今年も3歳牡馬が有力か!? 有馬記念を分析する
2023/12/21(木)
今年もいよいよ有馬記念の日が迫ってきた。絶対王者のイクイノックスが引退し、牝馬三冠馬リバティアイランドが不在というメンバー構成だが、その分たくさんの馬に勝つチャンスがある一戦になりそうだ。今年のクラシックを制したタスティエーラやソールオリエンス、天皇賞(春)を勝ったジャスティンパレス、凱旋門賞で4着と善戦したスルーセブンシーズ、前走ジャパンC3着のスターズオンアースあたりが人気を集めるだろうか。有馬記念の過去傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。
3歳が強く、6歳以上は不振
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
3歳 | 4- 3- 2- 16/ 25 | 16.0% | 28.0% | 36.0% | 63 | 95 |
4歳 | 2- 4- 2- 37/ 45 | 4.4% | 13.3% | 17.8% | 43 | 38 |
5歳 | 4- 3- 5- 45/ 57 | 7.0% | 12.3% | 21.1% | 33 | 54 |
6歳 | 0- 0- 1- 18/ 19 | 0.0% | 0.0% | 5.3% | 0 | 19 |
7歳以上 | 0- 0- 0- 14/ 14 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
4歳〜 | 6- 7- 8-114/135 | 4.4% | 9.6% | 15.6% | 28 | 38 |
5歳〜 | 4- 3- 6- 77/ 90 | 4.4% | 7.8% | 14.4% | 21 | 38 |
(表1 有馬記念の年齢別成績、過去10年)
過去10年の年齢別成績を調べたところ、3歳が勝率16.0%、連対率28.0%、複勝率36.0%と最も優秀だった。一方、6歳以上は3着がわずか1回と不振傾向。4〜5歳の成績は悪くないものの、3歳に比べると好走率は低かった。
1番人気の3歳馬は3戦3勝
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
1番人気 | 3- 0- 0- 0/ 3 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 233 | 116 |
1〜3人気 | 4- 1- 0- 3/ 8 | 50.0% | 62.5% | 62.5% | 198 | 111 |
1〜5人気 | 4- 1- 2- 5/12 | 33.3% | 41.7% | 58.3% | 132 | 135 |
6〜 人気 | 0- 2- 0-11/13 | 0.00% | 15.4% | 15.4% | 0 | 59 |
10〜人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表2 有馬記念の3歳馬人気別成績、過去10年)
3歳馬の人気別成績を調べたところ、1番人気が3戦3勝だった。1~3番人気の複勝率は62.5%。1〜5番人気でも複勝率は58.3%と優秀であり、基本的に上位人気に支持された馬の成績が良い。対照的に6番人気以下は厳しく、10番人気以下は好走例がなかった。
古馬は前走JCか凱旋門賞か天皇賞(秋)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
JCG1 | 2- 2- 4-43/51 | 3.9% | 7.8% | 15.7% | 20 | 33 |
凱旋門G1 | 1- 1- 2- 5/ 9 | 11.1% | 22.2% | 44.4% | 17 | 75 |
天皇賞秋G1 | 1- 1- 1-12/15 | 6.7% | 13.3% | 20.0% | 16 | 28 |
アルゼンHG2 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 340 | 82 |
コックG1 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 670 | 210 |
エリザベG1 | 0- 2- 1-20/23 | 0.0% | 8.7% | 13.0% | 0 | 66 |
金鯱賞G2 | 0- 1- 0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0 | 20 |
(表3 有馬記念の4歳以上・前走レース別成績(一部)、過去10年)
4歳以上の前走レース別成績を調べたところ、ジャパンCと凱旋門賞と天皇賞(秋)組から多数の好走馬が出ていた。その他ではエリザベス女王杯組が3頭、コックスプレート(豪G1)組が1頭と、基本的に前走G1組から好走馬が出ている。
前走JC・凱旋門賞・天皇賞(秋)組も人気馬が強い
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
1番人気 | 3- 1- 1- 2/ 7 | 42.9% | 57.1% | 71.4% | 85 | 92 |
2番人気 | 0- 1- 3- 4/ 8 | 0.0% | 12.5% | 50.0% | 0 | 72 |
3番人気 | 0- 0- 2- 3/ 5 | 0.0% | 0.0% | 40.0% | 0 | 76 |
4番人気 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 217 | 70 |
5番人気 | 0- 2- 0- 4/ 6 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 95 |
1〜3人気 | 3- 2- 6- 9/20 | 15.0% | 25.0% | 55.0% | 30 | 80 |
1〜5人気 | 4- 4- 6-16/30 | 13.3% | 26.7% | 46.7% | 49 | 82 |
6〜 人気 | 0- 0- 1-44/45 | 0.0% | 0.0% | 2.2% | 0 | 8 |
(表4 4歳以上の前走JC・凱旋門賞・天皇賞(秋)組の人気別成績、過去10年)
4歳以上の前走JC・凱旋門賞・天皇賞(秋)組を調べたところ、1番人気が【3.1.1.2】で複勝率71.4%だった。2、3番人気の勝率・連対率は良くないが、複勝率は良い。1〜3番人気と、1〜5人気の成績を比較するとあまり差は感じられないので、5番人気以内に支持されていれば有力とみたい。一方、6番人気以下の成績は不振。結局、4歳以上も前走JC・凱旋門賞・天皇賞(秋)といった主流路線を歩んでいる場合は、基本的に人気馬だけが好走している。穴馬の激走はほとんど見込めない、と考えるべきだろう。
【結論】
今年も3歳牡馬に注目!
2023/5/28 東京 11R 日本ダービー(G1)
1着 12番 タスティエーラ(Photo by Kazuhiro Kuramoto)
過去10年、3歳で有馬記念を勝利したのは16年サトノダイヤモンドなど4頭。前走で天皇賞(秋)を勝利していた21年エフフォーリアや22年イクイノックスに比べると、タスティエーラやソールオリエンスの成績は見劣るかもしれないが、古馬で図抜けた実績馬は見当たらないので、今年も3歳牡馬にチャンスがあるとみる。
タスティエーラとソールオリエンスのクラシック成績はほぼ互角。優劣をつけるのは本当に難しいが、菊花賞で2着と先着し、上がり3ハロンも上回っていたタスティエーラを一応上位に取る。また、有馬記念で3歳馬が複数頭出走した場合は、たいてい人気上位の馬が先着している(23年は1番人気イクイノックスが1着、6番人気ボルドグフーシュが2着)という傾向もあるので、実際の人気を見てからまた考えてみたい。
4歳以上の馬は前走JC3着のスターズオンアース、凱旋門賞4着のスルーセブンシーズ、天皇賞(秋)2着のジャスティンパレスと、主要の3路線から有力馬が出てきた。レース当日の人気はどうなるかわからないが、いずれの馬もある程度支持を集める可能性が高そう。よって、この3頭が有力な相手候補だ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。