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第1704回 中京芝1600mに戻った中京記念を分析する

2023/7/20(木)

2019/7/21 中京 11R 中京記念 1着 5番 グルーヴィット(3番人気)2019/7/21 中京 11R 中京記念
1着 5番 グルーヴィット(3番人気)
(Photo by JRA)

今週は中京記念。3年前は阪神芝1600m、一昨年と昨年は小倉芝1800mで施行されており、「サマーマイルシリーズ第2戦」の「中京記念」という看板通りの中京芝1600mで行われるのは4年ぶりになる。今年は中京競馬場開設70周年記念というサブタイトルも付されたこの一戦。過去10年のうち、本年と同じ中京芝1600mで行われた2013年〜19年の傾向をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 1-0-2-4/7 14.3% 14.3% 42.9% 71% 70%
2 0-1-0-6/7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 24%
3 1-0-2-4/7 14.3% 14.3% 42.9% 70% 97%
4 0-0-2-5/7 0.0% 0.0% 28.6% 0% 74%
5 2-1-1-3/7 28.6% 42.9% 57.1% 298% 180%
6 1-2-0-4/7 14.3% 42.9% 42.9% 174% 151%
7 2-0-0-5/7 28.6% 28.6% 28.6% 384% 125%
8 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
11〜 0-3-0-39/42 0.0% 7.1% 7.1% 0% 47%

中京で行われた2013〜19年の人気別成績は、1〜4番人気が計【2.1.6.19】で勝率7.1%・連対率10.7%・複勝率32.1%止まり。人気を考慮すれば複勝率も褒められたものではないが、特に勝率・連対率の低さが目立っている。対して5〜7番人気は計【5.3.1.12】で勝率23.8%・連対率38.1%・複勝率42.9%の好成績。単複の回収率も285%・152%と高い。8番人気以下でも【0.3.0.60】と狙えなくはないが、穴ならまず5〜7番人気から候補を探るのが良さそうだ。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 1-1-0-5/7 14.3% 28.6% 28.6% 70% 72%
4歳 0-0-3-9/12 0.0% 0.0% 25.0% 0% 61%
5歳 3-4-2-34/43 7.0% 16.3% 20.9% 76% 63%
6歳 3-1-2-24/30 10.0% 13.3% 20.0% 107% 81%
7歳以上 0-1-0-19/20 0.0% 5.0% 5.0% 0% 32%

年齢別では5歳と6歳が3勝ずつ。残る1勝を挙げている3歳は本年の登録馬不在のため、この5〜6歳馬中心でいいだろう。4歳は複勝率こそ悪くないが連対なし。7歳以上も2着1回のみで連対率・複勝率は5.0%と低い。

■表3 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4角1〜9番手 4角10番手以下
1枠 0-1-0-13/14 0.0% 7.1% 7.1% 0% 40% 0-0-0-11 0-1-0-2
2枠 1-0-1-12/14 7.1% 7.1% 14.3% 64% 35% 1-0-0-9 0-0-1-3
3枠 2-2-1-9/14 14.3% 28.6% 35.7% 122% 100% 2-2-1-7 0-0-0-2
4枠 0-1-2-11/14 0.0% 7.1% 21.4% 0% 51% 0-1-1-6 0-0-1-5
5枠 0-0-1-13/14 0.0% 0.0% 7.1% 0% 16% 0-0-0-8 0-0-1-5
6枠 0-2-1-11/14 0.0% 14.3% 21.4% 0% 95% 0-2-0-6 0-0-1-5
7枠 1-1-0-12/14 7.1% 14.3% 14.3% 83% 71% 0-0-0-5 1-1-0-7
8枠 3-0-1-10/14 21.4% 21.4% 28.6% 229% 93% 0-0-0-5 3-0-1-5

前述の通り、今年の中京記念は4年ぶりに中京芝1600mで行われる。このコースは2コーナー引き込み線からのスタートで一見すると外枠不利に思えるが、2013年〜19年の中京記念では7、8枠を引いた馬が4勝をマークしており、コース形態に惑わされないようにしたい。ただし、その7、8枠スタートで4コーナーを9番手以内で通過した馬は【0.0.0.10】と好走なし。外枠なら中京の長い直線を利して差してくるようなタイプが狙いだ。

■表4 ハンデ別成績(牡・セン馬のみ)

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
52〜53kg 1-1-0-13/15 6.7% 13.3% 13.3% 32% 34%
53.5〜55kg 1-0-2-24/27 3.7% 3.7% 11.1% 43% 30%
55.5〜57kg 4-5-4-31/44 9.1% 20.5% 29.5% 86% 102%
57.5〜59kg 1-0-0-10/11 9.1% 9.1% 9.1% 138% 47%

ハンデ別(牡・セン馬のみ)では55.5〜57キロが【4.5.4.31】で複勝率29.5%。57.5キロ以上になると【1.0.0.10】で複勝率9.1%、55キロ以下も計【2.1.2.37】同11.9%と好走確率は低い。本年は昨年以前に比べ全体的に負担重量が重くなっていることを考慮し、56.5〜58キロあたりを目安にしたい。

