データde出〜た
第1676回 シンザン記念を制して好スタートを切るのはどの馬か?
2023/1/6(金)
2022/1/9 中京11R シンザン記念(G3)
1着 10番 マテンロウオリオン(4番人気)(Photo by JRA)
3年連続で中京での代替開催となるシンザン記念。一昨年のピクシーナイトは秋にスプリンターズSを制し、昨年のマテンロウオリオンはNHKマイルCで2着と、ここ2年の優勝馬は後に同年のG1で連対を果たしている。ほかにジェンティルドンナ(2012年)、アーモンドアイ(2018年)という後の三冠牝馬2頭がここで重賞初制覇を飾るなど、今後の大レースへ向けて注目の欠かせないレースだ。そんなシンザン記念の過去10年の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1 | 3-0-1-6/10 | 30.0% | 30.0% | 40.0% | 80% | 55% |
2 | 2-3-2-3/10 | 20.0% | 50.0% | 70.0% | 92% | 128% |
3 | 0-0-3-7/10 | 0.0% | 0.0% | 30.0% | 0% | 60% |
4 | 3-1-1-5/10 | 30.0% | 40.0% | 50.0% | 300% | 134% |
5 | 0-1-1-8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0% | 55% |
6 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
7 | 0-1-0-9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 33% |
8 | 2-1-0-7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 499% | 140% |
9 | 0-2-1-7/10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0% | 169% |
10 | 0-1-0-9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 64% |
11〜 | 0-0-1-36/37 | 0.0% | 0.0% | 2.7% | 0% | 33% |
過去10年の人気別では、2番人気が【2.3.2.3】で複勝率70.0%の好成績。ほかに4番人気【3.1.1.5】同50.0%や、8番人気【2.1.0.7】同30.0%、9番人気【0.2.1.7】同30.0%が複勝回収率100%を超えている。
■表2 11頭立て以下で行われたシンザン記念(1986年以降)
年 | 頭数 | 1〜3着馬人気 | ||
1着 | 2着 | 3着 | ||
1986 | 9 | 2 | 1 | 7 |
1990 | 11 | 3 | 4 | 9 |
1995 | 11 | 2 | 3 | 1 |
2006 | 9 | 8 | 6 | 2 |
2007 | 10 | 3 | 1 | 2 |
2018 | 11 | 1 | 7 | 4 |
2020 | 10 | 2 | 5 | 9 |
表1からは穴なら8〜9番人気あたりに妙味がありそうに思えるが、今年のシンザン記念は除外・取消がなければ7頭立て。JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降シンザン記念が7頭立て以下で行われたことはないが、表2では11頭立て以下で行われた年について1〜3着馬の人気をまとめてみた。その7回中5回は7番人気以下の馬が3着以内に1頭入っており、出走頭数が少ないからといって人気サイドの馬ばかりで馬券をかためてしまうのは避けたい。
■表3 前走クラス別成績
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
新馬 | 1-2-0-14/17 | 5.9% | 17.6% | 17.6% | 40% | 44% |
未勝利 | 1-2-1-28/32 | 3.1% | 9.4% | 12.5% | 9% | 37% |
1勝クラス | 5-3-3-32/43 | 11.6% | 18.6% | 25.6% | 173% | 102% |
OPEN | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中央G3 | 2-0-1-7/10 | 20.0% | 20.0% | 30.0% | 92% | 59% |
中央G2 | 0-1-2-7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0% | 145% |
中央G1 | 1-2-3-12/18 | 5.6% | 16.7% | 33.3% | 19% | 68% |
地方 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3は前走クラス別の成績。前走で中央競馬の重賞に出走していた馬が計【3.3.6.27】で複勝率30.8%を記録するが、3着止まりが多い点は少し気にかかる。オープン特別組は好走がなく、1勝クラス組が【5.3.3.32】と最多の5勝をマークして複勝率も25.6%と上々。新馬戦組【1.2.0.14】複勝率17.6%や、未勝利戦組【1.2.1.28】同12.5%は劣勢だ。
■表4 前走重賞からの3着以内好走馬
年 | 馬名 | シンザン記念 | 前走 | 2走前 | |||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | |||
2013 | エーシントップ | 1 | 1 | 朝日杯FS | 2 | 8 | 重賞1着 |
2014 | ウインフルブルーム | 2 | 2 | 朝日杯FS | 5 | 3 | 500万1着 |
