データde出〜た
第1701回 唯一の3歳ハンデ重賞・ラジオNIKKEI賞を分析する
2023/6/29(木)
2022/7/3 福島 1R 2歳未勝利
1着 1番 グラニット(Photo by JRA)
今週から夏の福島競馬が始まる。開幕週のメインは3歳重賞のラジオNIKKEI賞。JRAの全重賞のなかで唯一3歳によるハンデキャップ戦として行われる。今回は日曜福島メインのラジオNIKKEI賞をピックアップし、過去10年のレース傾向から今年狙えるタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 ラジオNIKKEI賞の人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番人気 | 2- 2- 0- 6/ 10 | 20.0% | 40.0% | 40.0% | 68 | 59 |
2番人気 | 2- 0- 1- 7/ 10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% | 85 | 63 |
3番人気 | 2- 0- 0- 8/ 10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 156 | 54 |
4番人気 | 1- 1- 0- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 78 | 51 |
5番人気 | 1- 0- 3- 6/ 10 | 10.0% | 10.0% | 40.0% | 98 | 127 |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 40 |
7番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 130 |
8番人気 | 2- 2- 0- 6/ 10 | 20.0% | 40.0% | 40.0% | 430 | 187 |
9番人気 | 0- 2- 2- 6/ 10 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0 | 205 |
10番人気以下 | 0- 2- 1- 53/ 56 | 0.0% | 3.6% | 5.4% | 0 | 43 |
表1はラジオNIKKEI賞過去10年の人気別成績。1〜3番人気馬が各2勝をあげているが、複勝率はいずれも40%以下と高くない。4・5番人気馬が1勝ずつで、上位5番人気以内で大半の8勝をあげている。以下、8番人気馬が2勝。黄色で強調した7〜9番人気馬が複勝率30〜40%で、複勝回収率はいずれも100%を超えている。一桁人気ならばどこからでも入れるレースといえそうだ。
10番人気以下は勝ち星がなく、2着2回、3着1回。3連単は最低配当が2018年の2万1500円で、10万円以上は半数の5回。毎年1頭は7番人気以下の伏兵が3着以内に激走しており、難解ながら馬券的な妙味があるレースといえる。
■表2 ラジオNIKKEI賞の枠番別成績(過去10年)
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 3- 1- 2-10/16 | 18.8% | 25.0% | 37.5% | 200 | 146 |
2枠 | 2- 2- 3- 9/16 | 12.5% | 25.0% | 43.8% | 43 | 148 |
3枠 | 1- 1- 1-13/16 | 6.3% | 12.5% | 18.8% | 45 | 87 |
4枠 | 0- 0- 0-18/18 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
5枠 | 1- 3- 1-15/20 | 5.0% | 20.0% | 25.0% | 49 | 101 |
6枠 | 1- 2- 0-17/20 | 5.0% | 15.0% | 15.0% | 114 | 62 |
7枠 | 1- 0- 2-17/20 | 5.0% | 5.0% | 15.0% | 42 | 54 |
8枠 | 1- 1- 1-17/20 | 5.0% | 10.0% | 15.0% | 22 | 55 |
表2は枠番別成績。過去10年すべて2日目、つまり開幕週の日曜に行われている。黄色で強調した内の1・2枠が好成績をあげている。毎年1・2枠のどちらかは馬券圏内に入っている。馬番では、1〜3番の馬が各2勝で複勝率40%と優秀だ。コーナー4回の小回り1800m戦で開幕週となれば、内のアドバンテージは大きい。
他では3枠、5〜8枠が1勝ずつをあげているが、4枠のみ3着以内馬なしと不振傾向にある。
■表3 ラジオNIKKEI賞のハンデ別成績(過去10年)
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
49kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
50kg | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
51kg | 0- 0- 0- 13/ 13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
52kg | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 40 |
53kg | 1- 4- 4- 32/ 41 | 2.4% | 12.2% | 22.0% | 49 | 114 |
54kg | 5- 3- 3- 32/ 43 | 11.6% | 18.6% | 25.6% | 113 | 88 |
55kg | 2- 3- 1- 9/ 15 | 13.3% | 33.3% | 40.0% | 104 | 138 |
56kg | 1- 0- 1- 15/ 17 | 5.9% | 5.9% | 11.8% | 24 | 29 |
56.5kg | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 280 | 150 |
