキーライラック 2 1 中山記念 2 2 エ女王杯1着
2020 ダノンキングリー 1 3 中山記念 1 1 日本ダービー2着
2023 ダノンザキッド 10 3 中山記念 2 11 ホープフルS1着
2018 アルアイン 2 3 京都記念 3 2 皐月賞1着
2020 クロノジェネシス 4 2 京都記念 1 1 秋華賞1着
2021 モズベッロ 6 2 京都記念 5 8 宝塚記念3着

(表4 前走金鯱賞、中山記念、京都記念からの好走馬)

表4は前走G2組の中心となる金鯱賞、中山記念、京都記念組の好走馬13頭である。いずれも前走では5番人気以内に支持されており、この3競走で5番人気以内だった馬の合計は【4.5.4.25】複勝率34.2%になる。前走着順は1〜5着が複勝率26.3%、6〜9着が同22.2%、10着以下が同10.0%と、ひと桁着順であれば問題ない。また、この組の好走馬13頭中10頭はG1連対実績馬だった。

前走「先行」が有力

前走脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
逃げ 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 22%
先行 5-2-2-23/32 15.6% 21.9% 28.1% 138% 60%
中団 0-0-5-31/36 0.0% 0.0% 13.9% 0% 68%
後方 1-4-0-15/20 5.0% 25.0% 25.0% 293% 115%
マクリ 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

(表5 前走脚質別成績(前走国内のみ))

※脚質はTARGET frontier JVによる分類

最後に、前走海外組を除いた前走脚質別の成績もみておきたい(脚質はTARGET frontier JVによる分類)。表にある通り、前走で「先行」していた馬が5勝を挙げ、勝率15.6%・複勝率28.1%。そして前走「後方」は1勝止まりながら、連対率は「先行」(21.9%)を上回る25.0%を記録している。前走「逃げ」は2019年キセキによる2着1回のみ。そして意外にも前走で「中団」だった馬からは連対馬が出ていない。

【結論】

5歳のジオグリフ、プラダリアに一発を期待

大阪杯では表2にあったように「5歳でキャリア13〜15戦の馬」が優勝馬7頭中5頭該当と好成績を残しており、今年はキャリア14戦のジオグリフ、15戦のプラダリアに注目したい。どちらも前走では「先行」(表5)し、ジオグリフは中山記念4番人気3着、プラダリアは京都記念3番人気1着とG2組の「5番人気以内」(表4)に該当する。

また、ジオグリフは2022年の皐月賞馬で表4のG1連対実績の条件を満たし、加えてこのレースでは芝中距離のG1連対実績馬が中位人気で多く好走していることも強調材料になる(表1本文)。一方のプラダリアはG1では日本ダービー5着が最高だが、こちらは大阪杯で好走が多い父サンデーサイレンス系(7年で6勝)ディープインパクト、そして関西馬(同7勝)という点が評価できる。

4歳勢では、前走G1(有馬記念6着)で今回2番人気以内(表3本文)が予想されるタスティエーラ、そして前走中山記念で1番人気(4着)だったソールオリエンスと、昨年のクラシックを沸かせた2頭が有力候補になる。この2頭の比較では、前走「中団」で父ノーザンダンサー系サトノクラウンのタスティエーラよりは、前走「後方」で父サンデーサイレンス系キタサンブラックのソールオリエンスを上位にとりたい。もう1頭加えるならG3組で3連勝中、前走・愛知杯がTARGET frontier JVによる分類では「先行」になるミッキーゴージャスの名前を挙げたい(表3本文、表5)。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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