タガノグランパ | 5 | 3 | ラNIKKEI杯 | 10 | 5 | 新馬1着 | |
2015 | グァンチャーレ | 2 | 1 | 東スポ杯 | 7 | 7 | OP3着 |
ナヴィオン | 3 | 3 | 朝日杯FS | 5 | 11 | 重賞3着 | |
2017 | タイセイスターリー | 4 | 2 | デイリー杯 | 1 | 8 | 新馬1着 |
2018 | カシアス | 4 | 3 | 朝日杯FS | 10 | 7 | 重賞2着 |
2020 | サンクテュエール | 2 | 1 | アルテミスS | 2 | 2 | 新馬1着 |
プリンスリターン | 5 | 2 | 朝日杯FS | 15 | 5 | OP1着 | |
コルテジア | 9 | 3 | デイリー杯 | 9 | 8 | 未勝利1着 | |
2021 | バスラットレオン | 2 | 3 | 朝日杯FS | 8 | 4 | 重賞6着 |
2022 | レッドベルアーム | 3 | 3 | 東スポ杯 | 2 | 5 | 新馬1着 |
表4は前走JRA重賞からの3着以内好走馬12頭である。うち11頭は本競走で5番人気以内の支持を受けており、「前走JRA重賞・今回5番人気以内」を満たす馬は【3.3.5.8】複勝率57.9%。特に1〜2番人気に推された馬は【3.1.1.2】複勝率71.4%と信頼性は高い。前走の人気や着順はまちまちだが、2走前については12頭中8頭が1着で、残る4頭中3頭は重賞・オープン特別で3着以内に入っていた。この組は前走よりも2走前の着順を重視したい。
■表5 前走1勝クラス(500万条件)からの3着以内好走馬
年 | 馬名 | シンザン記念 | 前走 | |||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | ||
2013 | タマモベストプレイ | 3 | 3 | 秋明菊賞 | 2 | 1 |
2014 | ミッキーアイル | 1 | 1 | ひいらぎ賞 | 1 | 1 |
2015 | ロードフェリーチェ | 9 | 2 | 千両賞 | 6 | 5 |
2016 | ロジクライ | 8 | 1 | 千両賞 | 1 | 4 |
シゲルノコギリザメ | 11 | 3 | 500万下 | 7 | 1 | |
2017 | キョウヘイ | 8 | 1 | 千両賞 | 12 | 2 |
ペルシアンナイト | 1 | 3 | こうやまき賞 | 1 | 1 | |
2019 | マイネルフラップ | 10 | 2 | 千両賞 | 11 | 1 |
2021 | ピクシーナイト | 4 | 1 | 秋明菊賞 | 1 | 3 |
2022 | マテンロウオリオン | 4 | 1 | 万両賞 | 6 | 1 |
ソリタリオ | 2 | 2 | こうやまき賞 | 1 | 1 |
前走1勝クラス組は重賞組とは違い穴馬の好走も多い。この組は前走1着【2.2.3.9】複勝率43.8%、前走1番人気【3.1.1.5】同50.0%のどちらか一方は満たす馬が11頭中9頭を占めている。また表には記していないが、前走とのレース間隔は万両賞など12月下旬のレースから詰まっていても問題ない一方で、最大でも中8週(タマモベストプレイ)と11月以降に一度は出走していることが条件だ。
■表6 前走新馬・未勝利戦からの3着以内好走馬
年 | 馬名 | シンザン記念 | 前走 | |||||
人気 | 着順 | レース | コース | 通過順 | 人気 | 着順 | ||
2016 | ジュエラー | 2 | 2 | 新馬 | 京都芝18 | 11-11 | 2 | 1 |
2018 | ツヅミモン | 7 | 2 | 中山芝16 | 2-3-2 | 1 | 1 | |
2019 | ヴァルディゼール | 4 | 1 | 京都芝16 | 3-3 | 1 | 1 | |
2013 | ヘミングウェイ | 9 | 2 | 未勝利 | 阪神芝16 | 6-5 | 1 | 1 |
2018 | アーモンドアイ | 1 | 1 | 東京芝16 | 7-8 | 1 | 1 | |
2019 | ミッキーブリランテ | 2 | 3 | 阪神芝18 | 5-3 | 1 | 1 | |
2021 | ルークズネスト | 8 | 2 | 阪神芝16 | 3-2 | 5 | 1 |
最後に表6は新馬・未勝利戦組。重賞組や1勝クラス組では前走2000mからの距離短縮馬や1200〜1400mからの距離延長馬の好走もあったが、この新馬・未勝利戦組の好走馬7頭はすべて前走で芝1600〜1800mのレースに出走していた。また、Target frontier JVによる脚質分類で前走が「逃げ」だった馬は【0.0.0.10】で、2016年には1番人気に支持されたピースマインドが14着に敗退している。2番手以降からレースを運んで勝ち上がってきた馬が狙いだ。
【結論】
2022/9/4 小倉2R 2歳未勝利
1着 11番 ペースセッティング(2番人気)(Photo by JRA)
表3にあったように前走重賞組の複勝率が高いレースだが、今年の該当馬はスズカダブル1頭のみで、同馬は2走前5着と表4の条件を満たしていない。そこで、優勝馬が5頭と多く複勝率も重賞組に次いで高い1勝クラス組から、ペースセッティングを中心視したい。前走・万両賞は1番人気2着で表5の条件をクリア。惜しくも勝ち切れなかったが、重賞組が1頭しかいない今年のメンバーなら問題なく中心視できる。
新馬・未勝利戦組は3頭が出走を予定しているが、このうちクファシルとライトクオンタムは前走が「逃げ」(表6)。2番手から抜け出して優勝したトーホウガレオンが有力だ。今年はわずか7頭立てのため、この2頭をデータからの推奨馬としたい。表2で記したように少頭数でも穴馬が馬券に絡む可能性は十分にあるため、3連複や3連単でもう1頭加えるならデータ度外視で穴っぽい馬を狙ってもおもしろそうだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。