データde出〜た
第1688回 混戦模様の大阪杯を制する馬は?
2023/3/30(木)
2022/4/3 阪神 11R 大阪杯(G1)
1着 8番 ポタジェ(8番人気)(Photo by JRA)
2017年からG1に昇格した大阪杯。同年のキタサンブラックや19年のアルアイン、20年のラッキーライラックと既にG1タイトルを獲得していた馬の勝利もあれば、18年のスワーヴリチャード、21年のレイパパレ、そして昨年のポタジェとここでG1初制覇を果たした馬も半数の3頭を数える。今年はどの馬が勝利を手にするのか。G1昇格後過去6年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1 | 2-0-2-2/6 | 33.3% | 33.3% | 66.7% | 98% | 85% |
2 | 1-1-1-3/6 | 16.7% | 33.3% | 50.0% | 68% | 76% |
3 | 0-1-0-5/6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 70% |
4 | 1-1-2-2/6 | 16.7% | 33.3% | 66.7% | 203% | 165% |
5 | 0-0-0-6/6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
6 | 0-2-0-4/6 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 121% |
7 | 0-1-1-4/6 | 0.0% | 16.7% | 33.3% | 0% | 253% |
8 | 1-0-0-5/6 | 16.7% | 16.7% | 16.7% | 978% | 190% |
9 | 1-0-0-5/6 | 16.7% | 16.7% | 16.7% | 370% | 75% |
10〜 | 0-0-0-31/31 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
過去6年の人気別成績は、1番人気と4番人気が複勝率66.7%、2番人気が同50.0%だが、3番人気と5番人気は不振で、上位人気全体としてはまずまずといった程度。その下の6〜9番人気が【2.3.1.18】複勝率25.0%、単複の回収率337%・160%と妙味があり、2020年以外は毎年連対馬を出しているため、少々穴っぽい馬を1頭は絡めて馬券を組み立てたい。ただ、10番人気以下になると【0.0.0.31】と好走がない。
■表2 年齢別、東西所属別成績
年齢・所属 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
4歳 | 2-2-5-19/28 | 7.1% | 14.3% | 32.1% | 56% | 100% |
5歳 | 4-3-1-23/31 | 12.9% | 22.6% | 25.8% | 281% | 101% |
6歳 | 0-1-0-15/16 | 0.0% | 6.3% | 6.3% | 0% | 17% |
7歳以上 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
関東馬 | 0-0-1-21/22 | 0.0% | 0.0% | 4.5% | 0% | 6% |
関西馬 | 6-6-5-46/63 | 9.5% | 19.0% | 27.0% | 163% | 96% |
年齢別では5歳【4.3.1.23】と4歳【2.2.5.19】で3着以内馬18頭中17頭を占める。勝率と連対率は5歳が上位、複勝率は4歳が逆転するが、いずれにしてもこの4〜5歳馬が中心になる。6歳以上の好走はG1昇格1年目の2017年ステファノス(6歳・2着)で、過去5年は【0.0.0.22】に終わっている。
また東西の所属別成績をみると関東馬は【0.0.1.21】で、G2時代を含めた過去10年でも【0.0.1.30】と連対がない。3着1回も2020年の1番人気・ダノンキングリーで人気を裏切った形だった。特段の理由がなければ関西馬重視でいいだろう。
■表3 種牡馬別成績(着別度数順ベスト10)
種牡馬 | 系統 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
ディープインパクト | サンデーサイレンス | 3-2-4-20/29 | 10.3% | 17.2% | 31.0% | 321% | 111% |
ブラックタイド | サンデーサイレンス | 1-0-0-0/1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 240% | 110% |
オルフェーヴル | サンデーサイレンス | 1-0-0-2/3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 136% | 46% |
ハーツクライ | サンデーサイレンス | 1-0-0-4/5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 70% | 30% |
バゴ | ナスルーラ | 0-1-0-0/1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 160% |
ディープブリランテ | サンデーサイレンス | 0-1-0-0/1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 420% |
ルーラーシップ | ミスタープロスペクター | 0-1-0-3/4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 45% |
ハービンジャー | ノーザンダンサー | 0-1-0-4/5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 62% |
ドゥラメンテ | ミスタープロスペクター | 0-0-1-0/1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 1240% |
キングカメハメハ | ミスタープロスペクター | 0-0-1-7/8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0% | 35% |
種牡馬別では優勝馬6頭すべてを、ディープインパクト(3勝)をはじめとするサンデーサイレンス系の馬が占めていた。他の系統で複数の好走馬を出しているのはミスタープロスペクター系のみ。昨年はロベルト系のエフフォーリアとジャックドールが1、2番人気の支持を受けたが、それぞれ9、5着に敗退した。
■表4 前走3コーナー通過順別成績(前走海外除く)
前走3角 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