■表5 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3勝クラス 0-0-1-7/8 0.0% 0.0% 12.5% 0% 28%
OPEN 3-5-2-41/51 5.9% 15.7% 19.6% 64% 78%
中央G3 0-0-2-20/22 0.0% 0.0% 9.1% 0% 25%
中央G2 2-1-1-7/11 18.2% 27.3% 36.4% 153% 98%
中央G1 2-1-1-16/20 10.0% 15.0% 20.0% 100% 58%

表5は前走クラス別の成績である。本年の登録馬はオープン特別組、G1組が中心で、好成績を残している前走G2組は不在だ。また、3勝クラス組とG3組(ともに連対なし)は1頭ずつしか登録がなく、それぞれ表2から減点が必要な4歳馬と7歳馬のため主力に推すのは難しい。オープン特別組とG1組が有力だ。

■表6 前走オープン特別からの3着以内好走馬

馬名 性齢 ハンデ 中京記念 前走
人気 着順 レース 距離 人気 着順
2013 ミッキードリーム 牡6 57 13 2 米子S 芝16 9 6
2014 ミッキードリーム 牡7 56 11 2 都大路S 芝18 12 5
2015 スマートオリオン 牡5 57 6 1 パラダイスS 芝14 11 1
アルマディヴァン 牝5 52 13 2 パラダイスS 芝14 9 8
2016 ガリバルディ 牡5 55 7 1 米子S 芝16 2 5
ピークトラム 牡5 56 6 2 谷川岳S 芝16 2 1
ケントオー 牡4 56 4 3 米子S 芝16 4 1
2017 ウインガニオン 牡5 57 5 1 パラダイスS 芝14 3 1
グランシルク 牡5 56 2 2 パラダイスS 芝14 1 2
ブラックムーン 牡5 57 1 3 米子S 芝16 1 1

前走オープン特別からの3着以内好走馬は表6の10頭。このうち牡馬は9頭おり、8頭はハンデ56キロ以上だった。前走がオープン特別であっても、G3のこの舞台である程度重いハンデを課されるくらいの実績が必要だ。また、前走を勝ってきた馬が【2.1.2.1】と安定しており、マイネルアウラート(パラダイスS1着)が馬券圏外に敗れた2016年は他の2頭の前走1着馬が馬券に絡んでいた。これらも含め好走した10頭はすべて前走8着以内と、オープン特別であまり大きく負けているようでは巻き返せない。

■表7 前走G1からの3着以内好走馬

馬名 性齢 ハンデ 中京記念 前走 主な実績
人気 着順 レース 人気 着順
2014 サダムパテック 牡6 58 7 1 安田記念 17 7 マイルCS1着ほか
2019 グルーヴィット 牡3 52 3 1 NHKマイルC 4 10 ファルコンS2着
クリノガウディー 牡3 52 6 2 NHKマイルC 13 14 朝日杯FS2着
プリモシーン 牝4 55.5 1 3 ヴィクトリアM 4 2 前走、関屋記念1着ほか

続いて表7は前走中央G1からの好走馬4頭である。このうち2頭は3歳馬で1頭が牝馬のため、古牡馬の好走はサダムパテック1頭のみと、やや参考にしづらい感はある。ただ、3歳馬も含め4頭中3頭はG1連対馬。残る1頭・グルーヴィットは前走のNHKマイルCこそ10着だったが、2走前のファルコンS2着など全成績【2.1.0.1】と底を見せていなかった。この組はG1連対実績を持つか、G3以下ではほとんど崩れていないような馬が狙いになりそうだ。

【結論】

2023/6/17 阪神 11R 米子ステークス 1着 11番 メイショウシンタケ(10番人気)2023/6/17 阪神 11R 米子ステークス
1着 11番 メイショウシンタケ(10番人気)
(Photo by JRA)

前走オープン特別組と中央G1組が主力となる中京記念。今年はオープン特別組からメイショウシンタケ(前走米子S1着)を筆頭に挙げたい。表6本文でも触れたように前走オープン特別1着馬は【2.1.2.1】の好成績で、今年の該当馬は本馬のみ。5歳(表2)、ハンデ57キロ(表4)もプラス材料になる。前走1着とはいえ10番人気での勝利だったため今回もあまり人気にはならないことが予想され、表1で挙げた5〜7番人気に収まるようならより強調できる。

一方、前走G1組(表7)でG1連対実績を持つダノンスコーピオンは、連対のない4歳馬で(表2)ハンデ59キロも重すぎる(表4)。そしてG1・G2以外では4戦全勝と底を見せていないルージュスティリアも同じく4歳で、ハンデ53キロ(牡馬55キロ相当)は逆に軽すぎる印象だ。このあたりよりは、前走オープン特別8着以内の馬からウイングレイテスト(前走米子S4着、6歳、57キロ)を上位に取りたい。今年はすっきりと条件をクリアする馬が少ないため、当日5〜7番人気(表1)に支持された馬は多少の減点材料には目をつむって狙ってもいいだろう。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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