57kg | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3はハンデ別成績。55kgの馬が昨年のフェーングロッテンら2勝をあげ、連対率33.3%・複勝率40.0%と優秀だ。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。54kgの馬は一昨年のヴァイスメテオールら半数の5勝をあげ、複勝率25.6%と高い。15年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。これら54〜55kgの馬が中心といえる。
53kgの馬は1勝のみで、2・3着が4回ずつと多い。52kg以下の軽量馬からは連対馬が出ておらず、56kg以上も好走馬は少ない。
■表4 ラジオNIKKEI賞の前走距離別成績(過去10年)
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1200m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1400m | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1600m | 0- 2- 4- 31/ 37 | 0.0% | 5.4% | 16.2% | 0 | 73 |
1800m | 3- 2- 1- 35/ 41 | 7.3% | 12.2% | 14.6% | 70 | 37 |
2000m | 5- 4- 4- 26/ 39 | 12.8% | 23.1% | 33.3% | 114 | 137 |
2100m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2200m | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 120 | 40 |
2300m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2400m | 1- 2- 1- 10/ 14 | 7.1% | 21.4% | 28.6% | 70 | 119 |
表4は前走距離別成績。前走2000m組が15年アンビシャスら最多の5勝をあげ、複勝率は33.3%でトップ。近3年の3着以内馬9頭中7頭が前走2000m組で、近年のレース傾向にも合っている。前走2400m組も複勝率は28.6%と高いものの、今年は該当馬がいなかった。
出走数最多の前走同距離の1800m組は20年バビットら3勝も、複勝率は高くない。なお、前走1600m以下の距離延長組からは勝ち馬が出ていない。
■表5 ラジオNIKKEI賞の前走脚質別成績(過去10年)
前走脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
逃げ | 3- 4- 3- 15/ 25 | 12.0% | 28.0% | 40.0% | 126 | 176 |
先行 | 1- 0- 3- 46/ 50 | 2.0% | 2.0% | 8.0% | 8 | 30 |
差し | 5- 3- 4- 35/ 47 | 10.6% | 17.0% | 25.5% | 100 | 94 |
追い込み | 1- 2- 0- 20/ 23 | 4.3% | 13.0% | 13.0% | 36 | 47 |
マクリ | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 130 |
表5は前走脚質別成績。前走逃げた馬が昨年のフェーングロッテンら3勝をあげ、複勝率40.0%と優秀だ。3着以内馬10頭中7頭は7番人気以下の伏兵で、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。前走逃げ組で今回のラジオNIKKEI賞でも逃げた馬は【1.1.3.1】、先行した馬は【2.2.0.5】と好結果を残しており、前走着順にかかわらず、前走でハナに行った馬は注目しておきたい。
前走先行した馬は17年セダブリランテスの1勝のみで、複勝率8.0%と低い。前走中団からの差し馬が16年ゼーヴィントら最多の5勝をあげ、複勝率25.5%。前走後方からの追い込み馬は19年ブレイキングドーンが勝利している。
<結論>
■表6 今年のラジオNIKKEI賞の注目馬(6/28時点)
馬名 | 斤量 | 前走成績 |
アイスグリーン | 56 | 白百合S2着 |
ウヴァロヴァイト | 55 | スイートピーS1着 |
オメガリッチマン | 56 | 京都新聞杯6着 |
グラニット | 55 | 皐月賞12着 |
コレペティトール | 55 | 共同通信杯7着 |
シルトホルン | 54 | 1勝クラス(芝1600m)1着 |
バルサムノート | 57 | 白百合S1着 |
マイネルモーント | 55 | 1勝クラス(芝1800m)1着 |
レーベンスティール | 56 | 1勝クラス(芝1800m)1着 |
2023/6/18 東京 7R 3歳以上1勝クラス
1着 6番 マイネルモーント(Photo by JRA)
今年のラジオNIKKEI賞の注目馬は表6のとおり。
人気を集めそうなのは前走東京芝1800mの1勝クラスで5馬身差の快勝をみせたレーベンスティール。これまで4戦してすべて上がり1位で全連対と安定しているものの、重賞経験がなく、小回りで速い流れになったときの対応力は未知数だ。
これまでのデータから一番手に推したいのがグラニット。前走皐月賞は12着と大敗したものの、時計が掛かる重馬場を前半1000m通過58秒5で逃げれば失速もやむを得ない。最終週で荒れ馬場の皐月賞から開幕週のラジオNIKKEI賞へのコース替わり、距離短縮は間違いなくプラスに働く。前走2000m組・前走逃げという点も好走馬の傾向に合致している。昨年の同時期に初勝利をあげた福島芝1800mで巻き返す可能性は十分にある。
もう1頭推奨したいのがマイネルモーント。レーベンスティールと同様に前走東京芝1800mの1勝クラスを勝利したが、そのときの勝ちタイムが1分45秒5と非常に速い。5か月半ぶりの休み明けで速い流れを勝ち切るのは高い能力の証。同じ前走1勝クラス勝ちながらハンデ55kgとレーベンスティールに比べて1kg軽いのも魅力で、重賞初挑戦ながら楽しみな1頭だ。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。