4番手以内 | 5-3-1-23/32 | 15.6% | 25.0% | 28.1% | 138% | 61% |
5〜8番手 | 0-0-4-26/30 | 0.0% | 0.0% | 13.3% | 0% | 66% |
9番手以下 | 1-3-1-15/20 | 5.0% | 20.0% | 25.0% | 293% | 113% |
表4は前走の3コーナー通過順別の成績である。優勝馬6頭中5頭は前走の3コーナーを4番手以内で通過しており、残る1頭は金鯱賞で3コーナー12番手だった昨年のポタジェ。前走3コーナー5〜11番手だった馬は【0.3.5.30】と勝利がなく、中でも5〜8番手だった馬は【0.0.4.26】と連対にも届いていないため割引が必要だ。
■表5 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
OPEN | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中央G3 | 1-0-1-9/11 | 9.1% | 9.1% | 18.2% | 110% | 133% |
中央G2 | 4-5-4-45/58 | 6.9% | 15.5% | 22.4% | 152% | 75% |
中央G1 | 1-1-1-9/12 | 8.3% | 16.7% | 25.0% | 20% | 33% |
海外 | 0-0-0-3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走クラス別では中央G2組が【4.5.4.45】と好走馬の約7割を占めている。中央G1組は該当馬こそ少ないが、好走確率ではG2組をわずかに上回る。この中央G1、G2組が中心だ。G3からのステップで好走したのは2021年レイパパレと22年アリーヴォの4歳馬2頭で、レイパパレはデビュー5連勝中。アリーヴォは近5走で4勝を挙げていた。今年はこれに似通った戦績の馬は不在だ。
■表6 前走G2からの3着以内好走馬
年 | 馬名 | 大阪杯 | 前走 | 主なG1実績(5着以内) | |||||
人気 | 着順 | 間隔 | レース | 人気 | 着順 | 2000m | その他 | ||
2017 | ステファノス | 7 | 2 | 中2 | 金鯱賞 | 3 | 6 | 天皇賞(秋)2着 | … |
ヤマカツエース | 4 | 3 | 中2 | 金鯱賞 | 1 | 1 | … | 有馬記念4着 | |
2018 | スワーヴリチャード | 1 | 1 | 中2 | 金鯱賞 | 1 | 1 | … | 日本ダービー2着 |
ペルシアンナイト | 6 | 2 | 中4 | 中山記念 | 1 | 5 | 皐月賞2着 | マイルCS1着 | |
アルアイン | 2 | 3 | 中6 | 京都記念 | 3 | 2 | 皐月賞1着 | 日本ダービー5着 | |
2019 | アルアイン | 9 | 1 | 中2 | 金鯱賞 | 3 | 5 | 皐月賞1着 | マイルCS3着 |
ワグネリアン | 4 | 3 | 中26 | 神戸新聞杯 | 2 | 1 | … | 日本ダービー1着 | |
2020 | ラッキーライラック | 2 | 1 | 中4 | 中山記念 | 2 | 2 | … | エ女王杯1着 |
クロノジェネシス | 4 | 2 | 中6 | 京都記念 | 1 | 1 | 秋華賞1着 | 阪神JF2着 | |
ダノンキングリー | 1 | 3 | 中4 | 中山記念 | 1 | 1 | 皐月賞3着 | 日本ダービー2着 | |
2021 | モズベッロ | 6 | 2 | 中6 | 京都記念 | 5 | 8 | … | 宝塚記念3着 |
2022 | ポタジェ | 8 | 1 | 中2 | 金鯱賞 | 4 | 4 | … | … |
レイパパレ | 3 | 2 | 中2 | 金鯱賞 | 2 | 2 | 大阪杯1着 | 宝塚記念3着 |
表6は前走中央G2からの好走馬13頭で、2019年のワグネリアンを除く12頭は2月中旬以降の芝1800〜2200m戦からの参戦だった。前走着順は4着以下から巻き返した馬も5頭を数えるが、前走で4番人気以下だったのは2頭のみ。その2頭にしても4〜5番人気の支持を受けていたため、前走については着順よりも人気を重視したい。また13頭中11頭には既に芝2000m以上のG1で3着以内に入った実績があった。
■表7 前走G1からの3着以内好走馬
年 | 馬名 | 大阪杯 | 前走 | 主なG1実績 | ||||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | 2000m | その他 | ||
2017 | キタサンブラック | 1 | 1 | 有馬記念 | 2 | 2 | 皐月賞3着 | ジャパンC1着 |
2019 | キセキ | 2 | 2 | 有馬記念 | 2 | 5 | 天皇賞(秋)3着 | 菊花賞1着 |
2021 | コントレイル | 1 | 3 | ジャパンC | 2 | 2 | 皐月賞1着 | 日本ダービー1着 |
最後に表7は前走中央G1からの好走馬。キタサンブラック、キセキ、コントレイルのG1馬3頭で、大阪杯、前走ともに2番人気以内に支持されていた。いずれも前年秋には国内最高峰のG1競走であるジャパンCで連対していたという共通点もある。
なお、前走が2月上旬以前だった好走馬はこの3頭のほか、ワグネリアンとレイパパレ(2021年)の5頭のみで、ワグネリアンは前年の日本ダービー馬。レイパパレは前述の通りデビューから無傷の5連勝でここに駒を進めていた。レース間隔が開いた馬なら、G1の中でも特に高額賞金のレースで連対した実績を持つか、無敗馬くらいでなければ好走するのは難しい。
【結論】
2020/12/26 中山 11R ホープフルステークス(G1)
1着 10番 ダノンザキッド(1番人気)(Photo by JRA)
4〜5歳の関西馬が好走馬の大半を占める大阪杯(表2)。今年は5歳馬・ダノンザキッド(栗東・安田隆行厩舎)に注目したい。父はサンデーサイレンス系のジャスタウェイ(表3)で、2番人気に推された前走・中山記念(G2)は3コーナーを4番手で通過(表4〜6)。2020年のホープフルS優勝のほか、2走前の香港C2着と芝2000mのG1実績もある(表6)。前走の中山記念11着がやや負けすぎという感もあるが、その分人気を落として妙味のある6〜9番人気(表1)の範囲に収まりそう。ホープフルS以来となる久々の勝利を期待したい。
逆転候補を1頭挙げれば4歳の関西馬・キラーアビリティ(父ディープインパクト)だろうか。こちらは2021年のホープフルS優勝馬で、前走の京都記念は3番人気5着。コーナー通過順が[4-4-5-6]と3コーナー5番手になってしまった点はマイナス材料になるが、他の出走予定馬は複数の減点材料を抱える馬ばかりのため本馬を2番手としたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。